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ランディさんと始めるリコーダー 第7回

1 「町人のブランル」

1.0 最初は雑談

第7回のレッスンは、2020年10月7日に行いました。第6回の記事にも書きましたが、湯河原のヨガの先生ダイスケさんも、この連載を機にリコーダーの独習を開始されたそうで、先日のランディさんの誕生日にデュオデビューされたそうです。また、11月15日には東京オペラシティにある100人ぐらいのコンサートサロン、近江楽堂で僕のレッスンを受けていらっしゃる方々の発表会をやるのですが、ランディさんはそっちにもエントリーされています。コロナ禍のため、非公開での発表会になってしまうのが残念なのですが、レッスン動画 (1/4)の最初のあたりは、そういうことについての雑談で開始しています。また、前回お勧めしていた歩きながらのリズム練習の話などもしています。

1.1 軽快な4拍子の取り方

今回は、前回の最後に予習した「町人のブランル」から開始しました。楽譜は、前回、前々回とアップロードしていますが、念のためこちらにも引き続き同じ楽譜をアップしておきます。

「町人のブランル」は、このファイルの最後の曲ですが、次の楽譜1のとおりです。

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前回のリズム練習を経てどんな様子になっているか、下のレッスン動画 (1/4)の3'30"あたりから聴かせていただいています。最初はだいぶ指を迷っていらっしゃいましたが、拍に乗ったリズムはだいぶ安定して来られましたし、多少の音の間違いがあっても、フォークダンス(ブランル)らしい快活な曲想もよく掴んでいらっしゃいました。そこで、拍の取り方を前回より一段階ステップアップしていただくことにしました。

前回のリズム練習では、4分の4拍子2分の2拍子4分の2拍子と進めたわけですが、この「町人のブランル」は C のような拍子記号になっています。この記号は、現代では4分の4拍子の略記として使われるということになっていますが、このブランルが踊られた当時(1700頃)の意味合いとしては様々で、2分の2拍子のように取る方が良い場合も多いのです。また、4分の4拍子と捉える場合でも、前回説明したように4分音符単位の拍をすべて下拍で取るのは、実際には、かなり重厚な場合、あるいは目まぐるしく忙しないような曲想の場合ぐらいです。

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前回の4分の4拍子の説明では煩雑を避けるために、上の図1Aのように書きましたが、このように4分音符単位の拍をすべて下拍でとるということは、図1Bのように8分音符単位で下拍と上拍が交代することになります。こういう拍の取り方は、かなりゆっくりのテンポでなければ、とても忙しいことになり、軽快な曲想には合わない感じになってしまいます。下拍で手を下に下ろす、上拍で手を上げるという風に、実際に手を動かして延々と続けてみると、テンポが速ければとても忙しくなり、軽やかな感じにはならないということはわかっていただけるかと思います。

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そこで、図2のように、4分の4拍子で 1, 2, 3, 4 と数えるにしても、2拍目と4拍目は上拍にするのが良いです。これは、前回2分の2拍子のところで説明した拍のとり方と同じなので、1と2と と数えてもいいです。下拍で手を下ろし、上拍で手を上げるでもいいですし、手拍子を打つなら、下拍で手を叩く、上拍で手を離すという風にするとよいです。このように手を叩きながら拍を数えると、図1で示した拍の取り方と図2で示した拍のとり方はだい感覚が違うと感じられるのではないでしょうか。しばらく延々と続けてみてください。軽快な曲想のときにはこのように拍を感じるほうが良いのです。

ちょっと余計なことまで書くと、さらに軽やかに流れるようにというときには、図3のように、拍を打つ間隔をもっと広げると良いこともあります。

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このような拍の取り方は今の段階では大変難しいと思いますので、まずは図2のように取ればよいです。でも、4分の2拍子で1拍目を下拍、2拍目を上拍に取ると、これと似たようなことになります。

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前回説明した4分の2拍子の拍の取り方と異なるのはおわかりでしょうか。ランディさんには、いきなり「町人のブランル」の4分の4拍子で、1拍目と3拍目で手を叩くというやり方で練習を開始していただいたのですが、その前に4分の2拍子で練習しておくのも良いかと思います。以下、8分音符が出てくる4分の2拍子のリズムで、拍と音符の関係を載せておきましょう。

