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『オーロラと狼』掛け合いセリフ台本⑥眠る森

⬇️⬇️⬇️以下は、配信アプリREALITYでの企画、掛け合いセリフ枠『オーロラと狼』のためにえいちびー。ちゃんが寄稿してくれた台本です。

《台本の本企画外における利用に関しては、筆者の方へ直接お問い合わせ下さい》

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台本① 狼と犬
台本② フェンリルとテュール
台本③ 見送りの歌
台本④ 狼とホッキョクギツネ
台本⑤ 二頭の足跡
台本⑥ 眠る森(このページ)

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A:とある森の支配者
B:A に付き従う狼

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A「ふむ……そうか。最後の渡りのものたちが無事旅路についたか。いつもすまんな、白梟の吾子よ。もう行ってよいぞ。……さて、今年もとうとうこの時期がやってきたな。我が森にも、長い眠りの訪れを告げねばなるまい」

B「我らが主、森の王よ。お迎えに上がりました。昨年に引き続き我が、王の眠りを見届けさせていただきます」

A「おお、狼の吾子か。久しいな。見ないうちに立派になったものだ。一族の長の立場に相応しい面差しになった。今は亡き父上に似てきたのう。あの子は賢く、誇り高い、まさしく上に立つものの器であった。あの子の血を感じるのう。吾子も必ずや、よき長となるであろう」

B「恐れ多いお言葉、感謝いたします。ですが、先代に比べれば、我など、まだまだ若輩者です。群れの皆をはじめ、森の者たちにも苦労を掛けております」

A「よいよい。経験を積んで、子等はつよくなるのじゃ。吾子のことを迷惑だなどとは、誰も思わぬ。お主の父も最初は可愛らしい乳飲み子だったのじゃから」

B「先代も……そうですね。物心ついたときには先代はもう、父ではなく、一族を率いるものとして、次代の長を育てるつもりで我に接しておられました。ですから我は、彼の狼(ひと)の堂々たるその姿しか目にしておりませんでした。ですが、あの方もこの森に育まれ、あのように立派になられたのですね」

A「この森に生きとし生けるものたちは皆等しく我が子であり、森の子じゃ。我は吾子等の生を静かに見守るだけよ」

B「主上在りきの、この森でございます。そのまなざしに我ら森のものは救われているのです」

A「そうか。うれしいことを言ってくれるな、この愛いやつよ。さて、ついたな。我が森でこの丘が最も空に近い。……では始めようか。 『我が愛しき子等よ、しばしの眠りの時だ。我は一度、天に帰る』 」

B「我らが主上の御出立だ!一同天を仰ぎ、お見送りせよ!」

A「皆、見送りありがとう。我が眠りについたとき、空に光の幕を下ろそう。お休み、愛しい子」

B「葉を落とし、霜を纏う木々たちのなんと美しいことだ。この沈黙が、冬の森をより美しくし、主のいない眠りの時であることを際立たせる……だが見上げれば、穏やかな緑の光を放つ幕が夜空を彩っている。確かに感じることができる。我らの王が、確かにそこにいらっしゃるのだと。……さあ、主の留守を預かるのだ。先代……いや、父に少しでも近づけるよう、立派に務めを果たそうではないか」

//END

Written by えいちびー。

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えいちびー。ちゃん、こちらも素敵な台本をありがとうねぇ!! (ㅅ´꒳` )✨

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台本③ 見送りの歌
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