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【Vol.1】表現をもっと身近に。新時代のクリエイティブを実現するフルサイズモデル「S9」、誕生。

2024年5月23日(木)、LUMIXはSシリーズの新しいラインナップとして「LUMIX S9」を発表しました。

これまでのラインナップとは装いも新たに、異なる開発コンセプトを持って生まれた「S9」。約24.2MPフルサイズセンサーを搭載したデジタルミラーレス一眼カメラです。

さらに、S9の発売に合わせて、新レンズ「LUMIX S 26mm F8」と、スマートフォン向け新アプリ「LUMIX Lab」も発表。

こちらの記事では、新しいカメラ・レンズ・アプリ、それぞれの魅力や開発背景などを、それぞれの開発メンバーからお話しします!

開発チーム

S9、開発の背景

商品企画:渡邊

2019年にフルサイズに参入し、その後2020年に発売したS5から普及価格帯フルサイズ機を展開し、Lマウントユーザーを増やすべくラインナップの拡充を進めてまいりました。

2023年に発売したS5II/S5IIXも「写真・動画の双方においてプロユースとしても十分に使えるカメラ」として多くのクリエイターの皆様に迎え入れていただきましたが、一方で、Lマウントユーザーを増やすには、そのすそ野を大きく広げる事が大きな課題であると考えていました。また、昨今スマートフォンのカメラ性能が非常に高性能になっていることもあり、カメラのエントリー層自体が少なくなってきている課題も見えてきました。

とはいえ、日常的にスマートフォンで写真・動画を撮影している方が、スマホカメラでは実現できない「自分なりの表現」を目指してカメラを手にしたいニーズは確かにあり、そういった方々にお届けするべく「気軽に撮影できて、そして自分なりの表現を実現できるフルサイズ機のエントリーモデル」を目指して開発されたのが、今回のS9になります。

「スマートフォンでは撮影できない表現力を実現する」ことを基本軸とし、エントリー層の方にも手に取っていただきやすい「小型軽量化・価格帯」、それに伴う「デザイン性の追求」、これらをコンセプトに開発が進められました。

S9を一言で表すなら・・・

マーケティング:菅原

S9を打ち出すキャッチコピーは「Shoot,Edit,Share」。

高いクオリティのコンテンツを「撮影から投稿まで素早く簡単に」できることをマーケティングのメインコンセプトとしています。具体的には、SNSにおいて多くのユーザーが手順として踏む「撮影(Shoot)、編集(Edit)、共有(Share)」という撮影体験において、特に「編集(Edit)」の工程に大きな革命を起こしたいと考えています。

昨今のSNSユーザーの動向を観察すると、投稿するコンテンツに対する向き合い方は二極化していると感じていました。片方はコンテンツの品質にこだわり、編集ソフトを使いながらじっくりと時間をかけて色の編集等をしたい方々。

そしてもう片方はリアルタイム性を重視し、スマホのカメラで撮影したコンテンツを瞬時に共有したい方々。

現代のカメラは、これら二つの側面を満たすような、つまり撮影した写真や動画を瞬時にSNSにアップできるほどの品質へ高められるソリューションがまだまだ少ないのではと思いついたのが、マーケティングのスタート地点でした。

そして撮影から投稿までのフローを簡単に、短時間でできるようになれば、S9は「これからカメラを始められる方々」にとっても扱いやすいカメラになるだろうと、期待をこめて開発しています。

先ほど申し上げた「編集体験における革命」ですが、LUMIXが目指す姿を実現する為には新たなアプリが不可欠で、「LUMIX Lab」の登場によってさらに簡略化できる仕組みを整えました。

アプリについてはVol.3で担当者から詳しくご紹介しますが、アプリ単体で「写真・動画の編集」「LUTの作成」「LUTのダウンロード・カメラへの登録」等ができるようになりました。

S9から搭載された様々な新機能と、アプリとの連動により更に簡略化されたワークフロー、それぞれを併せて新しい撮影体験とし、エントリー層の方々に限らずSNSを愛する全てのユーザー様にLUMIXのフルサイズ機をお楽しみいただきたいです。

S9の特徴、進化点

機種リーダー:中村

S9開発におけるこだわりや特徴、これまでになかった進化点についてご紹介します。大きく分けて三点です。

①普及価格帯での商品化
②小型軽量化されたフラットデザイン
③スマートフォンとの親和性

この三点を軸に、それぞれの視点でお話しさせていただきます。

価格帯と小型軽量化について

まず価格帯についてですが、エントリー層の方含めて多くの方に選んでいただけるよう、フルサイズ機ではあるものの「比較的手に届きやすい価格帯での商品化」が必須の開発テーマでした。