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付点4分音符が出て来ると下の楽譜5のようになります。

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付点4分音符は2を数えるまで伸ばし、2拍目の裏で次の8分音符を発音することになります。下拍を表、上拍を裏と呼ぶことにし、さらに8分音符単位でも表裏が交代するとみると、この8分音符は裏の裏のタイミングで発音するということになります。このタイミングを迷いなく確実に取れるように練習しましょう。楽譜4、楽譜5を交互に練習するのも良いかと思います。

4分の4拍子は、このような4分の2拍子が2つ繋がって1小節になっていると見みることができます。ランディさんには、笛を持たず、下拍で手を叩きながら歌っていただくことにしました。(拍の取り方の説明は5'30"ぐらいから、ランディさんが歌われるのは7'55"ぐらいからです。)

1.2 「町人のブランル」フレージング

次にフレージングの話です。リピート前の4小節については、自然にできていらしたので、特に説明はしなかったのですが、ここには書いておきます。

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ランディさんは赤のカッコで示したようなフレージングで自然に歌っていらして、僕もこのフレージングでいいと思います。a1の最後は、同じ音(d'')が2つ反復してフレーズを収めます。このように、同音反復でフレーズを閉じるとぎこちない印象になる場合もあるのですが、ここでは、それがかえって明るく楽しげな印象を与えるので、これでよいです。ただ、青で示したようなフレージングにするという可能性もあります。曲想によっては、こっちの方が落ち着いて聴こえる場合もありますが、この曲では、にぎやかな雰囲気を生かして、赤で示した方にしましょう。

これは前回書いたことの繰り返しになるのですが、リピート後のフレージングは、下の楽譜7のように捉えると良いです。

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ランディさんは最初、青のカッコで示したようなフレーズで歌っていらしたのですが、ここは、付点2分音符の次の4分音符でフレーズを閉じようとしても収まりが悪く感じないでしょうか。なので、付点2分音符でフレーズを閉じて、つぎの4分音符は続くフレーズへのアウフタクト(弱起)だと捉えるのがよいです。下拍で手を叩きながら、4拍目で開始するb2だけを歌う、b1'だけを歌う、次のb2だけを歌うというように練習していただいたところ、14'15"あたりからは、最初の8小節、リズムもフレージングも迷いなく歌えるようになりました。c1からd2にかけての部分も音の間違いは一部あったものの、スムーズにできるようになりました。レッスン動画最後のあたり、20'30"あたりから笛で吹かれたのは、ちょっと中断したところや音の間違いはあっても、流れとしてとてもスムーズに吹けるようになっていました。11月15日の発表会では、この曲もやりましょうと提案しています。

1.3 レッスン動画 (1/4)

では、以上の内容について、レッスン動画をご覧ください。

2 トリルも少し入れてみる

2.1 長い音にトリルを入れる

楽譜1を見ていただければわかるように、この「町人のブランル」では、あちこちの音符に+の記号がついています。これは、この音符には装飾音を入れるという意味です。短い音に装飾音を入れるのは難しいのですが、手始めに楽譜7のb2'の終わりにある全音符にトリル trillと呼ばれる装飾音を入れてみましょう。トリルは、楽譜に書かれた音符よりひとつ上の音と往復する装飾です。ここの全音符の場合、例えばこんな風にトリルを入れます。

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こういう細かい音の動きを楽譜にすると複雑なことになってしまいますが、ここでは、正確にこのとおりということではなく、だいたいこんな感じという捉え方で構いません。3つ連続するd''を弧で繋いであるのはタイという記号で、途中で音を分けないで繋がった一つの音にするという意味です。最初から最後までかかっている弧はスラーで、この間はタンギングしません。タイとスラーは記号としては同じで、同じ音にかかっているか、異なる音にかかっているかの違いです。こういう複雑な楽譜は今は自分で読み取れなくても問題ありません。レッスン動画 (2/4)で僕が吹いているのを真似していただくということで構いません。楽譜8に当たるのは、0'50"あたりから、僕が何回か吹いてみせています。

b2'全体は楽譜9のようになります。

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この飾りの16分音符は、正確にこの通りという必要はなく、速さは自由なのですが、あまり焦ったような様子になるよりは、ゆっくり落ち着いている方がよいです。

