「信頼のおける空間描写」とは?ライブハウスという過酷な映像現場でなぜLUMIXのカメラが必要とされるのか。
こんにちは。
音楽と写真と映像を扱うマルチデジタルクリエイターのクマザワコータローです。
日頃より、音楽業界で様々なアーティストの作品に携わっております。
映像作品で言えば『ミュージック・ビデオ』や『ライブステージ映像』、そしてレコーディングなどの制作に密着をした『ビハインド・ザ・シーン』などが挙げられますが、その中でもカメラにとって過酷な現場、それが『ライブステージ』なのです。
今回は、僕がそんな過酷な現場でもLUMIXに絶対的な信頼を置き、愛用し続ける理由をお話しします。
LUMIXカメラを使い始めたきっかけ
振り返ってみると様々な他社製一眼レフカメラや民生向けビデオカメラを使用してきましたが、現在ではLUMIXカメラを愛用しています。
『ビデオカメラの長時間記録と、一眼カメラの豊かな階調と被写界深度。』
これが当時の僕のわがままな要望で、それを満たしてくれたのが『LUMIX GH4』でした。
そして、使っていくほどにその美しい映像の虜になり、現在では『LUMIX S1H』と『LUMIX GH6』のハイエンドフラッグシップ2台を愛用しています。
LUMIXカメラに出逢い、そして現在でも使い続けている愛用者の立場から、ご覧くださっている皆様に『LUMIXの空間描写』について少しでもお伝え出来たら幸いです。
過酷な環境で再現される自然な描写
様々なロケーションで撮影を行なっている僕ですが、ライブハウスでの撮影ほどカメラにとって過酷な現場はないでしょう。
カラフルな照明が、生演奏の音楽と共に目まぐるしく変化し、視覚的に押し寄せてくる。照明は、音響や衣装、セットリストなどと並んでライブの重要な演出で、アーティストの表現意向が大きく反映されています。
上記の映像は『LUMIX S1H』で5.9K V-Log内部収録をしたものにRec.709への戻しLUTをあてただけのものです。
LUMIXの絵作りはとにかく『自然な描写』のひと言に尽きます。そしてその自然さが『目まぐるしく変わるミックス光』と『それをコントロールが出来ない環境下』での過酷な撮影で威力を発揮するのです。
『自然な描写』を感じさせる要因は以下の3点です。
一つずつ解説していきます。
色調再現性
ステージ上の人物に照射される照明のほとんどは白熱電球やハロゲンを使用しており、カラーLEDやムービングレーザーなどが起こす様々な色被りの中に主題となる人物が存在しています。
そのためライブハウスでの撮影では、スキントーンが美しく、各カラー照明が極端にシフトしない、そしてライブハウス特有の空気感が損なわれないあたりを見定めてホワイトバランスを取っています。
僕の場合、肉眼で見たときのスキントーンと会場の空気感を優先し、経験則から3,800〜4,400Kの間で設定をしますが、そうなるとカメラ上でカラー照明全体がブルー寄りにシフトすることが避けられません。
他社のカメラを使っていた当時は、マゼンタがパープルやブルーにシフトしたり、シアンが強烈に出てきたりしてしまい、それが当たり前なのだと割り切っていました。
しかし、LUMIXは肉眼で視認しているカラーバランスを保ってくれます。演出意向が反映された照明に対して、然るべき色が然るべき色として捉えられている自然な色調再現性は、カラフルなミックス光の中で非常に信頼出来ます。
また濃淡の描き分けも見事なもので、ミックス光の中でも見事な色調を再現してくれます。
自然なコントラスト
ライブハウスはカラフルなミックス光だけに留まらず、その照明が目まぐるしく変化し、その組み合わせ如何によっては超高コントラストな現場です。
ライブは時間作品なので、終演に向けて照明のボルテージも上がっていき、時間経過の中での輝度差の振り幅は困難を極めます。
また、カメラを基準に自ら照明をオペレーション出来るわけではないので、肉眼ベースで作られたコントロール不能な照明演出の中で戦わなければなりません。
そこでLUMIXの自然なコントラストが明確なアドバンテージとして表れます。
まるで肉眼で捉えた時のような自然なコントラストが得られるため、演出として使われる『目潰し』のような強烈なバックライトが焚かれた高コントラストなケースでも、暗部の階調が残り、演者の表情が見えます。
もちろん、輝度差があるため白飛びや黒潰れは避けられませんが、可能な限り照明演出をスポイルすることなく美しい描写を得ることが可能です。
露出を下げたり、暗部を落とせば完全なシルエットを作ることが出来て、あらかじめ高コントラストの暗部を持ち上げた際のノイズに悩まされることもありませんから、ポストでの編集幅として厚みが存分にある余裕があります。
