【建築・インテリアを考える前に読むブログ】 第1回 デザインが決まる瞬間(前半)
自己紹介
初めまして。
建築・インテリアデザインオフィス LUSTYdesign Inc. 代表の大江俊輔と申します。
noteでは
私のデザインワークやそれらの解説、実際に設計をご依頼いただいた時のクライアントのこと、
竣工に至るまでのプロセスなどについて書いていきます。
あなたが建築を建てる時やインテリアを考える時、
どんなデザイン、空間にしたいのか考える際に少しでも参考になることを
たくさん書いていこうと思います。
というわけでまずは簡単に自己紹介を。
私は主に建築やインテリアのデザインを行っている
LUSTYdesign Inc.の代表を務めています。
あらゆる物件に対して"心ときめくデザインを”
をテーマにデザインしています。
主な受賞歴としては
イタリアの国際デザインコンペティション、" A' Design Award & Competition 2022-2023 ”、”同2020-2021”、”同2021-2022”、
フィンランドの国際デザインコンペティション" Arch Design Award 2022 “、
ドイツのデザイン賞"GERMAN DEGIGN AWARD 2022”
Coin laundry store award 2022
などがあります。
デザインが決まる瞬間について
第一回となる今回はデザインが決まる瞬間について書いていきます。
ほとんどの場合、クライアントの中には「こういうのにしてほしい!」という具体的な要望はありません。
漠然とした「こんな建物が好き」、「〇〇風のコンセプトのお店にしたい」というイメージがあるくらいです。
そこで、まずはクライアントとの対話の中で本当にやりたいこと、作りたいものを抜き出していく作業から始まります。
場合によってはクライアント自身が必ずしも気づいていない本質的な欲求を探りあてます。
例えば「高級感の漂う料亭」を作りたいんです、と言ったとしても
その言葉の奥にあるのは単に「高級料亭を作りたい」だけではありません。
数ある建築事務所やインテリアデザイン事務所の中で、何か特別な思いがあるからこそLUSTYdesign Inc.にデザインの依頼をしてくれており、
弊社がこれまでに手がけた作品を見て、どこか心に響くものがあったからだと思うのです。
ということは求めているものは単なる料亭ではないのです。
クライアントによってはイメージする空間などの写真を事前に用意して頂けることもありますが、
それはあくまで参考でしかなく、やりとりしているうちに当初考えていたイメージから離れていく場合もあります。
あなたも例えば家具を買おうと思って参考に写真を探していても、
最初にイメージしていた家具がなかなか見つからず、
気が付けば当初のイメージとはちょっと違うものに行き着いていたという経験はありませんか?
家具は自分で探して買うのでその過程で軌道修正は出来ますし、自分の判断でより良い家具を見つけ出すことも出来ます。
ですが、建物やインテリアのデザインは専門性が非常に高い為、私たちがあなたに変わってそのイメージを形にする必要があります。
買おうとしていたイメージのもっと奥にある欲求、
例えばソファならそのソファを中心に家族がどういう風に過ごしたいのかを聞き出すことで
イメージ以上の本当に望んでいるソファを提案できるようになります。
ですので私はクライアントとの対話の中で徹底的に本質的な望み、願望を探っていきます。
「高級感の漂う料亭」をイメージするその奥にある欲求。
例えば「顧客単価が上がるような長時間過ごせる空間」なのか、はたまた「お客さんが隣を気にせず過ごせる空間」なのか。
中には実はカジュアルに入りやすい料亭を望んでいた、くらい離れていることもあります。
そうやってクライアントから出てくる表現・表情、仕草・キーワードなどを拾い集め、
それに加えてその人や会社・事業の「過去(どんな経緯があって)、現在(どんなことをしていて)、未来(どういう会社になりたいか)」を聞き出します。
オフィスデザインであれば、クライアントの頭の中には今のオフィスの問題点や要望はすでにあります。
例えば「動線が悪い」とか、「フリーアドレスにしたいんだ」とか。
ただ、不満や問題点を解決したいだけならわざわざLUSYdesign Inc.を選んではいないでしょう。
その先にある、このオフィスは対外的にどう見せたいのか。
社員の方がどんな風に過ごしている風景をイメージしているのか。
もし取引先の人も来られるエリアであれば、その空間はどうあるべきなのか。
「どんな」人(企業)が「どんなことをしたい」空間なのか、ここを徹底的に掘り下げていくことから我々のデザインは決まっていきます。
つまり、
最初にクライアントと徹底的に会話をし、
そこで集めた本質を膨らませてデザインに落とし込む。
クライアントと人対人で会話をするからこそ信頼してくれる。
信頼してくれるからこそ本音を語ってくれるようになる。
デザインを考えるための大切で重要な事前準備です。
こうやってお互いに深く理解しあって生まれたデザインは
今までたったの一度も「イメージと違った」と言われたことはありません。
感動していただけることが本当に多いです。
「想像を超えていた」
「本当にしたかったのはこれだった」
嬉しいことにこのような言葉を頂ける機会が頻繁にあります。
喜んでもらう度にデザインはどれだけ人対人として深く関われるかなのだろうな、と感じています。
<後半に続く>
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