トリルの往復の回数を増やして、例えば楽譜10のようにしても良いです。

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8分音符3個の下に3と書いてあるのは、3連符といって、この8分音符3個が4分音符1個分の時間に入ることを示します。でも、ここでも、楽譜の書き方は便宜的で、正確にこのとおりである必要はありません。ただ、このようにトリルの数を増やすときは、ゆっくり始めてから速くするようにすると良い感じになります。これは、1'30"あたり、2'15"過ぎたあたりや3'10"あたりから僕が吹いてみせています。

さらに増やしていってもいいのですが、例えば楽譜11みたいにやってしまうと、冗談みたいな感じになって、このトリル付き全音符でフレーズが収まるという感じにならなくなってしまいます。

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もちろん、このように素早くたくさんのトリルを続けて入れるのが効果的な場面もあります。ここのフレーズを閉じる全音符には適さないということです。どう装飾を入れるかは自由なのですが、初めての方は、まずは楽譜9のようなトリルを焦らずにいられるようになることを目指し、余裕が出てきたら楽譜10のような入れ方もやってみるというようなことでよいかと思います。

それとこの曲は1700年頃の曲なのですが、この頃のトリルはもっぱら上の音から始めます。当時はトリルは下の音から始めるのは良くないとされています。楽譜12のようにはならないようにしましょう。

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ただ、現代の作曲家がトリルを指示しているときは、断りなければ下からで、一様に速くという場合がほとんどです。記号もtrなどを用います。(trという記号はバロック時代も使われて、そのときはやはり原則上からです。)

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このように、トリルをどう入れればよいかというのは、時代にも曲の様式にもよるので、一概にいえないのですが、リコーダーの多くのレパートリはバロック時代に書かれているので、最初は上からのトリルに馴染んでいただくことをお勧めします。繰り返しになりますが、このb2'の終わりの全音符に入れるトリルは、まず楽譜9のような入れ方を練習して、余裕が出てきたら楽譜10のようにもやってみるというので良いと思います。ランディさんも3'20"あたりからはいい感じに数を増やして入れてらっしゃいます。

2.2 前打音を入れる

さて、リピート前の前半部分にもたくさん+記号がついていますが、短い音符についたトリルはまだ難しいと思うので、まだ当面は無視でいいです。どうしても入れてみたい場合は、上からの前打音(ぜんだおん)だけにしましょう。前打音というのは、楽譜に書いてある音の直前に他の音を入れるという装飾です。楽譜14のように記譜したりします。最後の2分音符では時間の余裕あるのでトリルにしても良さそうです。

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具体的には、例えばこんな風に演奏します。

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今の段階ではこんな楽譜を見せられても訳が分からないかもしれませんが、気にせず結構です。レッスン動画 (2/4)では、4'15"あたりから僕がこの楽譜のように吹いてみせています。ただ、これは結構忙しく、無理にこのように吹こうとしても安定した拍が崩れてしまう恐れがあります。やはり当面、このあたりの装飾音は無視して構いません。また、さらに進むと、短い音符にも前打音だけでなく素早いトリルを入れるということもできるようになるといいのですが、それはだいぶ先の話としておきましょう。

2.3 終止形に向かうトリル

今の段階でトリルを入れてみても良さそうなのは、先ほどの楽譜7b2'最後の全音符、リピート前の終わりの2分音符にくわえ、もう1箇所は一番最後から2小節目の付点4分音符です。楽譜7ではd2の部分ですね。バロック音楽では終止音の手前、終止音に向かって行く音にトリルを入れるのは定石で、必須と言ってもいいのです。下のレッスン動画4'50"あたりから僕が吹いてみせているのですが、ランディさんも「バロックぽーい!」とおっしゃていましたね。僕がやったのを楽譜にすると楽譜16のようになります。

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早速ランディさんにもやっていただきましたが(5'40"あたりから)、楽譜16よりもトリルの数が多く、楽譜にすると下の楽譜17のような感じでした。(3とついている16分音符は3個で8分音符1個分の長さになります。)