また、日常使いのカメラとして気軽に持ち出せるよう、小型軽量化も重要なポイントであると考えていました。

しかし、ただ安く小さくすればいいというわけではなく、商品コンセプトや機能・性能とサイズ感のバランスを考慮しながら仕様決めをしています。

LUMIXとしては、「画質」、「AF」、「手ブレ補正」の三点はあらゆる要素の中でも特に重要視している項目であり、LUMIXの強みと考えています。

そのため「S5IIと比較してもこの三点は同等の性能であることを担保しながらも、どこまで小型軽量化できるか」という観点から開発を進めてきました。

手に持ったサイズ感

また、サイズや性能に影響が大きい要素となるのが「バッテリー」です。

こちらも、S5IIと同様のバッテリーを採用するという条件で開発しています。

単純に小型軽量化を追求する場合、「ボディ内手ブレ補正」を排除したり、バッテリーを小型化すれば、より小型軽量化されたボディを開発できたのかもしれません。

しかし、手ブレ補正はエントリー層にこそ必要な機能であり、LUMIXとしても手ブレ補正は大きな強みの一つとして育ててきた信念がありますので、ここは揺るがずお客様にご提供していくことにこだわりました。

同様に、バッテリーも従来より小型化した場合にどのような影響が出るかを試算しましたが、撮影枚数や動画撮影への悪影響が大きく、S5Ⅱ同様のバッテリーを採用することが望ましいと考えました。

また、既にS5シリーズをお持ちになられている方の買い替えや、サブ機としての追加購入を想定した時に、同じバッテリーが使えた方が利便性は高いだろうと考え、同じバッテリーでの開発を決断しました。

S5IIと同じバッテリーを採用してもこの薄さ

LUMIXのフルサイズ機で初となるフラットデザインが採用された、小型軽量ボディのカメラにはなりますが、前述した通りS5IIに遜色ない機能、性能を実現しています。

小型軽量化に伴いファインダーを無くし、メカシャッターは廃止されましたが、S5IIと同様に新世代のヴィーナスエンジンが搭載されているため、新インテリジェントディテール処理による繊細な描写や、もちろん色表現なども含めてS5IIと同等の画質表現を実現しています。

また、S5Ⅱで大変好評いただいているリアルタイムLUTについても、より使いやすく、より表現の幅を広げるような機能を導入しています。こちらの内容については、Vol.3の記事で担当者から詳しくご紹介します。

AFと手ブレ補正についても、S5Ⅱでは直近(2024年5月時点)でファームアップを実施し性能強化を図っていますが、同様の内容をS9にも搭載しています。

AFについては、像面位相差AFを搭載しており、自動認識についても動物の瞳認識対応や認識対象に自動車・バイクを追加、認識の追従性や認識性能も向上させています。

手ブレ補正についても、電子手ブレ補正(E.I.S.)を進化させています。広角レンズ使用時に発生しやすい、動画撮影中の周辺歪みを補正する制御の搭載や、歩き撮りなどブレが大きいシーンで従来よりも強力なブレ補正効果が得られる、電子手ブレ補正(動画)の「強」モード追加により、従来よりも大幅に性能を向上させています。

スマートフォンとの親和性

マーケティングコンセプトであった、「撮影から投稿までを簡単に短時間でできる」ことを具現化すべく、スマートフォンとの親和性においてもかなり力を入れて取り組みました。

具体的な取り組みとして、これまではスマートフォンとの直接接続におけるWi-Fi転送の周波数帯が2.4GHzだったところを、(日本国内においては法律の関係で室内限定になりますが)メニューで5GHzも選べるように改善しました。これにより、転送速度が大きく向上されております。

併せて、より転送速度を高めるためにカメラ内の処理も見直しました。これにより、相乗効果で(条件にもよりますが)従来から2.5倍以上の転送速度を達成しています。

更に、今回S9をリリースするにあたり、カメラ側だけではなくスマホアプリの進化が非常に重要と考え、水面下で開発が進められていた新アプリ「LUMIX Lab」の開発も同時進行で進めてもらいました。現在皆様にご利用いただいている「LUMIX Sync」とは異なり、LUTや画像表現に重点を置いた、新しい機能を実現していることが特徴ですが、カメラとの接続性改善にも取り組んでおり、従来よりも大幅に速く・簡単に接続できるようになりました。

また、実は動画の記録モードにおいても、スマートフォン経由でSNSにアップするユースケースに最適化したモードを開発しました。

中身はMP4なのですが、従来のMP4とは考え方が異なるため新たに「MP4(Lite)」と名称を付け別のモードとして区分しています。

こちらはマーケティングメンバーから要望があり、商品企画や開発メンバー含めて検討してきたモードなのですが、動画データが重いと転送にも時間がかかってしまう課題があるため、「少しでもデータが軽く扱えるモード」として従来よりも転送速度を重視し、一定の画質は担保しながらも低ビットレートとしています。

また、動画のアスペクト比について通常は16:9ですが、 SNSにアップする際に、(これは利用されているSNSにもよりますが)ユーザーによっては写真と同じフル画角の3:2で撮影しておいて、後からスマートフォンでトリミングにより所望のアスペクト比に変更できた方が、より便利にお使いいただけるのではないかと考えました。

そこで、アスペクト比の自由度をより高めるために、これまでMOVのみで撮影ができていた3:2のアスペクト比を、MP4(Lite)でもできるように開発しています。

「転送速度の改善」、「新アプリの導入」、「新動画記録モードの搭載」、これら三点の取り組みにより、スマートフォンとの親和性をより高められたと考えています。

これらが、S9の主な特徴や進化点です。Vol.2では「デザイン・機構設計・レンズ」について担当者よりお話しします。

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