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2級眼鏡作成技能検定レポート

先日、眼鏡作成技能検定の実技試験がありました。

みなさん、結果はどうでしたでしょうか?

今回も弊社より試験に挑んだ子がいますので結果はともあれ、内容について原文のまま掲載するので参考にしてみてください。

眼鏡作製技能士 2級実技試験

                             2024.8.21

 自身の眼鏡使用が約7年、そして眼鏡専門店で店頭に立ち接客など各種業務に携わって3年半の私が、眼鏡知識と技術の向上のために国家検定の「眼鏡作製技術士2級」に挑んだ。
1年間の準備の中でそれまでより理解度は深まり学科試験は合格となったが、その知識をアウトプットして適正な眼鏡を作るその技術の習得にはまだまだ十分な自信が無い状態で、実技試験当日を迎えた。

□ この日の午後の部は計15名の受験者がA・B・Cの5名グループに分かれ、それぞれ「視力測定」「フィッティング」「レンズ加工」をスタートとして試験が始まった。 

□ レンズ加工

 入室してまずV溝付き手摺り機が目に入った。テーブルの上には、フルリムメタルフレーム・レンズ・鼻パッドが置いてあった。レンズ度数は両方ともS-2.00 C-0.50 AX180°。

試験開始前の説明で、感覚をつかむための削り練習が出来ると言われ、早速手摺りを行った。昨年合格された先輩社員から、自店のものよりよく削れるので注意するようアドバイスをもらっていた。ただ開始前練習の段階で、未熟な私にはその細かな削り感覚の違いをつかむことは出来なかった。

 心を落ち着けて、開始を待った。試験スタート。少し大きめのマイナスレンズとリムの形を比べて削り始めた。削り過ぎに注意しながら進めていくが、大胆さが足りないのか大きさ確認の作業を何度も繰り返してしまい右レンズをリムにネジ留めしたときには18分が経過していた。

 焦りの気持ちが生まれたが、右レンズの感覚を頼りに少し力を込めて左レンズを削り進めた。途中、残り10分そして5分のコールを耳にして緊張が一気に高まった。左レンズをはめた後、鼻パッド交換をするときのドライバーを持つ手が震えて仕方なかった。望遠式レンズメーターで確認をし、本当にギリギリで課題を終える事となった。仕上げにあたり細かな最終チェックをすることも出来ず、無念な思いと心拍数だけが高まっていた。

視力の測定 

 先程よりも広めの会場に、約2.5m間隔で検眼コーナーが横並びに5つ設置してあった。受付をすると、一番右側の①のコーナーに誘導された。60代とみられる2名の検定員の方が優しい面持ちで迎えて下さった。

リモコン・ピューピロメーター・テストレンズやクロスシリンダーを触って確認しておくよう声掛けされた。

普段の売場と同じ感覚に近付けるよう、検定員の左側に立つスタイルでツールを配置した。

30分間の試験スタート。まずは、眼鏡を掛けている検定員(被験者)に問診を行う。「メガネは常用」

 
「ここ2年位で近くが見にくくなった」「PC業務される。ノートもデスクトップも」「遠くは良く見える」
試験用紙に箇条書きで記入した。次に、指定された他覚的屈折度数を用紙に記入して下さいとの指示で記入した。両眼とも S -1.50 C -0.50 AX 60°。

次はピューピロメーターで検定員のPDを測定。61.5mm。

そしてメガネ視力を片眼ずつのみ測定。左右とも1.0⁺。


 その後「ここからはこのマネキン君が被験者になります」と言われ、掛枠に先程のレフ値のレンズをはめる。その途中、検定員が試験設定の用紙を見ながら、「このABCの中のどの度数から検査を始められますか」と提示された度数からの選択をお願いされた。この時点で私は正直”それはどういうこと?”という気持ちになった。同時に何度も見た注意書き「検定員への質問は一切受け付けません」という言葉も頭に浮かんだ。戸惑っていると次はRGテストの判断はどうされますかとまたABC選択を迫られた。