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もちろんこれでも大いに結構です。ただ、理想を言えば、あまり慌てる感じではないほうがいいです。たくさん入れるにしても動き始めはややゆっくりで少し加速するような感じにできるといいです。ただ、僕が理想的にはという方向で話をしたため、すこし考えすぎになってしまったようで、終止音直前の8分音符ドのタイミングが不安定になったり、トリルの途中の音でもタンギングしてしまったり、トリルの開始のミの音でタンギングしなかったりということも起こりました。でも、失敗もやりながら上手くなっていくと思いますので、こういうトリルもぜひ練習していただきたいです。

2.4 レッスン動画 (2/4)

では、以上の内容についてのレッスン動画をどうぞご覧ください。

3 「美しき町、リール」再々挑戦

3.1 拍の取り方を変えてみる

さて、次は懸案の「美しき町、リール」です。第4回で初挑戦されたときには、まだあまり楽譜が読めない状態だったためにだいぶ苦労されて、その次の第5回でいろいろな曲をやるうちに、楽譜の読み方にもだいぶ慣れてこられて、さらに前回リズムの基本練習をした後に再挑戦していただいたら、フレーズごとに区切って練習すればもうだいぶ安定してできるようになっていました。あとは、フレーズとフレーズのつなぎ目のタイミングが安定して取れるようになればよいという所まで来ています。

「美しき町、リール」は、楽譜18のとおりです。

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前回の後半、Aを吹く、A'を吹く、Bを吹く、Cとcを吹くという風に分けて吹く分には問題なくなっていましたので、あとは青のカッコで示したつなぎ目のタイミングをしっかりやれば完成になると思ってレッスン開始しました。

まずはAとA'をつなぐところのリズムです。この付点2分音符をどのぐらいに伸ばせが良いのかというのが、意外とつかみにくいのですが、楽譜19Aでしめしたように「1,2,3,4」と数えるよりも、楽譜19Bで示したように下拍上拍の違いを感じて「1と2と」と数えるほうがやりやすいのではないかと思います。

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下拍だけで手を叩くとすれば、Aの方では3回手を叩いて4回目に合わせて次のフレーズという感覚ですが、Bの方は2回目に手を叩いたら、その裏で次のフレーズが始まるという感覚です。手を叩く回数が少ない分「いま何拍目だっけ?」という迷いがなくなるのではないかと思います。

そのように思って、「町人のブランル」と同様に、1小節に2回手を叩いて、笛は持たずに歌うということで開始したのですが、まず、下拍で手を叩くということが意外と難しく、上拍の方で手を叩いてしまうという事が起こってしまいました。そこで、ふりだしに戻り、冒頭のについて、アウフタクト(up)と次の1拍目(down)を意識して、downの方で手を叩くということから始めました。

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そうすると、今度は2小節目の2分音符が伸びすぎてしまって、そこからup, downが逆転するという状態になってしまいました。

3.2 なぜか難航してしまう

このあたりから、再び難航が始まってしまい、下のレッスン動画 (3/4)は30分以上あるのですが、残念ながら、上手く進みませんでした。第4回目の段階で、まだ楽譜の読み方がよくわからない状態で練習を進めていただいたため、最初の読み違いが曲のイメージとして固定してしまったのが一つの原因なのかもしれません。このように、何かの原因で、何度やっても上手くできない壁にぶち当たることは時々あります。せっかくやり始めたことなので、できるようになるまでやっていただければよいのですが、どうしても上手く行かないということからは一旦撤退するというのも大事なことかと思います。下のレッスン動画 (3/4)の最後30'30"あたりからは、来年ぐらいになってさらに楽譜に慣れて、この「美しき町、リール」についての記憶が無くなった頃に、もう一度新たにやればよいのではないかという方向でお話をしています。今回、さらに音域も広くてテンポも速い「町人のブランル」もスムーズにできて、トリルも入れて吹く余裕も出てきてという風に着々と上達されているので、「美しき町、リール」ができなくても何の問題もありません。むしろ時間が経ったときに自分の上達を確信できる材料を手に入れたという風にポジティブに捉えるといいかも知れないですね。

