【14%⁉】児童養護施設の子の進学率が未だに低い理由
こんにちは、ヨウです。
今回は、児童養護施設の子どもの進学について書かせていただきます。私は児童養護施設を出て、国立大学に進学しました。その際、苦労することは多かったことは事実です。
↑ こちらの動画では、進学率が低い理由についてわかりやすく解説してあります。オススメの動画です。お美しい方が、とてもわかりやすくお話ししてくれるので、目の保養になりつつ、勉強できます。
こちらの動画によると、今や、2人に1人が大学に行く時代です。その中で、児童養護施設退所児に限って言うと、進学率は14.0%まで下がります。そのうちの16.5%が中途退学してしまうというデータがあるそうです。
今回の記事は、この動画の中で取り上げられた、いくつかの内容をピックアップして、私見を書かせていただきます。ですので、一度、この動画を見ていただいた上で、以下の記事を読んでいただけると幸いです。
高校2年生で、進学希望から就職希望になる
そもそもなんですが、私の経験上、進学したいと考えている施設の子は多いです。自身の成育歴から、「福祉や医療に携わりたい」「心理職に就きたい」と考える子が、私がいた施設にも多く存在していました。そのためには、高校卒業後、進学が必要ですよね。
私の施設の同級生で、「医療系の専門学校に進学したい。」と話していた友達がいました。その子は、保護者の疾病が原因で、施設入所していた子です。
この子は、まさに高校2~3年生で、進学から就職にシフトチェンジしました。その理由の最も大きな原因は「お金」でした。
進学かかるお金を、全て自分で工面しないといけない
皆さんは、進学する際に、「どの大学、短大、専門学校で、どれ位お金がかかるか」ということを考えたことはありますか?
一般的に最も学費が安いと言われる国立大文系で、授業料だけでも年額約50万円かかります。それに、入学金、諸経費を合わせると、最低でも4年間で240万円くらいかかります。私は、丁度それくらいかかりました。
私は、日本学生支援機構から、月5万円程度(無利子)の奨学金を借りました。これ、計算すると
月5万円×12か月×4年間=240万円
となり、奨学金の全てが、大学にかかる費用でほぼ消えてしまう計算になります。
学費だけ賄えるから、大丈夫というわけではありませんよね。一人暮らしをするための家賃、光熱費水道代、食費、通信費等、生活に必ず必要なお金をアルバイト等で賄わないといけません。
私の場合、生活に最低限必要なお金が月約8万円程度必要だったので、それを、(いろいろアルバイトをしましたが、最終的に)家庭教師とコンビニ夜勤で賄っていました。これの月の収入が約9万円。
授業料免除の制度もありましたが、私の場合、全額免除になったり半額免除になったりしていました。(この辺はまた機会があれば記事にします。)
十分な貯蓄はあれど、付き合いやら雑費やらで散財した私は、80万円ほどあった貯蓄(児童手当やら返済不要の奨学金やら)を4年間でほぼ全て溶かしてしまいました。大反省。
上記の計算は、あくまで最低ラインです。これが、理系学部になると、諸経費が多くなります。私立大学なら、その倍、医療系の大学・専門学校になるとさらに授業料が上がり、より多くのお金がかかります。
親からの仕送りもなく、いざとなったら助けてくれる親族もいない。そういう現実を目の当たりにした時、「学びたいことがあるから大学に行くんだ!」と軽々しく言うことができるでしょうか?奨学金は借金です。給付額を増やせば、返済額も増えます。また、巨額の奨学金は、大抵、有利子です。それらを大学卒業後に確実に返すことができるでしょうか?誰が保証人になってくれるのでしょうか?アルバイトをしないと生活できない状況で、学業に集中することができるのでしょうか?
施設の同級生は、「とりあえず就職して、お金がたまったら、遅れて進学するのもアリか。」と考え、就職にシフトチェンジしたわけです。
そもそも学力が低い子が多い
施設の子は、そもそも学力が低い子が多いのです。これには、いろいろな理由があります。代表的なものは
・軽度知的障害、発達障害を抱える子どもが多い
・虐待によって、家庭で学習習慣が身に付けられていない
・勉強ができないことで、虐待を受けた子もいる
というところです。学力が低いと、進学意欲も下がります。それが、貧困を連鎖させるのかもしれません。
私がいた施設の中で「頭がいい」と言われていた子は、公立中学校の平均点を取っていました。入所当初、「学校の平均=頭がいい」という認識であることを知り、私は「施設の子って、勉強できない子が多いんだな。」と思いました。
「大学に行けば高収入という神話が崩れている」という希望
ここからは、完全に個人的な意見です。
昨今、時代の流れが変わりまくっていて、昔から言われている「終身雇用」「年功序列」という状況は崩れ、また、「大卒だから、いい会社に入れる」という事でもなくなってきました。また、子どもの数は確実に減っているのに、大学の定員はほとんど変わりません。頭が悪くてもお金を積めば入れる大学も増えました。言い方が悪いんですが、「馬鹿でも入れる大学」が世に溢れています。
もちろん、進学自体を否定しているわけではありません。大学や短大、専門学校に行って、なりたい職業になるための資格を取ることも、良い自己実現の一つです。私も、大学に行って、教員免許を取ったおかげで、専門的な仕事をすることができています。
ただ、「大学に行くことが、将来の役に立つとは限らない」ということを覚えていてほしいのです。アップル創業者のスティーブ・ジョブスも、実業家の堀江貴文さんも、大学中退。かの有名な元ZOZO社長前澤勇作さんに至っては、高卒です。もう、大卒の価値は下がってきているのです。
ですから、施設の子どもたちには、「社会で生きていく知恵」を身に付けてもらい、その上で、自己実現をしてもらいたいと思っています。
最後に一言
大学進学は、あくまで「手段」です。
将来の目標を見つけて、やりたいことをするために、最善の手段を使って、自分の人生を歩んでください。
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