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LTR _Progressive/PathCode

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Lunatic tears 第5作目「Progressive/PathCode」
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2024年6月の記事一覧

LTRP2-16「All For Rebirth」

 悠陽の口から出た言葉は、澪の表情を強張らせるには十分だった。
「社会の未来は、AIが書き換えていく。澪も、見てみたいと思うでしょ?」
「それが時代の流れなら……」
と答えるのが精一杯の澪に、悠陽は言う。
「シュヴァルツが、栄光の剣を司っていることは知ってるわ。でも、シュヴァルツ本人を支持していたワケじゃない。あくまでも、団体としての理念を支持していただけ」
 「……シュヴァルツが悠陽さんに目を付

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LTRP2-15「Will Of Charisma」

 ゲームフィールドから切り替わった画面には、サーバエラーと表示されていた。
「助かった……」
と安堵する流雫がアプリを閉じると、スマートフォンが鳴った。澪だ。
 「キルされなくて助かったわ……」
と口を開いたボブカットの少女。何が起きたかは知らないが、あと1秒遅ければカップルは同時にアバターをロストしていた。
 「……シュヴァルツが剣を引いた時、僅かに間が有った。多分、貝塚の死に動揺していたんだ」

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LTRP2-14「Scapegoat For Ambition」

 「逢沙!」
と椎葉が名を呼ぶ。首の位置で束ねたポニーテールを翻し、
「椎葉」
と呼び返す逢沙は
「まさか福岡で会えるとは、思ってなかったわ」
と言った。
 2人は博多駅の鍋料理屋に入り、モツ鍋と刺身を囲む。其処ではプライベートの話しかしなかったが、その後駅ビルの屋上デッキで、コーヒーの紙コップを片手に隣同士並ぶ。
「逢沙は何の取材だ?」
「中国資本のMMOが来月日本でサービス開始。その拠点が福岡

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LTRP2-13「Shade Of Influencer」

 不正検知システムに携わっていたエンジニアが、アウロラに接触したのはフラウ銃殺の翌日。彼もまた、アウロラがイベントに行くことを知っていた。
「スタークは一連の件を知っていた。アウロラに接近したのも、真相を伝えるためだったのだろう」
と流雫は言い、確信する。シュヴァルツがアウロラに執着心を抱いているのは判っていた、だからストーキングを装って先回りしたのだと。
 「……シュヴァルツが率いる栄光の剣、そ

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