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「ASDは青が好き」は本当か

毎年4月2日は国連で定められた「世界自閉症啓発デー」ということで、今週末も東京タワーを始め全国各地の建物やランドマークがシンボルカラーのブルーにライトアップされたり青色を身につけて参加するイベントが行われる予定です。
近年では自閉症啓発デーといえば「街中が青色で溢れる日」のようになっているふしもあります。

自閉症/ASD当事者は何でもない日常生活において特性に起因する苦痛や不安を感じることが多く、青が「平穏や癒しの効果のある色」であるということが自閉症啓発デーのシンボルカラーに青が選ばれている理由です。
また青は「希望」を表す色でもあり、自閉症/ASD当事者が生きやすい世の中になってほしいという願いが込められているそうです。

それがいつの間にか「自閉症/ASD当事者は青が好き」として広がっているように思います。このことについては私は少々疑問に感じています。積極的に嫌いという人も少数でしょうが、定型発達者と比べてASD者が青を好む割合が有意に多いようには思えません。実際、「色カラー」の記事インフォキュービック社のブログを見ても、日本でも海外でも大体一番人気のある色は「青」なのです。

これは私独自の解釈ですが、自閉症啓発デーのシンボルカラーの「青」はASD当事者のための色というよりは「当事者を含むみんなのための色」のように考えています。一般的に多くの人が好ましいと感じる色に囲まれて、ASDの特性や困り事、社会との関わり方や人生設計について冷静に平穏な気持ちで考えよう/議論しようというメッセージが「青」という色に込められているように思えるのです。

確かに、ASD当事者の多くが日頃感覚過敏や漠然とした不安感を抱えていることから「安心させてくれる色」「落ち着かせてくれる色」を人一倍求める傾向があるというのはあると思います。それが一般的には青や緑であることは言えそうです。
ただ人によってはその「落ち着く色」「癒される色」が茶色などのアースカラーだったりはたまたピンクやクリーム色ということもあるとは思います。
なので、以前の記事に書いた通り「この人はASDだからきっと青が好きだろうな」とその人の好みを属性で推測せず、本人の言葉や反応に注意を向けてもらえるといいなと思います。

個人的には「確かに青い空や海は好きだしネイビーの服もたくさん持ってるけど別にライトアップのブルーは好きじゃないんだよな…」などと少々失礼なことを思ったりします。せっかくこちら側の立場に寄り添ってくれているのに本当にごめんなさい。でもやはり感覚過敏を持つ者にとってどんな色であっても基本的に「光」は眩しいんですよね。



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