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Lupinusの研修について(後編)




こんにちは、コーポレート統括本部の目野達朗です。

前回の記事では、コンサルティングファームの研修について、私見を述べさせてもらいました。
本記事では、弊社が考える研修について、ご紹介させていただければと思います。

Lupinusの考える「コンサルタントの身に着けるべきスキル」

コンサルタントが身に着けるべきスキルは、大きく3層に大別される、と常々社内では話しています。

i. ベーススキル
ii. ファンクションスキル
iii. インダストリーナレッジ

それぞれ、説明してみると

i. ベーススキル


コンサルタントとして、プロジェクトを推進するうえで、最も基礎となるスキルのことを指します。例えば、話し方を含めたコミュニケーションや資料作成、ロジカルシンキングといった、ビジネス推進上で必須となるスキルのことです。
コンサルタントといえば、綺麗なパワーポイントの資料や、明快なプレゼンテーションなどがスキルとして想起されるかもしれませんが、実態としては、もっと地味で細かい行動様式が、若手のころからまさに”箸の上げ下げ”レベルで指導されます。
例えば、話し方でいうと、「PREPで話す」「質問にまず答える」というようなことは、コンサル1年目で徹底的に指摘されます。

よく見る風景その1 ”質問に答えない”症候群
上司「今朝お願いした、セグメント別の分析、終わりました?」
新人「あ、契約年数別のデータをとってこようとしてるんですが・・・」
上司「ごめん、終わってるかどうか聞いてるから、それに答えてくれない?」(なぜか”ごめん”を、つけてくるw)

よく見る風景その2 ”XXさんが言ってました”症候群
上司「なぜ海外ユーザーは分析の対象から外してるんですか?」
新人「まずは国内の分析から進めたらと、XXさん(クライアントや先輩)が言ってたからです!」
上司「理由になってなくない?」

このやりとりだけ切り取って見ると、上司の性格が悪そうに見えますが、本当に、一言一句、指摘されます。
脱線しますが、伝説的コンサルタント、大前研一氏が「”とりあえずビール”は思考停止の証拠。コンサルタントなら、”ゼロベース”で、その日その時に何を飲むかを決めるべし」とおっしゃったとか、おっしゃってないとか・・・(やりすぎと思います笑)

ii. ファンクションスキル

ベーススキルの上に乗るスキルとして、特定の業務領域に関するスキルのことを指します。Lupinusでは特に、データ利活用・顧客理解の深化をテーマとしたコンサルティングサービスが中心であるため、その周辺に広がるスキルをファンクションスキルとして定義しています。
具体的には、下記の四つで、すべてを網羅的にスキルとして深めることは難しいと思いつつも、データ利活用・顧客理解の深化を両輪として、スキルを深めていくことを、MGR昇進までの目標としています。

DX戦略
データアナリティクス
デジタルマーケティング
システム・インフラ



iii. インダストリーナレッジ

読んで字のごとく、業界に関する知識です。クライアントが属する業界の商慣習や、最新のトピックを理解し、改革のビジネスインパクトを高い視点から捉えられるよう、MGR以上には業界の専門性を求めています。

例えば、金融業界においては、クレディ・スイスの買収が現在(2023年3月20日現在)のホットトピックと思いますが、クライアントから「あのニュース見ました?」と投げかけられた際に、一言二言、気の利くことを言えるかどうかで、コンサルタント(ひいてはビジネスパーソン)としての資質が見極められると思います。

業界全体の歴史やマーケットの状況というマクロなレベルから、もう少し実務的なレベル(例えば保険業界の取引データの構造等)まで、クライアントがどのような環境下でビジネスを進めているかを深く・具体的に理解することが、実効性のある改革仮説を打ち出せるか否かを左右します。

これらの3種類のスキルを、どれ一つ欠けることなく、まさに掛け合わせることが、クライアントへの価値創出につながると考えています。

例えば、大手のコンサルティングファームだと、事業会社のマネジメントメンバー(役員クラス)の人をThought Leadershipとして受け入れることがあると思いますが、そのような方は、コンサル的なベーススキルが薄い反面、圧倒的なファンクションスキル・インダストリーナレッジで、そのファームにない知見を提供し、ひいてはクライアントへの価値貢献を最大化している、ということになります。

逆に新卒でコンサルティングファームに入ったようなメンバーは、まずはベーススキルを身に着け、その後ファンクションスキル・インダストリーナレッジを徐々に積み上げていくようなイメージだと思います。

(番外編)コンサルタントの"キレ"と"コク"の話

これは、A.L.I.Technologiesの片野社長がおっしゃっていた話なのですが、「コンサルタントのスキルタイプは"キレ"と"コク"の2つで表せる」と言います。例えば、いわゆるロジカルシンキングや分析の鋭さなどで勝負するのは"キレ"であり、より大局的なものの見方や、豊富な知識でクライアントの変革を支援するのは”コク”ということです。 (前者をファクトベースコンサルティング、後者をグレイヘアコンサルティングとも言い表せます)

