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フリースクールでの一コマ

いつも授業の最後は笑って終わろう!
と心がけたフリースクールの美術でした。
写生に使ったレモンをプーさんに改造したら、評判がよかったなあ!

ここには、いろいろな子が来ている。
不登校、妊娠中の高校生も、赤ちゃんを背負った高校生もいます。
なんとか高校の卒業資格を取得し、推薦で専門学校に進んで、保育士さんか看護師さんになりたい、と彼女たちの希望ははっきりしています。
まずは資格。もっと専門的に学びたければ、稼げるようになってから・・・。

この子を育てなきゃならないんだもの!

10代のお母さんは頑張ります。自分を放置していない。
パートナーは学生か、アルバイトか・・・。
おじいさんと呼ばれるには若いお父さんと、一緒に面接にきます。
フリースクールの授業料をなんとかできるだけ恵まれているともいえます。
なぜなら、飲食店や夏の暑い工事現場で働きながら、授業料を稼いで来ている子もいるからです。

「先生!どこにいたのよ。私、今から現場なの。早く課題仕上げたいのよ。手伝って!」

そういって、美術の単位をとるための作品を作りにやって来ます。
細くて綺麗で、真っ直ぐでサラサラの茶色い髪。
高校一年生には見えない。
この子は、真夏の暑い道路で交通整理をして働いていました。
つなぎを着て来ていて、すぐに走って出て行きます。

「お化粧がこんなに上手なんだもの。色使いは考えてみて。センスがあるのよ。」
そう言うと、顔の端で笑ってまんざらでもないみたい。
ねえ、楽しもう!この色を塗るっていう作業だけでも。

西原理恵子さんの
「女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと」
という本を娘にも買って読ませました。
しっかりと自分の意思で生きていくために、考えてほしいと思いました。
そして、いろいろな人生をみてほしい。自分ができることがあるなら助け合ってほしい。

ジェンダーレスという言葉のもとでも男女の体力差はあるでしょう。
家に帰れない状況になったら・・・女の子は路上で寝るわけにもいかない。

「親に言われたんです。高校には行かせられないって。」

彼女に、それ以上は聞けませんでした。
大変な毎日をこなしているけれど、将来、今の経験は誰かへの理解になると思いました。
励まさなくたって、相手にはきっと伝わるはずです。


「赤ちゃん、抱っこさせて!」
私は赤ちゃんを抱っこして、懐かしいミルクの匂いでいい気持ちになりながら、
若いお母さんに課題をこなしてもらいました。

同じ年頃の女の子たちが、恐る恐る赤ちゃんに触ります。
やわらかい。ツルツルだ〜。
こういう出会いで、また、自分の未来について考えてみてほしいと思っていました。

授業の終わりには楽しく話をして、プーさんを彫ったりして。
元気にまた来週ね!と見送りました。

みんな、今頃はどんな大人になっているかしら?


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#全国18万人の不登校さんへ告ぐコンテスト  に参加させていただきます。

フリースクールに勤めていたときには、不登校だけでなく、経済的な理由で親に学校へ行かせられないと言われ、灼熱の工事現場で自分の力で働いてきている子達もいました。
今、不登校でお休みしていても、フリースクールなどに行ける活力が出た時には、そういう子たちと知り合って欲しいと思いました。
悩んでいる今は辛いかも知れませんが、いつか、同じ気持ちの人に寄り添える人生が送れるといいですね。




書くこと、描くことを続けていきたいと思います。