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幸せを自分でプロデュースするって? セルフマネジメントセミナーレポート

7月15日(水)に行われたLearn X Creation Online イベント『「幸せを自分でプロデュースする」人を育てるセルフマネジメント~セミナー&ワークショップ』の内容をお届けします。

「セルフマネジメント」=「自己管理」? どうやらそういうことではないようです。
自分自身の、身体感覚、感情、思考、この3つに向き合うことで、より自分がパフォーマンスを発揮しやすい状態をつくりだすスキル、とのこと。
過去の常識が通用しない、従来の規範ではそぐわない、そんな時代に生きる大人と子どもが、よりよく学び、生き抜くために、ますます必要なスキルになりそう。そんなお話を聞いて腹落ちさせるイベントです。(文責:塚越悦子、鈴井孝史)

「幸せを自分でプロデュースする」人を育てるセルフマネジメント ~ セミナー&ワークショップ

スピーカーはこちらのお二人
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稲墻 聡一郎さん(Transform LLC. 共同創業者・パートナー)
 
大手IT企業、ベンチャー企業役員を経て、2011年に起業。起業しつつ、その後すぐに人生のリセットと留学を思い立ち準備を進め、2015年~2017年まで、ロサンゼルス近郊にあるDrucker School of Management(通称:ドラッカー・スクール)で2年間学び、2017年7月に帰国。同大学院の准教授であり、「Self Management」理論研究の第一人者でもあるジェレミー・ハンター博士、および卒業生の藤田 勝利と一緒に、「Self Management」をベースにしたマネジメントプログラムを提供する会社「Transform」を2018年1月に設立。

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藤田 勝利さん(Transform LLC 共同創業者、桃山学院大学特任教授、Venture Cafe Tokyoディレクター)
 
大学卒業後、住友商事、アクセンチュア勤務を経て、Claremont Graudate University Drucker School of Management(通称:ドラッカー・スクール)にて経営学修士号(MBA)取得。ベンチャー企業執行役員として事業開発に従事後、2010年独立。次世代経営リーダー育成や新規事業の分野で幅広く活動。大学で「ビジネスデザイン」「リーダーシップ」を教えながら、Venture Cafe Tokyoにて、イノベーション創発型コミュニティの設計に従事。

セルフマネジメントは自分の内側にある資源に気づき生かすこと


セルフマネジメント、直訳すると「自己管理」のように無味乾燥に聞こえますが、もう少しニュアンスには「幅」があり、
自分の内側にある資源に気づき、生かすこと、
と定義できるのだそう。過去の経験や外側の規律で何かを決めるのではなく、自分の内面に目を向け、引き出し、選択肢を増やす、ということだとか。
もう少し詳しく知りたいですね。

セルフマネジメントが必要になっている背景

スピーカーの藤田さんからは、今経営の現場で起きていることを下敷きに理論的背景を説明していただきました。要約してご紹介します。

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・VUCAの時代がますます現実的に
・・Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)
・組織の時代から、個の時代へ
・LIFESHIFT 人生100年時代 マルチステージをどう生きるかが問われている
・マネジメント(management)の本来の意味として、「管理」は従、主は「未来の創造」
・・管理から創造へ
・産業資本の時代から、知識資本の時代へ
・・知識資本(knowledge)は外から見えない
・自ら「内側」を見つめ、生かすことが大切
・この文脈の上に、マインドフルネスなどの流行がある
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こうした背景があり、だから、知識資本時代はセルフマネジメントの時代である、
ということなんですね。
ピーター・ドラッカーがこんな言葉を残しているそうです。

You can not manage other people unless you manage yourself first.
(まず自分をマネジメントできなければ、他者をマネジメントすることはできない)

セルフマネジメントはどう実践すればいいか

続けて、もうお一人のスピーカー稲墻さんからは、じゃあどう実践すればいいのか、何にどう働きかければいいのか、ということをお話しいただきました。

まずそもそも自分の「中」と「外」という2つの世界があり、その交差するところに「今ここ」がある。多くの場合、自分の外側にある世界により意識が向けられており、自分の内側の世界に意識が向いていることはあまりない。周りに流されて、この軸がぶれている人が多い。