一般的には、新卒コンサル組が"キレ"を最初に身に着けて、"コク"を後から身に着けていくのに対して、中途組は最初は"コク"に軸足を置きながら、"キレ"を徐々に身に着けていく、というのが一般的なスキルの磨き方と思います。
例えば、新卒・第二新卒でコンサルティングファームに入社したメンバーは、クライアントと比して、その会社・業界に関する知見や経験は劣っているため、そこでクライアントに価値を出すことは難しいです。

そのため、どちらかというとファクトに基づいたメッセージの鋭さや、曖昧模糊としたクライアントの悩みを整理する能力(や、昔であれば圧倒的な労働時間!笑)で、クライアントへ価値貢献している印象です。
一方で、事業会社出身の中途組は、クライアントの属する業界のメガトレンドや、他社での事例・業務知識などを元に、クライアントに価値を出す傾向が強いと思います。

Lupinusの研修

基礎を徹底的に・クイックにベーススキルをインプット

入社時に、ベーススキルに絞って、重点的にトレーニングを行います。本当に基礎的な、仕事の進め方(例えばスケジュールの調整方法)から、MTG前に準備すべきこと・MTG中の心得・MTGの後にアクション取るべきことなど、コンサルタントとしての基礎動作をトレーニングします。

インプットするだけでは、実際に現場で使えるスキルは身につかないので、研修の中でもどれだけ手を動かすかが重要と思います。(コンセプトとして理解することと、それを仕事に活かせるかどうかは違うので)
また、職業人としてのキャリアの中で、何より心身ともに健康であることが最も大事なので、セルフメンタルケアのトレーニングも取り入れていこうと思っています。

サブスク型(月次)でファンクションスキルを実施

データ分析やデジタルマーケティング等、Lupinusのコンサルタントとして身に着けてほしいファンクションスキルは、月次で1テーマずつ実施し、年間12テーマを1周するように計画しています。(絶賛進行中です)
どのタイミングで入社しても、1年間経てばファンクションスキルの研修コンテンツをすべて学べるようにしています。

最先端の知見の発信・学習を行うべく、社外勉強会実施

上記の2つの研修は、社内のものですが、現在は社外の団体とコラボレーションをしており、各種勉強会を実施しています。私自身、あまり知見のない領域の勉強会にも参加していますが、社会にはこんなにも意欲の高いビジネスパーソンがいるのかと、毎度頭の下がる思いです。

i. データサイエンティスト勉強会
データサイエンティスト向けの、より技術に踏み込んだ勉強会を実施し、実務的な事例と、先端的な研究/理論を事業会社の人に発表してもらったりしています
(過去記事参照)
ーData & AI Bridge Tokyo vol.1:エンジニアからみたAIの歴史と展望
(前編) https://note.com/lupinus_page/n/n9c8cfca01ee6
(後編) https://note.com/lupinus_page/n/n1e5039e7063c

ii. コンサル勉強会
コンサルティング会社在籍者/出身者を中心に参加者を募り、持ち回りで、コンサルメソッドを議論します(予定)
iii. 業界別DX勉強会
金融業界でのDX/AI活用最前線、というようなテーマで、事業会社のビジネスサイドの方に参加していただき、業界特有のジレンマや課題の解決方法など、議論しています

上記に加え、今後は海外研修(”東方見聞録”と代表佐野が名付けました)や、マネージャ向けの研修など、絶賛準備予定です。

以上、コンサルティング業界の育成の考え方と、Lupinusの研修について説明してみました。

巷には、コンサルタントの仕事術を解説した本、いわゆる”コンサル本”が溢れ、特にこの1〜2年で、今までのコンサル本よりも、かなり踏み込んでコンサルタントのスキルやその習得方法について書かれた本が出てきている印象です。
しかし、それでも、「コンサルティングファームにいないと、本だけ読んでも、そのスキルは身に着けられない」というのが、私の感覚です。なぜなら本を読んだところで、その知識を定着させるモチベーションが生まれにくいからです。

最近読んだ、中村健太郎氏の「コンサル脳を鍛える」という著作の中で、学びは、それを脳に定着させることができなければ意味がない。脳に定着するには、下記2つのステップがある。
学ぶことの必要性を脳に認識させること=仕事の中でスキルを使う場面に出くわす。
実践してフィードバックを受けること=仕事の中で繰り返しフィードバックされる
ということを書かれていました。(ちなみに同氏はアクセンチュアの大MDでした)

まさにその通り、という感じで、上記のようなスキルを身に着けたいと考えれば、業務の中で必要性を認識しながら、高頻度でフィードバックをもらう環境を選ぶ必要があると思います。
※コンサルティングファームの中でも、上司の当たり外れがあると思います

最後にはなりますが、

「一生コンサルタントとして生きていく!」という鼻息の荒い方も、
「すぐにスキルを身に着けて、別のフィールドで戦ってみたい・自分で事業を興してみたい」という方も、
「コンサルタントってそもそもどんな仕事で、どんなスキルが身につくの?」って方も、
是非弊社の会社説明会やカジュアル面談にお越し頂ければと思います。

乱文長文失礼しました。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
(上にも書きましたが、最近面白いコンサル本が多く、今度解説したいです)

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