滑らかな階調表現
LUMIXは非常に滑らかな階調で光を捉えてくれます。
暗部から中間調を経て明部までの滑らかな階調は、ライブ現場でモニター越しにいつも感動するほどです。
特に中間調からハイライトの表現力は目を見張るものがあります。ハイライトは、トップエンドで粘りよくカーブが寝るようにロールオフして収まってくれているので、白飛びするギリギリのところまでの階調をきちんと残してくれています。
また色飽和も限界ギリギリで持ち堪えてくれるため、色調へもよく作用してくれます。
暗部に関しても見事な階調性で、低照度下においても金属やパールコーティングされたドラムキットのテクスチャが見事に再現されています。
暗部はべちゃっと塗ったようなマットな質感になりがちですが、LUMIXにはそれがありません。
暗部の階調表現とリッチな質感は、暗転したステージに対しても見事な美しさを保って表現し切ってくれます。
空気描写
LUMIXカメラの個人的な最大の描写の魅力は『空気描写』です。この空気描写は『立体感』『分離感』『粒状感』が三位一体となり表現されていると感じています。
色は光によって構成され、光は空気中を伝って私達の目に届いています。LUMIXの色調再現性や自然なコントラスト、滑らかな階調表現の総てはこのずば抜けた空気描写に起因していると考えているのです。
二次元の画面の中に立体感を見せる場合、『ボケ』や『遠近感』は常套手段ですが、LUMIXは絵作りの時点で近景ではハッキリと描かれ、遠景にかけてはみっちり描かれない、空気が霞んでいくような質感で立体感を演出してくれます。
ディープフォーカスでも平面的にならず、奥行きを感じられる写像は正直驚きです。
ミラーボールに照射される2つのレーザーライトですが、どちらが手前にあるでしょうか。
おそらく見て頂ければすぐにわかると思いますが、より下方から伸びるレーザーが手前に、上方から伸びるレーザーが後方に射しています。
放射光が重なっている中にも前後のレイヤーが見てとれますよね。このように分離がよく、立体的な空気のレイヤー構造がLUMIXの絵作りには息づいているのです。
「ノイズは無いに越したことはない」とは僕は考えていません。
デジタルの場合、どんなに階調表現が優れていようが断続的なデータに変わりないからです。
しかし、LUMIXは滑らかな階調表現を得意としています。これは一重に美しいフィルムグレインのような細かいノイズが、本来ギザギザしたデジタルの断続的な階調の間を埋めて滑らかにしてくれているのだと確信しています。
また、このノイズのおかげで本来空気中に存在しているであろう水分感、物質感を演出して、LUMIX特有のリッチな質感描写に繋がっていると考えています。
ステージ照明はスモークによって光をディフューズさせています。放射した照明内のスモークの濃淡の描写を見てみて下さい。
決してツルッとしておらず、ザラザラとした質感がありませんか。これこそがLUMIXの持つ粒状感によってもたらされる質感です。
ライブ撮影における優位性
自然な描写で空間をキャプチャーしてくれるLUMIXですが、ライブ撮影において描写性能以外の機能・性能面でも強烈なポテンシャルを感じさせられます。
しかしながら、ここでお話しするにはさらに長くなってしまうため、以前自身のYouTubeチャンネルにアップした解説動画を共有します。
本動画では、『無制限記録』『放熱性能』『PD給電』などの長時間記録に関する内容や、『共振ブレ』や『手ブレ』に対する最適解、露出を司る『ISOオートと測光モード』、『TC同期』『GH6の4ch』『一貫した絵作り』などのマルチカムに対する優位性について話しています。
またLUMIXカメラ間でのタイムコード同期については別動画で解説をしております。
一点モノのドキュメンタリーを撮りこぼさないために
最後まで読んで頂きありがとうございます。
ライブは生き物です。二度と訪れない最高の瞬間がそこにあります。
絶対に撮りこぼし、撮り漏らしの出来ない一点モノのドキュメンタリーです。それはアーティストの生き様であり、美学であり、ヒューマンリアリティです。
その心血注いだ時間作品を、可能な限り美しく記録をするために、僕はLUMIXの『描写』に絶対的な信頼をおいて選択をし続けてきました。
前述した『空間描写』を、使っていただければみなさんにも体感していただけることでしょう。
ライブ撮影をされている方も、是非一度LUMIXに触れてみてください。
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