セルフマネジメントを核にして、チームや組織のマネジメントができ、そして社会のマネジメントができるのだが、ではそのセルフマネジメントの一番小さな単位が何かというと、「瞬間」のマネジメントである。その瞬間瞬間をクリアに体験し意思決定を大切にすることから、セルフマネジメントは始まる。

そして、時間の流れは瞬間の連続であるが、いま現在を惰性で流すのではなく、瞬間をとらまえることで全く違う選択肢が生まれ、新たな未来が開いていく。

では、瞬間とは何かというと・・・瞬間は3つの要素で構成される。

身体感覚/Body Sensation - 感情/Emotion - 思考/Story。

これらは密接につながりお互いに影響し合っている。

「瞬間」をとらえるエクササイズ&ワーク

ここから「瞬間」、特に身体感覚と感情について意識を向けるためのエクササイズとワークに入りました。

ワーク#1 感覚の変化を味わう

①目を閉じて、まず「苦手な人に会わなければならない」あるいは「気の進まないことをやらなければならない」という状況を思い浮かべ、身体の反応やイメージを味わう
②次に、「会いたかった人と会って一緒に話をしたり、何かをする」という状況を思いうかべ、身体の反応やイメージを味わう

ふたつの状況それぞれにおいては、次のようなコメントが参加者から寄せられました。

①の状況:胃のあたりがムカムカする、重くなる、心臓が痛くなる…
②の状況:軽くなる、解放される感じ、嬉しくて涙がでそう、温かい感じ…

このように、瞬間ごとに起きていることによって、身体の感覚は大きく変化するのです。多くの人は「思考」にのみ焦点をあてているので、その他の感情や身体の感覚になかなか気づきにくく、新しい選択肢を生み出しにくいという側面があります。このエクササイズによって、思考ではない感覚も自分の資源として活用できるのだという体験をしました。

ワーク#2 身体感覚を変える

2つ目のワークでは、稲墻さんのリードによって、文字通り身体を使ったエクササイズをしました。立ち上がってのストレッチ、肩や首をまわす、もも上げ、ジャンプなどを3分ほど。

参加者からは、「体が軽くなった」「眠気が冷めた」「スッキリした」「いかに身体を使えていないか実感した」などの声が寄せられました。
たった3分の運動で、身体や感情の状態が変わり、ネガティブな気分が晴れやかになるなどの大きな影響があります。新しい選択肢は、こんな小さなことで生み出すことができるのです。
今回のように、運動する前と後では、ある状況において選択する行動がまったく違うということもあるのではないでしょうか。

ワーク#3 感情のリストアップ

最後のワークでは、ここ数日で自分が体験した感情を1分間で思い出せる限りリストアップして、その数字をシェアしました。「本日の参加者の皆さんは、日常的にお子さんに関わる方が多いので感情に対する意識が研ぎ澄まされているからか、平均8~10くらい出ましたね」と稲墻さん。組織で上層部のマネジメントにいる方が対象のワークショップでは、2~3くらいしか出てこない、ということもあるそうです。

ポジティブな感情は良いけれどネガティブな感情はダメ、というものではなく、自分の感情に気がつくことで初めて、何らかの対応ができるのです。人の感情は瞬間ごとにどんどん入れ替わるもの。自分の感情がわかれば、どんな思考によりやすいか、体の感覚はどうか、というところに意識が向き、新たな選択肢が生み出しやすくなります。

自分の感情に意識を向けると、自分なりのパターンや特徴なども見えてくるのではないでしょうか。怒りのエネルギーによって「やってやろう!」という風になることもあれば、家でも職場でもリラックスしているなぁという気づきから、「コンフォートゾーンにいるから新しいアイディアが出にくい状況かな」という解釈もあり得ます。この図を手がかりに、自分がいたいと思う場所に向けてシフトしていくこともできそう。

まとめ

私は今、何を見て、何を聞いて、何を感じているか? どんな身体感覚があるか?
それは過去の自分の体験にひもづくものだろうか? 過去の体験、習慣、あるいは怒りや焦りなどサバイバル反応に支配されていないだろうか?

