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苦労噺③

前回の話はリンクから。

リビングの扉を開けると、住民の一人がソファでくつろいでいた。
挨拶をすると、住民も挨拶を返してくれたので少し話をした。

聞くと、住民は介護施設で働いており、この家には3年ほど住んでいるという。便宜上、以後この住民のことは介護士氏と呼ぶ。

介護士氏曰く、この家はルールをなかなか守ってくれない住民が多いらしい。介護士氏も手を焼いているのだという。

シェアハウスは家によりまちまちだがハウスルールというものが存在する。見知らぬ人間たちが集まって住むにあたり、このルールを守ることは当然最低限のマナーであり、義務である。
前の家では(日当たりがよかったため以後これを陽だまりの家と呼ぶ)共用スペースに私物を置きっぱなしにするなどのルールを守らない場合はオーナーへ報告が行き、オーナーから注意が入っていた。
この家でも同じようなルールがあり、管理会社が仲介をするということになっているという話を入居前に聞いていた。

介護士氏もまた転職できるよう資格勉強をしているというので、我々は互いの成功を願いあった。同じような目的をもつシェアメイトがいるなんて、幸先がよい。

介護士氏は「何かあったら私か管理会社に言ってほしい」といい、リビングを去っていった。

続く

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