二羽の鳥

低い梢の木々の奥
鳥の鳴き声響いてる
さあ早く目覚めなさい、
巣立ちなさいと鳴いている

小鳥は古巣にうずくまり
夢うつつのように空を見上げる
鳴かない小鳥は何も知らない
羽も風もどこへ行くのかも

老いた親鳥は鳴いている
早くお飛びと鳴いている
古巣の小鳥に背中を見せて
早くお飛びと鳴いている

小鳥は古巣に臥せたまま
光をさがして空を見つめる
鳴かない小鳥は殻を割ってる
雛より幼いこころの卵の

親鳥は遠く近くで鳴いている
動かない小鳥を見つめてる
このまま羽ごと腐り落ちるかと
近くに来ては鳴いている

小鳥の脚には親鳥の胸から落ちた羽が絡まる
ようやく外したシガラミを
離れてみたらなきごえがする
どうしてそっちに行くのかと
羽を凍らす声が響いてる

遠くに見えるなきごえ
小鳥の羽に蔓が絡む
けれども小鳥は翼をのばす
いつかその声、断ち切るとしても




©2016  緋月 燈

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