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『オーロラと狼』 掛け合いセリフ台本② フェンリルとテュール

⬇️⬇️⬇️以下は、配信アプリREALITYでの企画、掛け合いセリフ枠『オーロラと狼』のためにラパスが書き下ろした台本です。

《台本の利用は、「使わせて頂きます!」と事前にご連絡頂ければ、問題ございません。(是非私も聞きに行かせてください♫) 商用利用に関しては、事前に御相談下さいませ。》

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台本① 狼と犬
台本② フェンリルとテュール(このページ)
台本③ 見送りの歌
台本④ 狼とホッキョクギツネ
台本⑤ 二頭の足跡
台本⑥ 眠る森

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A: (フェンリル) 巨大な狼の姿をした怪物。自分がロキの子であり、神々に災いをもたらすと予言されていることは知らない。

B: (テュール) 幼い頃から神々に恐れられていたフェンリルに、唯一餌を与える勇気のあった軍神。

【背景】大きく育ち過ぎたフェンリルと予言を恐れ、神々は彼を捕らえようとしていた。力試しと称して何度も鎖で拘束したが、その度にフェンリルは鎖を引きちぎっていた。

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–––BGM on♬


A「また力試しか……お前たちも飽きないな。……しかし……臭うな。その鎖は一体何で出来ている?本当にただの鎖か?」

B「勿論だとも、A。私たちはただ、神である私たちですら信じ難いほどのお前の強さを、また目の当たりにしたいだけなのだ」

A「……解せぬ。我の鼻が、お前らが何かを企んでいると告げている。そんなに我を拘束したければ、お前らのうちの一人が、我の口の中にその腕を収めるがいい。そうすれば我は、大人しく鎖に巻かれてやろう。……何か起これば、我はその腕を食いちぎるがな」

B「……ならば私が、その役を務めよう」

A「B、お前が?」

B「ああ、A。私の腕で良ければ、その牙の間に収めよう。……なんてことは無い。これはただの鎖に過ぎないのだから。きっと今回も、お前が易々と鎖を引きちぎってしまうのだろうな」

A「ふん……好きにするがいい」


–––SE 鎖の音


A「……っ!? なんだこれは!……ぐっ……動けん……っ!これは……ただの鎖では無いな!? 」

B「……猫の足音、女の髭、岩の根……」

A「なんだと?B、一体何を言っている?」

B「熊の腱、魚の息、鳥の唾液……その鎖、グレイプニルの材料だ、B……。この鎖は、神々がドワーフ達に作らせた特注品だ。……お前をこの地に戒めるために」

A「なんだと!?」

B「予言があったのだ……ロキの長子であるお前はいずれ、神々に災いをもたらすと……神々は、お前を恐れているのだ……だからこの地に留めようとした」

A「……ぉおのれぇえええええ!!」


–––SE 腕を食いちぎる音


B「(筆舌しがたい悲鳴)」

A「おのれぇええ!許さぬ!……B、貴様は、貴様だけは!我の友だと思っていた!我を恐れぬ、真実の友だと!決して、我を裏切らぬと!鼻持ちならぬ神々の中にあって、お前だけはっ!! ……それをお前は……よくも我を裏切ったな!! 」

B「(痛みを堪えながら)……すまない、Aっ……」

A 「許さぬ……許さぬぞ神々ども!! ……いずれ貴様らを全員、この地もろとも飲み下してくれる!恐れるがいい……我を恐れて待つがいい!その予言、必ずや真実のものとしてくれようぞ!! 」

B「ぐぅっ……許せ……友よっ……。神々よ……本当にこれが最善か……?私の腕などでは、彼の怒りは静まらぬ……。本当に、これで良かったのかっ……」


//END

Written by ラパス

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【解説】言わずと知れた北欧神話の怪物、フェンリルのエピソードを元に書きました。フェンリルはこの後、上顎と下顎を剣で貫かれ、閉じられなくなったその口から流れる涎が川になったと語られています。

神話ではフェンリルの子である2頭の狼、スコルとハティが絶えず太陽と月の神をそれぞれ追いかけており、それが世界の昼と夜を動かしていると信じられていたようです。

この2頭がついに追いついて、太陽と月の神を飲み込んだのをきっかけに、『ラグナロク』(神々の運命)と呼ばれる終末の日が始まります。世界は闇に包まれ、フェンリルやロキの戒めも解かれ、神々との戦争が始まるのです。

【台本画像/PDF】

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台本① 狼と犬
台本② フェンリルとテュール(このページ)
台本③ 見送りの歌
台本④ 狼とホッキョクギツネ
台本⑤ 二頭の足跡
台本⑥ 眠る森

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