3.3 曲は拍に乗って進む

そういうわけなので、この部分のレッスンを細部まで記事にする必要はないと思いますが、これをお読みの方々にも参考にしていただけそうなポイントだけ書くことにします。

今回、難航したとはいえ、進歩した点は、付点4分音符でのリズムの読み違いが無くなったことでした。それに対して、2分音符や付点2分音符という長めの音符で拍を失ってしまうというミスが起こり始めたのが難航の原因でになりました。混乱したのは、楽譜19に示したAとA’を繋ぐ部分の他、Aの2小節目、A'の2小節目でした(逆に言うとそれ以外は大丈夫だったわけですが)。AとA'の部分について、拍をもう一度楽譜に書き入れて示しておきます。最初は弱起なので、その前の4分休符3個の拍も書いておきます。

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下拍を○表、上拍を□裏としています。このように、曲が始まる前から、背後で拍は存在していて、ずっと打ち続けています。曲はその拍に乗って進み、すべての音符は、拍のどこに来るかという風に捉えられます。下拍に乗っている音符、上拍に乗っている音符があります。また、下拍にも上拍にも乗っていない音符があり、△を書き入れていますが、ここに出てくる△はどれも「裏の裏」になっていますね(楽譜5のところ参照)。楽譜を読むときには、それぞれの音符が拍に対してどんな位置に来ているかを見るのです。ランディさんが間違えやすかった場所については、音符そのものに、表は○、裏は□、裏の裏は△を付けておきました。煩雑になるので、すべての音符には印を付けていませんが、ここに出てくるどの音符も○□△のどれかになります。

このように、曲の背後で常に脈打っている拍を自分の中に作り出して、それに乗って演奏するわけです。自分の中に拍を作り出すには、手を動かして実際に拍を打ちながら歌うのがよいです。拍の打ち方は、次のようにいろいろやってみるといいです。

・下拍で手を下げて、上拍で手を上げる。
・下拍で手を叩き、上拍で手を離す。
・歩きながら、右足左足の交代を下拍上拍の交代と捉える。
・歩いているイメージで、右手で膝を打つのと左手で膝を打つの交代させて、それを下拍上拍の交代と捉える。
・下拍では膝を叩き、上拍では側の物を叩く。
などなど

他にもいろいろ考えられますが、何かしら異なる拍が、一定のタイミングで交代しながらずっと続くのを身体で感じられるといいです。そのように拍を打ちながら、楽譜21を歌ってみましょう。ランディさんが間違いやすかったところについて書くと:

・1段目3小節目では、表から開始する2分音符の次の音符は、次の表で開始。
・1段目5小節目では、表から開始する付点2分音符は次の表まで伸ばして、その裏から次のフレーズが始まる。
・2段目2小節目は、1段目3小節目と全く同じで、表から開始する2分音符の次の音符は、次の表で開始。
・1段目4小節目は、表から開始する付点2分音符は次の表まで伸ばして、その裏は休符。裏の裏から次のフレーズが始まる。

このように、各音符が拍のどこで開始するか、実際に手や足で拍を打ちながら歌ってみれば、リズムはわかりやすくなってくるはずです。

3.4 レッスン動画 (3/4)

次のレッスン動画、上に書いたような拍の捉え方をやっていただきながら練習を進めていただいているのですが、30分以上の大部分がかなり難航しているところです。この連載は、リアルなレッスンの記録をすべて公開するという趣旨で進めていますので、それも全部公開します。難航しながらでも、諦めずに朗らかに何度も挑戦するランディさんの様子に励まされる方も多いことでしょう。こういうことも練習を進めていく過程で時によってぶつかってしまうことなので、リアルなレッスンの一コマとしてご覧いただければ幸いです。

4 次回に向けて

4.1 跳躍の練習

次に進む内容のプリントは、ランディさんにはすでにお渡ししていました。次の「3d. アルトハ長調3.pdf」です。プリントアウトしてお使いください。

このプリントのうち「菩提樹の下で」がお好きだとランディさんがおっしゃたので、次回は、それを中心に進めようと思います。その前に、このPDFファイルの練習17, 18をやっていただきました。練習17は下の楽譜22と同じです。

