ナラティブセラピーからバイロン・ケイティ

物語療法によって自らの行動パターンや、他者からしてほしいことが浮き彫りになるという面白さを経験しました。

人生を肯定的に生きていくために、その人の人生脚本となる物語を適切なものに書き換える心理セラピーを物語療法(ナラティブセラピー)といいます。

その人が持つネガティブな物語(例えば「自分は失敗ばかりする」など)を発見して、「それが本当かどうか?」を考えます。

例えば、今まで構築して来た「失敗ばかりする自分の物語」は、
「試験に落ちた」→「それは私は頭が悪いから」→「私は頭が悪いので勉強も仕事もできない」つまり、「問題=ダメな自分」という図式になります。

「問題点=自分」という構図から、「問題点」と「自分」を切り離すと、
「試験に落ちたのは、単に自分の努力不足であった。」と書き換えることができます。
「問題=自分」から「問題=努力不足」となり、能力の問題ではないと捉えられれば、前に進みやすくなります。
そして、ネガティブ思考からポジティブ思考に転換する糸口になる可能性があります。

「ネガティブ」→「浄化」→「現実へ」という経路を辿ります。



ドリームセラピーを理解するための授業でしたので、物語療法の純粋な形ではないのかも知れませんが、むしろ、深いところにアプローチしていくような体験でした。
メンバーの一人がみた夢の続きをそれぞれが創作する、という形で進行していきました。

主人公は、いたずらな子供という設定です。
かなり悪いことをする、その子のお話を作りました。

みんな、素晴らしい想像力で、大きく展開する物語を作り、
時間が足りないほど、話が湧いてくる人もいます。
ポジティブな話に展開してハッピーエンドを与える方もいますが、自暴自棄になった主人公がどのように悔い改めたのか?まで事細かに書く方もいます。

作られた物語の主人公の行動パターンが浮き彫りになったところで、
次に、「他者にしてほしいと思われること」「怒りの焦点が当たるところ」「怖さを感じるもの」などをみていきます。


自分が書く物語は、その人の思考パターンを反映しています。

・「反抗心」から弱者の味方になる生き方をしており、自分の幸せが最後になる。
・人に見捨てられるのが怖くて、捨てられないためにコミュニティにすがる。
・弱者として弱者に共感するため、人を助けている。
・身代わりとなる(自己犠牲)。

など。
創作した話の内容は、書いた本人が無意識にしていることです。



この講座では、
実は、主人公は心の中にいる子ども(インナーチャイルド)を想定しています。
なんと声をかけるか?何をしてあげたいか?という質問に、それぞれが答えます。
インナーチャイルドは、各人が身につけた思考パターンに至るまでの道のりを知っています。

怒りが出るポイント、傷ついてしまうポイントなど、幼少期の人間関係の中で作られた感情を、私たちは無意識のどこかに押しやって生きています。
しかし、その感情は消えたわけではありません。

例えば、

「怒り」・・・気に入らない
       わかってもらえない
       見捨てないでもらいたい

「傷つく」・・・自分の中の弱いものを出した時に、反応してもらえなかった
        本当のことを言った時に否定されたり、反応してもらえなかった
        寂しさ


本当は、怒り、悲しみ、傷ついた感情も充分に感じる必要があるのですが、直面するのが難しい場合、それを封じ込めたまま、心の中の小さな子供に背負わせ、棲まわせていることがあります。

その小さな子供が拗ねたり怒っていたりした場合、または泣いていた場合、あなたならどうしますか?という質問に答えます。
いい加減にしなさい!と叱ったり、無視してしまうと、もっともっと心の奥に隠れていってしまうかも知れません。

長く時間がかかるかも知れませんが、やさしく話しかけて、抱きしめてあげたら、
その子と仲良くできるでしょうか。
してほしいことをしてあげるというのも、ポジティブに生きるための過程となります。

私の中の子どもは、黙ってハグしてほしがっていました。
毎日の瞑想や、セラピストになる前に受けた教育分析で、浄化が進んでいるはずですが、それでもまだ「そのままでだいすき。」とハグし続ける必要がありそうでした。その心地よさを知ったのでしょう。


各人が今後、新しい物語に作り変えるべく、「反抗したいのか?」「見捨てられるのが怖いのか?」「身代わりになろうとしているか?」そして、「それが本当かどうか?」深く探っていました。
面白い体験でした。


そして、帰りの電車で、バイロン・ケイティの4つの質問が浮かびました。
バイロン・ケイティが

「それは、本当でしょうか?」
「その考えが本当であると、絶対言い切れますか?」
「そう考えるとき、あなたはどう反応しますか?」
「その考えがなければ、あなたはどうなりますか?」

という4つの質問を投げかけ、探求することを思い出しました。
その考えを反対の内容に置き換え、探求するというセッションです。
「それは、本当でしょうか?」
という質問は、深いところに刺さります。

頭の中にあるものが、結びつくと、再び面白さを感じます。




余談になります・・・私たちにとって、特に怒りの扱いは難しいものです。
しかし、怒りは前進するためのエネルギーだとも言われます。
怒りを感じることは大切なことなのですが、無闇に爆発させてしまったり、感じることを許さない習慣を作ってしまいがちです。
アンガーマネジメントというものがある程、コントロールが難しい感情ですが、
瞑想やカタルシスアートなどをうまく取り入れて上手に付き合い、エネルギーに変えることで建設的に使える感情でもあります。





書くこと、描くことを続けていきたいと思います。