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【発達×英語】洋楽を聴いてみよう

発達障害持ちの人が何か語学を勉強するには「それ自体がやってて楽しい」と思える言語や勉強法を見つけるのがモチベーション維持のために好ましいということを以前の記事でふれたと思います。
私にとってのそれは洋楽でした。

小学4年の頃、音楽マニアの叔父からABBAやオリビア・ニュートン・ジョンなどのアルバムをお下がりでもらったり、親からビートルズのアルバムを買ってもらったりして何となく洋楽の世界に馴染むようになりました。今でこそ邦楽も洋楽に遜色のないレベルの演奏や楽曲のバンドが増えてますが、私が小学生だった当時は演奏といい楽曲の洗練度といい洋楽のほうがはるかに上のように感じていました。「まだ見ぬ外国」への憧れも大いにあったかもしれません。

しかし歌詞が全くわからないのには閉口しました。何しろまだ小学校で英語を習わなかった世代ですから歌詞カードを見てもわかる単語が殆どないのです。それらを一字一句辞書で引いて意味を調べても文の構造がわからないので文全体の意味に繋げられることができずお手上げだと思った記憶があります。

余談ですが、当時は歌詞カードというのは日本盤にしかなかった記憶があります。歌詞カードを作るために英語のネイティブ話者が曲を聴いて一生懸命文字起こしをしたものを翻訳者が日本語で対訳をつけてたのですが、その聞き取った英語の歌詞がデタラメだと当のアーティスト達からよく文句が出たものです。だったら最初から歌詞カード入れたらいいのにと思うのですが、向こうのリスナーはあまり歌詞を気にしないか、普通に歌詞が聞き取れるから別に歌詞カードは要らないという感じだったのでしょうか。

今はCDやYouTubeのPVにも歌詞をちゃんと載せてくれるからありがたいですね。

中学の英語の授業で聴いたビートルズ

学校の英語の授業で洋楽を聴いた人もおそらく少なくないでしょう。私は中学の時に一度だけ英語の授業で洋楽を聴いたことがあります。それはビートルズの「The Long and Winding Road」(「Let It Be」収録)という曲でした。ポール・マッカートニー作品らしい暖かみのある美しいメロディーの曲ですが、「Let It Be」制作当時の解散間近のバンド内の不穏な空気を反映したのか歌詞は「君に一人置き去りにされ長く曲がりくねった道の前で僕は途方にくれている」という、どこか寂しくもの悲しい内容です。

先生が授業の中でその歌詞を1行ずつ意味を解説しつつ何度も繰り返し曲を聴かせてくれたのですが、今から思うと中学1年生には少し難しい単語が多かった気がします。
windが「風(ウィンド)」と同じスペルなのに「曲がる(ワインド)」と発音も意味も全然違うのに戸惑った記憶があります。当時「風」の意味しか知らない中1でしたから、winding roadというと「風がビュービュー吹いてる道のことかな~」と思っても仕方ないですよね。
英語にはこのような単語が割と多く、同じビートルズの「Please Please Me」も「お願い」と「喜ばせる」という全く異なる意味を持つPleaseを2つ並べた気の利いたタイトル(どうか僕を喜ばせてくれよ、という意味)となっています。

先生が「The Long and Winding Road」を授業で取り上げた真の意図はわかりません(単に先生が好きな曲だったのかも)が、この歌詞を通して英語の奥深さを知ったように思います。

「無情の世界」はそれほど無情ではない

先ほどビートルズを取り上げたので、今度はローリング・ストーンズを取り上げてみたいと思います。私はビートルズは割と早いうちから色々聴いていましたし好きな曲もたくさんありましたがストーンズは学生の頃はあまりピンと来なかった気がします。彼らのR&Bの要素を楽しむには当時はまだ充分に耳が育ってなかったのだと思います。ストーンズの曲を色々聴くようになったのは30代に入ってからでしょうか。

私はあまり歌詞をしっかり読むほうではないのですがストーンズで歌詞がとても好きな曲に「You Can't Always Get What You Want」(「Let It Bleed」収録)という曲があります。当時は「無情の世界」という邦題がついていました。洋楽は80年代ぐらいまでアルバムや曲のタイトルに邦題がついているものが多く、今から思うと「何でそんなタイトルなの?」みたいなものも多々あります。もっとも「You Can't Always Get What You Want」は「欲しいものなんていつも手に入るとは限らないんだ」という意味ですから無情といえば無情ではあります。

しかしその後に続くのは
But if you try sometimes /well you might find /You get what you need(だけど頑張ってみたらいつか本当に必要なものが手に入るかもしれないよ)という、決して力強くはないけれど一抹の希望を感じさせる一節です。
私はこの部分がとても好きで、「自分で欲しいと思っているものは手に入らないかもしれないけど、色々試行錯誤を続けているうちに(今まで自分が気づかなかった)本当に自分にとって必要なことを見出すことがある」という風に少しアレンジして解釈しています。正攻法ではすんなりうまく行かず、他のみんなはできることが自分だけどうしてもできずにつまずいてばかりという経験の多い発達障害持ちの私にとっては共感のできる歌詞です。

音楽雑誌のレビューを読んで内容を想像してアルバムを買うしかなかった私の学生時代と違い、今はYouTubeやSpotify等で聴きたいときにいつでも音源に直接アクセスできるとても良い時代になりました。手あたり次第聴いて自分の好きなタイプの洋楽アーティストを見つけてみてはどうでしょうか。

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