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『オーロラと狼』掛け合いセリフ台本 ③見送りの歌

⬇️⬇️⬇️以下は、配信アプリREALITYでの企画、掛け合いセリフ枠『オーロラと狼』のためにラパスが書き下ろした台本です。

《台本の利用は、「使わせて頂きます!」と事前にご連絡頂ければ、問題ございません。(是非私も聞きに行かせてください♫) 商用利用に関しては、事前に御相談下さいませ。》

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台本① 狼と犬
台本② フェンリルとテュール
台本③ 見送りの歌(このページ)
台本④ 狼とホッキョクギツネ
台本⑤ 二頭の足跡
台本⑥ 眠る森

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A:代々、オーロラの輝く夜に、死者を弔うために歌う一族の一員。
B:迫害から逃れるために南から逃れてきた。Aに命を救われている。

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A:「おや、また君か。また仲間を見送りに来てくれたのだね」

B:「ああ」

A:「律儀な方だ……私の歌は死者のためのもの。ずっとこうやって、彼らが迷わず天に登れるように、導くために歌ってきた……。夜の空に光の道が現れる度に、私と共に見送ろうとここを訪れる者など、今では君くらいなものだ。……いや、我々の数自体が、随分と減ってしまったからな」

B:「……私が居た南では、空の光は赤く、不吉なものとされていた。こことは逆に、命を奪いに来ると信じられていた……。だからだろうか……我々が恐れていたものを恐れず、それを敬うあなたの姿に、どこか畏怖に近いものを感じているのかもしれない」

A:「ははっ、畏怖か……東の連中も、同じように考えてくれたら助かるのだがなぁ」

B:「……あなたは尊い存在だ。西へ移動する者たちも多い。あなたは西へ逃げようとは思わないのか」

A:「思わないよ。我々はこの地に生まれ、代々この地で祈りを捧げてきた一族だ」

B:「東から来る奴らに、そんな話は通じない!あなたも殺されてしまうぞ!」

A:「……それが運命なら受け入れよう……私の命は、この地と共にあるのだよ。平穏を脅かす者が居るからと、そう易々と離れることなど出来ない」

B:「……ならば私も、ここに留まろう」

A:「B……君はここの生まれでは無い。せっかく辛うじて守った命を、粗末にする必要は無いのだよ」

B:「私の命は、あなたのものだ、A……。よそ者であるにもかかわらず、あなたは私を救い、傷を癒し、この地に受け入れてくれた……あなたをひとり置いて行くことなど、私には出来ない……」

A:「B……私はすべきことをしただけだ。恩を売ったつもりも無いよ」

B:「あなたがどう言おうが構わない。繰り返すが、私の命はもう、あなたのものなのだよ……A。あなたがこの地に囚われているのと同じだ……。私もそれが尽きるまで、あなたと共にあろう」

A:「……好きにするがいいよ。とにかく、共に歌ってくれる仲間がいるのは、ありがたいことだ」

B:「……私はあまり、その……歌は得意では無いが」

A:「ははっ……構わないさ。大事なのは心だ。……さて、光の道が消えてしまわないうちに始めようか。彼らが無事天に登り、安らかに眠れるように」

//END

Written by ラパス

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【解説】オーロラに関する伝承は、オーロラを見ることが出来る多くの地域に存在します。この台本は、それらの違いからヒントを得て書きました。

興味深いのは、観測されるオーロラの色によってその解釈が変わる傾向があることです。

最も頻繁に見られるオーロラの色は緑だそうですが、青や紫、ピンクや白もあるとの事。

カナダのREALITYユーザー、Azuraが送ってくれた緑色のオーロラ画像。いつか私もリアルで見てみたいなぁ(*´˘`*)

そして、一般的に北極or南極点から離れれば離れるほど、オーロラは赤くなっていく傾向があるそうです。(稀に北海道で観測されるオーロラも、赤っぽいものが多い模様)

この赤い色が血を連想させるからか、この色が観測される地域では、オーロラを不吉なものと認識してしまうのかもしれません。

アメリカの草原に住む先住民族たちは、オーロラを別の部族が敵を煮るための大きな鍋を沸かす炎だと信じているとのこと。ウィスコンシン州のフォックス族は、オーロラは復讐のために復活を願う滅ぼされた敵の魂であり、伝染病や戦争の前兆であると認識しているそうです。

18世紀のフランス革命の数週間前には、イギリスとスコットランドの空に真っ赤なオーロラが見えたとの記録があり、これは沢山の人が犠牲となった革命の前兆だったと考える人も居るようです。

【台本画像/PDF】


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台本① 狼と犬
台本② フェンリルとテュール
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台本⑥ 眠る森

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