【わたしを離さないで】カズオ・イシグロ
今回読んだ本はカズオ・イシグロさんの作品。
初めて読む作家さんですが、ずっと読みたいと思っていた作品です。
ストーリー
1990年代末のイギリスを舞台にした物語。
介護人の仕事をしている主人公のキャシー・Hは提供者と呼ばれる人たちの介護をしている。
キャシーが生まれ育ったのはヘールシャムという施設。
ヘールシャムで過ごした日々を今でもよく思い出すキャシー。
友達と過ごした思い出。
保護官と呼ばれている先生たち。
年に四回行われる交換会に出品する作品を作ったことや、それを楽しみにしていたこと。
自分たちが作った作品の出来がいいものだけを選んで持っていくマダムという人物のこと。
保護官が時々言っていた意味不明な話。
なぜいつも「特別な生徒」と言われていたのか。
ずっと違和感を感じながら過ごしていたキャシー。
しかしある時ひとりの保護官が隠されていた真実をすべて話してくれたのだが、それはとても衝撃的な事実なのであった・・・
感想
この作品を読んでまず感じたのは「悲しい」という気持ちです。
主人公キャシーの回想で物語は進むのですがヘールシャムで生まれ育った生徒たちの未来を知ったときは、とても衝撃的でした。
その事実を知ったときにキャシーがずっと持ち続けていた違和感の理由が分かります。
保護官やマダムの正体。
なぜ「特別な生徒」と言われたのか。
生徒に対して保護官がどんな気持ちでいたのか。
慕っていた保護官がヘールシャムを突然去った理由。
最後に保護官とマダムに言われた言葉
『かわいそうな子たち』
『あなたの人生は、決められたとおりに終わることになります』
この言葉を見ると切なくて胸が締め付けられます。
この物語は現実の話ではありませんが、もし未来がこのようになってしまったらと考えると私は怖くなりました。
もしも私がキャシーの立場になってしまったら・・・
とても切ない一冊です。
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