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エナメルうすめ液

ぐちゃぐちゃと手で絵具を混ぜるフィンガーペイントをしたり、鉛筆を削ったり、
パステルを指で伸ばしたり・・・。

絵画教室でもアートセラピーでも毎日指先を使うので、私はネイルアートをしたことがないのだった。
キラキラ光るラインストーンが散りばめられていたり、季節のモチーフでグラデーションになっていたり、フレンチネイルであったり・・・。
綺麗に整えられた爪を見ると、美しいと思う。

大人の女の人は、爪の手入れを怠らないのだろうと思っていたら、そんな優雅な時間を過ごせていない。
私は、実用性を第一に短く切った爪をしている。

少し光る、肌色に近いローズ色のネイルエナメル(ネイルエナメルよりマニキュアの方がレトロ感があるかしら)を塗っているが、これは、爪を保護するためのものでもある。
爪が薄くて弱い。
本当なら、オイルでケアして大事にしなければいけないのだが、次から次へと
指先の油分を奪うような仕事をしてしまう。

剥げてしまうので、毎日塗り直す。
同じ色のマニキュアしか塗らないので、芸がない。
そして困るのは、マニキュアが少なくなり、瓶の中で濃くなってしまうこと。

刷毛にうまくつかない。
刷毛が届かない。

そんな時、エナメルうすめ液の登場である。
とても頼りになる。
目薬のような容器に入っていて、ポタポタとマニキュアの瓶に入れて、
蓋をしてカチカチと振る。
瓶の中には、マニキュアを混ぜるために小さい玉が入っている。
瓶に当たって、カチカチという音がする。
そして、エナメルうすめ液の大活躍で再び塗りやすいマニキュアができる。

長いこと、このエナメルうすめ液を使っている。
箱の色合いが好きなのだ。
ベビーピンクと黒という組み合わせは、学生の頃に入り浸っていた西洋アンティークのお店を思わせる。

お店のイメージカラーだったのか、看板の色だったか。
女性がお店にいて、古いトランク、人形、ガラス瓶やインク壺・・・リボンにレエスが並んでいた。
確か、古い人形のベルベットのリボンも、この色に近いピンクだった。
結び目が摩耗しているのも雰囲気があった。
この箱を見ると思い出す。

この箱がレトロな雰囲気のまま、お店にあるとホッとする。
いつかなくなったり、モデルチェンジして違うパッケージになってしまうのではないか、とおそれている。
ただでさえ、見つかりにくいところに隠れているのだ。

可愛い雰囲気のまま、お店にいて欲しい。

デザインのイメージが浸透しているものは、変えられてしまうと心が萎んでしまうような感覚になる。
思い出がなくなるような、寂しい気持ちになる。
その辺りを気をつけながら、デザインリニューアルの仕事をしていた昔が懐かしい。
















書くこと、描くことを続けていきたいと思います。