R>GかR=GかR<Gか。私は普段行っている通り”若干ですけどR<Gとなるよう調整します”と付け加えCのR<Gを選択した。

先程選択した度数 両眼ともS -1.00 C -0.50 AX 60°を掛枠に入れてRGテストを行う。

若干R<Gの最小錯乱円の位置から乱視軸と乱視度数のチェックを始める。テストレンズの乱視軸の刻印が白色だったので、マネキンに掛かったそれは大変見にくかった。私だけだろうか。

クロスシリンダーを使い検定員の方とやりとりをして乱視軸と乱視度数を決定。この行程は毎日のようにやっているので問題はないのだが、軸度を振ったときそして戻したとき、検定員の方から常に「いま何度から何度に変えられましたか」と尋ねられ、また同じように「いま乱視レンズは何度から何度に変えられましたか」と確認されその度に答えるということを繰り返した。不必要に時間ロスしてしまった思いがあり、焦りの気持ちが生まれた。

乱視確定後雲霧をかけた。5段階落として視標を見てもらうが「0.5が見えます」との回答があり、困惑した。ここで残り10分コールが聞こえ、心拍数が更に高まった。

左眼に移行して同じように検眼を進め、最高矯正値から0.75雲霧しての交互遮蔽法で両眼バランステスト。ここで残り1分。しかしそのときの私にそのコールが耳に入っていたかどうかは全く分からない。その位のパニック状態となってしまっていた。

結果、最高矯正値とその見え方視力の記入途中に時間切れとなってしまった。

呆然としてしまい、無念さでいっぱいになったが現実を受け止めようと思った。

□ フィッティング

 いよいよ最後の3科目となり、悔いを残さぬようという気持ちで指定の位置に着いた。

シリコン製のマネキンと、加工の試験の時と同じような四角いメンズメタルフレームそしてヤットコなどの工具が置いてあった。

ぱっと見た感じではマネキンのお顔に極端なアンバランスは無いように思えた。

事前説明を受けたあと、制限時間30分の試験がスタート。

 眼鏡を掛けさせ、セオリー通り角膜頂点間距離や前傾角などを確認するが、マネキン表面が本当に滑らない。こめかみを締め付けることがないようテンプルを少しだけ広げて掛けさせるが、きついのかどうなのか判断しにくいところがあった。しかし普段との違和感にばかりとらわれていてもダメなので、まずは鼻パッド調整を行う。癖のない鼻筋が通った形状だったので、極力左右のパッドが同じ角度になるようフレームを上下から見て調整をした。

 耳介頂点にわずかに触れる位のテンプル幅の状態にしてから、最後に先セル曲げの調整にかかった。

ちなみに、一昨年「眼鏡作製技能士1級」を取得された先輩社員から、”マネキンは滑らないから、秘策としてハンドクリームを手に塗っておきなさい”とアドバイスを頂いていた。実践して本番に臨んだが、先セルの当たりをスムーズにするまでには至らなかった。

耳介頂点2mm後ろから角度をつける。そして側頭骨に沿うように少し内側に曲げ、先端をわずかに外側に逃がした。

 いわゆるマグネットフィット感覚を感じることは出来ないし、お客様とのやりとりで「ズレたり、逆にきつく感じることはないですか」と聞く最終確認が出来ない分、これで終えていいのだろうかという思いがあった。

最後に上から横からそして耳の後ろを見て、アイポイントにマーキングをした。

前の2科目と比べて時間的余裕はあったが、仕上がり精度に自信は無かった。

3科目を終えて

 始まる前はそれ程緊張はしてなかったが、スムーズにいかない状況が生まれると動揺してしまった。

その動揺への対応が自分が思っていたより上手くいかなかった。やはりそれは何より全てに於いて、普段からこれで基本的には大丈夫というレベルに至ってないことの証明だと痛感した。

 この検定試験は、手順をはじめとして基本が確実に出来ているかの確認が合否判定となると聞かされていた。作業時間短縮も含め、今一度自身の技術の精度を高めるために練習と日々の本番を1件1件きっちり行っていこうと思った。

当然のことながら眼鏡作製は、お客様がご来店前に感じていた不便さが見えやすさと掛けやすさの両面で解消されご満足いただくために行う仕事なので、これからも相手を想ってやっていきたい。

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