楽譜22

1小節目はすでに曲の中でも何回も出てきているのでだいぶ慣れてこられていると思いますが、2小節目のように飛ぶのはちょっと難しいですね。親指孔が開いている状態から、ちょうどよい隙間を開けて閉じている状態に素早く移るのは難しいですが、失敗を恐れず、拍のタイミング通りに指を動かすようにするうちに慣れてくるでしょう。3小節目も同じような難しさがありますね。
また、低い方のg''(ソ)と上の方のa''(ラ)、c''(ド)、b''(シ)では、息の量が違い、高い音のほうがたくさんの息を流すことになります。ただ、勢いで強くするのではなく、冷静に息の量を切り替えると思うのが良いです。また、3小節目のb''(シ)は、くすんだ音色の音で、息が強すぎるとイントネーション(微妙な音の高低)が上ずってしまいがちなのにも注意すると良いです。そして、指や息が難しくても、タイミングは拍どおりに進んでいかないといけません。
けっこう難しい練習なので、下のレッスン動画 (4/4)の中で僕がご助言していることも参考にしていただくとよいかと思います。ランディさんも5'25"あたりから吹かれたのはなかなかうまく吹けています。

4.2 音階と分散和音

続いて、練習18は、下の楽譜23と同じで、ハ長調の音階と分散和音の練習です。

楽譜23

最初の2小節が音階で、後ろの2小節の音の動きを分散和音と呼びます。分散和音の方に出てきているc'', e'', g'', c'''(ドミソド)の音を同時に鳴らすとハ長調(Cメジャー)の和音というものになります。このように音階上の音を一つおきに3つ選んで同時に鳴らすと、三和音と呼ばれるに安定した響きの和音になります。それらの音を同時でなく順に並べたものを分散和音と呼びます。音階と分散和音は、曲の中に出てくる音の動きの基本になります。

さて、元の楽譜(練習18)にはありませんが、楽譜23にはクレッシェンドの記号を書き入れています。クレッシェンドというのは音量を増して行くという記号ですね。リコーダーでは、低い音より高い音のほうが息の量を増やすことになるので、音が上がっていくと(上行)自然にクレッシェンドになります。これをしっかり意識するのが、リコーダーでの音階・分散和音の練習で大事になります。これは、第4回でも少し書きました。音が下がっていくときは(下行)、反対に息の量を減らしていくことになるのですが、これについては、息の量を減らすと意識すると弱くなりすぎる傾向があるので(肺の性質上そうなります)、むしろ、下行のときにも息を落とさないように保つと思う方がよい場合が多いです。なので、その記号は書き入れていません。ランディさんは第4回のときに説明したときにも自然とすぐにできていらして、今回も息づかいは上手く行っている様子でした。なので以上の説明は下のレッスン動画の中ではあまりしていませんが、大事なことなのでここに書いておきました。

他のコツとしては、音階については、1小節目3拍目裏のa''から次のb''に移る間に親指の隙間を微調整するとよいということ、分散和音については2拍目表のg''から次のc'''に移るときの隙間の作り方が難しいですが、失敗を気にせずタイミング優先で練習していく方がよいというようなことなどです。下のレッスン動画をご参照ください。

4.3 3拍子の話を少し

次回は「菩提樹の下で」を主に練習していただくとして、その次はそろそろ3拍子の曲もやり始めると良さそうと思い、最後のあたりでは3拍子の話をしています。3拍子といえば、前回ソプラノとアルトの2重奏の楽譜を載せたハッピーバースデーも3拍子ですね。

楽譜25

3拍子では、ほとんどの場合、3拍目が上拍、1拍目が下拍になります。実際にこのように手を動かしながら歌っていただけると、そういう3拍子の拍の感覚もわかるのではないでしょうか。

それと、3拍子がわかりやすい曲の例として、アメイジング・グレイスが良いのではないかと思うのですが、3拍子入門としてこれもやりたいと思います。

楽譜26

詳しくは、またそのときに書きます。

4.4 レッスン動画 (4/4)

以上の内容、軽い予習のつもりでしたが、その割にはしっかりしたレッスンになった気がします。よろしければどうぞご覧ください。

実は、ついさっき第8回のレッスンも終えたのですが、「菩提樹の下で」に続き「アメイジング・グレイス」まで進みました。あまり遅くならないうちに記事にします。どうぞお楽しみに。

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