分かち合わない言の葉

指先で世界を漕ぐ
みんな一艘の舟たち
糸より軽いツナガリじゃ
分かち合えない心地

ささくれかけたハートには
言葉はヒヤリと痛すぎて
狙われてない僕の背に
見えない切先の蜃気楼

ああ きっと
受け取るだけじゃいられないんだ
勝手に傷ついた傷口を
抱え込んでられないまま
わがままな繊細さを分け合って
冷たい炎を煽ってく

足並みを揃えていても
誰も気にしない
一人にはなれないのに
誰も僕を知らない

チクリと痛む感覚だけが
心につもって記憶になる
渡ってゆくたび言葉が研がれ
果てに痛みを残すなら

ねえ そっと
受け取るだけでいいんだろう
僕の痛みは今より前の
僕の選択でしかないから
「たった一つ」を手にしたいなら
全部を受け止めなきゃ

掛けあったボタンは
繊細と鈍感を違えて
いちばん伝えたい言葉ほど
通り過ぎてしまうの

ああ そっと
受け取るだけでいればいい
簡単に分け合えるからこそ
僕は受け止めるだけがいいんだ
いちばん何を伝えたいのか
わかる時まで抱きしめてる
そして 伝えればいい



©2016  緋月 燈

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