『オーロラと狼』掛け合いセリフ台本 ⑤二頭の足跡
⬇️⬇️⬇️以下は、配信アプリREALITYでの企画、掛け合いセリフ枠『オーロラと狼』のためにえいちびー。ちゃんが寄稿してくれた台本です。
《台本の本企画外における利用に関しては、筆者の方へ直接お問い合わせ下さい》
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台本① 狼と犬
台本② フェンリルとテュール
台本③ 見送りの歌
台本④ 狼とホッキョクギツネ
台本⑤ 二頭の足跡(このページ)
台本⑥ 眠る森
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A:漆黒の毛を持つ狼
B:白銀の毛を持つ狼
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A「ああ……腹が減った。大丈夫か○○?すまないな、碌に食べさせてやれなくて。
……群れを失った俺に、ついてくる義理はないんだ。お前だけでもほかの群れに入れてもらえ。お前のことならほかの群れのやつらもまだ歓迎してくれるはずだ」
B「私は大丈夫よ。何年あなたの傍にいたと思っているの。たとえネズミ一匹食べられなかったとしても、あなたのいない、あなたの率いない群れに、残る理由はないわ」
A「そう…か……俺も年をとった。自分の群れを守る爪も、獲物を引き裂く牙も鈍った。雪のように美しいお前を、雪原でもハッキリと捉えていた目と鼻は、灰色の景色を映し、死肉のにおいを嗅ぎつける様になってしまった」
B「たとえあなたの世界から私が消えてしまっても、私はあなたの足跡(そくせき)を追って、必ずあなたの後ろをついていく。この広い荒野で、あなたを独りになんてさせない」
A「……ありがとよ」
(間)
B「……っ!この臭いは……猟犬と硝煙……あの人間共がこっちに向かってる⁈○○!振り返らずに、全力で走って!見つかったらあなたが殺されてしまう!私があいつらを引きつけるから!」
A「お前ひとりでか⁈やめろ!そんなことしたら、そのときはお前が殺されちまう!」
B「私はあなた以外についていくつもりはないの。あなたがいなくなったら私は生きていけないのよ。だからお願い。雪に紛れて、ここから逃げて。大丈夫。あなたの足跡を、私は見失わない。知っているでしょう?さあ!行って!」
A「くそっ……必ず追って来いよ!○○!」
(間)
B「はぁ……はぁ……ここまでひきつければもうあの狼(ひと)には追い付けないでしょう。んふふ、馬鹿な猟犬たちの声が聞こえる……まんまと騙されたみたいね。あいつらもいい気味だわ。追いついた先にいるのは私よ。あいつらは私を八つ裂きにでもするのかしら……でも、あの狼(ひと)が無事なら本望だわ。この雪が、どうかあの狼(ひと)の足跡を隠してくれますように。……独りにしないって言ったのに……ごめんね……あなた」
――SE 吹雪の音、雪解け水の音
A「死肉のにおいを追って来たら……なあ、なんで俺と同じ臭いがするんだ……?血に染まったお前でないと、俺はもう見つけられなくなっていたのか……雪原を駆けるお前の毛並みのように白く輝く雪が、黒毛の俺を敵の目から隠したというのに……最初から俺の後を追うつもりなんてなかったのか……振り返っても、お前はもういない。意味をなくした一筋の足跡だけ……か。あぁ○○、お前を……愛していた……っ」
//END
Written by えいちびー。
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えいちびー。ちゃん、素敵な台本をありがとう!! (ㅅ´꒳` )✨
【解説】狼の番は絆が強く、それはどちらかが亡くなるまで一生続くと言われています。離れていた家族が帰ってきた時の愛情表現も、犬より狼の方が大袈裟に長く行うと、犬と狼を同時に飼育した記録で読んだことがあります。
厳しい自然で生き抜くための手段として、群れで暮らす方法を選んだ狼だからこそ、絆を確かめ合う儀式は重要なのかもしれません。
野生のオオカミの子供達は多くの場合、2~3年両親と暮らした後に独り立ちをして、やがては自分の番を見つけて別の群れを形成します。例外的に長く両親の元に留まる子供もいれば、番を無くした別の群れに受け入れられることもあるとの事。
絶滅してしまったオオカミが再導入された米国のイエローストーン国立公園の例では、食料となる獲物がとても多くいたため、複数の番と子供たちからなる37頭の群れができたこともあったそうです。
【台本画像/PDF】
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台本① 狼と犬
台本② フェンリルとテュール
台本③ 見送りの歌
台本④ 狼とホッキョクギツネ
台本⑤ 二頭の足跡(このページ)
台本⑥ 眠る森
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