寂しさのしずく

隣にいる人すら
意味を持たぬほどの
寂しさがこぼれでるときがあるの

紫いろの夜は
差し伸べられる手すら厭わしくて
すくいあげられることを望んでいない

闇にも呑みこめない雫を
熱く濡らしては
絞りだせない声を滲ませる

今夜は
孤独なほど寂しくなくなるから
どこまでも一人にして頂戴

世界に別れを告げて
一人 待ち侘びる雨音は
月光の音色よりピアノらしく寂しく響くのでしょう

透明にしすぎた寂しさは
折り重なって なんて重くなってしまった

だからそっとこぼしてあげて
萎れてしまわないように
この心にはきっとこの涙も必要だから

奏できれないこの心
もてあます熱だって
きっと愛しくなるだろうから

今はそっと
ただ静かにそっと
こぼれゆく ままに



©2016  緋月 燈

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