Self Awareness.
自分に気づている、ということ
自分がいまどんな状態でいるのか、ということを自覚できると、新しい選択肢・行動・結果を生み出すことができる、ということ

いざ実践、のための質疑応答

ブレイクアウトルームでのふりかえりをはさんで、最後に参加者の方々から質疑応答タイムです

Q. これからどのようなことを研鑽していていけば、例えば仕事を選ぶとか、自分で課題を見つけていくなどの局面で、より良い選択ができるようになりますか?
A. 
(稲墻さん)「瞬間瞬間の積み重ね」の大切さに気づき続ける、ということが大事ですよね。自分が何を考えているか、ということだけでなく、自分が何を感じているか、どんな身体感覚になっているか。そこを出発点として、自分がやりたいこと、楽しいと感じることにエネルギーを注ぐという意識をもっていくということですね。
(藤田さん)まずは自分で気づいたことを記録したり、振り返ったりというステップがありますね。例えば自分に合ったリーダーシップのスタイルを知るなど、自分の特性を知るためには、実行して、フィードバックを得て、また新しい仮説を立てて、実行して‥という「経験学習サイクル」を回すことが大事だと思います。

Q. 気づく力を高めていって、やりたいことはわかってきたのに、制約があってできない、などの壁にぶつかることがあったとしたら、それを乗り越えるにはどうしたらいいでしょうか。

A. (稲墻さん)「制約とは何だろう」ということについて、もう少し深く考えてみるといいかもしれませんね。自分の思い込みである可能性もあります。制約とはなにか、それを超えていくとはどういうことか、という部分を深堀すると、見えてくるものがあるかもしれません。
(藤田さん)「自分をいちばん活かす」ということが、誰にとっても一番ためになるのだ、と自分に言い聞かせています。

Q.今日教えていただいたことを実践する場所や方法について、アドバイスをお願いします。

A. (稲墻さん)自分から動いて見つけていく、まわりを巻き込んでいく、ということが大事だと思います。今日やった3分のエクササイズでもいいですし、感情のログをつけるという方法も。一日10個、感謝できることを書き出し、どんな変化が起きたのかをジャーナリングするというやり方もあります。それをお互いに共有できるサポートシステムを創ることができればいいですね。

まずはやってみましょう!講師お二人からメッセージ

最後に講師のおふたりからのメッセージをいただきました。


藤田さん「今反射的に動かざるを得ない職場の環境にいる方が多いのかな、と思っています。知恵とか感性といった自分のリソースを最大限活用できる方法をそれぞれが身に着けていけることを目指して、これからも活動していきます」

稲墻さん「実践していくことで、いろいろな変化がでてくると思いますので、まずはやってみてください。セルフマネジメント研究第一人者のジェレミー・ハンター博士は、4歳になる息子に『今どう感じている?』と質問するようにしているそうです。小さな子でも無理なく身につけられますので、ぜひ皆さんも試してみてください」

編集後記


「瞬間ごとの自分の状態を、思考のみならず、身体感覚や感情にもフォーカスして意識することで、あらたな選択肢を生み出していく」ー これは文字通り次の瞬間から、誰でも始められることです。とはいえ、すべての瞬間に意識し続けるということは難しいでしょう。習慣化していくためには、例えば1時間に1度タイマーを鳴らすなど、なにかきっかけとなるルールを自分なりに決めていくといいのかもしれない、と感じました。(塚越悦子)


セミナー参加後、わが家でも8歳と5歳の子どもたちに、身体感覚・感情・思考の3つ、感情の四象限の分類、について話してみました。子どもたちも自身の経験を思い出しながらゆっくりと理解していたようです。このようなことに繰り返し意識を向けることで、小さな子どもたちでも幸せをプロデュースできそうな手応えを感じました。(鈴井孝史)

さらに詳しく知りたい方は

ドラッカー・スクールのセルフマネジメント教室 (プレジデント社)

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Transform LLC 公式サイト - ジェレミー先生、稲牆さん、藤田さんの会社で、研修やイベント情報なども掲載されています。


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