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児童養護施設に入所する理由

こんにちは、ヨウです。今回は、児童養護施設に入る子どもたちが、どうして施設に入ることになったのか、その理由について、私の経験から解説したいと思います。よろしくお願いします。


1.親の不在

元々、児童養護施設は孤児院としてスタートしています。戦争によって親を亡くした子どもの世話をしていた歴史があり、そこから、「親による養育ができない子どもの生活の場」として児童養護施設が存在します。

子どもを養育する義務は、親権者にあります。両親を亡くしてしまい、頼れる親族がいない子がいれば、子どもは「養育義務者」を失ってしまいます。そうなれば、児童養護施設で生活するしかなくなってしまいます。

親権者が死亡した場合は、法的には、「未成年後見人」という人物を立てて、代理で親権者を立てるのですが、その人が子どもを育てることが出来るかどうかは別問題です。


2.親による養育放棄

これは、親の不在に近いのですが、「親が子どもを置いて夜逃げしてしまった」みたいな状況だと思ってください。親権者はいるものの、養育できない状況にある場合、子どもは施設に入らざるを得ません。

こういった場合、児相は子どもを預かりつつ、親に同意書や措置負担金の請求書を送り続けたりします。大抵、返事がなかったり住所が変わっていたりしますが。


3.親の収監

親が警察に捕まって収監され刑務所に入ることになった場合も、親権者が義務を果たすことができないので、その子どもは施設に入るわけです。

ただし、養育できない理由が「刑務所にいるから」なので、親が子どもに虐待をしていなければ、(児相の判断にもよりますが、)出所後すぐに家庭復帰することが多いのです。

この理由で施設入所する子ども、意外に多いんです。


4.虐待による施設措置指導

悲しいことに、近年、児童養護施設に入る子どもの入所理由の半数以上が虐待によるものです。

虐待を理由に子どもを施設に預け、子どもが自宅に帰ることができるように児相が親を指導することを「施設措置指導」と言います。簡単に言うと、「虐待しないようになるまで、施設で預かるからね!」という感じです。(実際はそういう言い方はしませんが…)

虐待は、身体的虐待、性的虐待、ネグレクト、心理的虐待と大別されます。どの虐待であっても、「家庭で養育を続けると、同じような虐待が起きる可能性が高い」と判断されれば、施設措置指導を実施します。虐待を理由に施設に入所すると、しばらくは親子面会ができません。子どもの希望に合わせて面会や外泊を実施して、親子で生活しても問題ないと児相が判断したら、子どもは家に帰れます。

指導としての入所ですが、実際は、子ども自身が「帰りたい」と言わないと、親がいくら動いたとしても家庭復帰は望めません。また、親が努力しなければ、子どもが帰りたいと思っていても家庭復帰はできません。親子がそれぞれ歩み寄らなければ、自宅に帰ることが難しいのです。


5.子どもの問題行動による家庭養育困難

これは、子ども自身の課題によるものです。家庭で子どもが問題行動を繰り返し、親が「もう育てきれない!」と投げ出してしまうパターンです。今も昔も、子どもは悪さをするものです。しかし、家庭内で悪さをしても、対処するのは親です。度が過ぎると、親が投げ出してしまい、施設入所となってしまいます。

いくつかの原因が重なってしまうと、親は投げ出してしまいます。子どもの発達障害、それによる問題行動、止められない親、仕事などの多忙、親のストレス…。たくさんの原因があります。私が児童福祉司として経験した中には、姉弟間で性行為をする、自宅で生肉をかじる、ゲーム依存、自傷行為が収まらない等がありました。

ただ、子どもの問題行動の原因を調べていくと、子どもというより親に原因があることがほとんどです。ネグレクト傾向が強いとか、親のやり方を強制し過ぎて追い詰めている、とかです。「子どもの問題行動」が原因で施設に入所することなっても、実際は親の虐待が引き金となっているのです。


終わりに ~理由は人それぞれだが~

子どもが親元を離れて生活しなければならない状況は、人によって様々です。私の場合、親が入退院を繰り返し、頼れる親戚がいなかったため、施設に行きました。本来なら、母の体調が回復すれば、すぐに家に帰ることが出来たのです。しかし、施設の生活環境や衣食住の充足感が、私が施設に留まる理由になりました。それほど、私の体力と精神は逼迫していたのです。

理由は人によって違いますが、根っこは同じ「虐待」です。それも、「親が養育しない」という虐待です。

子どもは、元来、親のことが大好きな生き物です。子どもは、親と一緒に生活し、心身ともに認められ受け止めてもらえるからこそ、精神的に自立して、立派な大人へと近づくことが出来るのです。私たち施設出身者は、そういうものを持たずに生きてきました。社会に出て上手くいかない人が多いのも、心の根に十分に水が行きわたっていないからなんです。施設出身者にとどまらず、親から不当な扱いを受けたり、精神的に追い詰められたり、虐待を受けていたにも関わらず誰にも救われずに大人になった人も大勢いるはずです。

私は、今子育てをしているすべての人に言いたい。目の前の子どもにいっぱい愛情を注いであげてください。お金がなくても、仕事がなくても、家族でなくてもいいんです。ただ「大好きだよ」「愛しているよ」と伝えて、抱きしめてあげてください。私は、ずっとそれを求めていました。愛されている実感さえあれば、どんな困難だって乗り越えられます。親として困ったときは、ご相談ください。お互いに助け合いましょう。

私達の未来を支えてくれる存在が子どもたちなのですから。

今日は、この辺で。


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