マガジンのカバー画像

LAPUAN KANKURIT|フィンランドコラム

24
フィンランドのテキスタイルブランドLAPUAN KANKURITさんのnoteにて、「Design&Art」シリーズを寄稿しています。写真と言葉による新たな視点をお届けします。
運営しているクリエイター

#自然

Design&Art|Colors in Finland 〈06.フィンランドの色〉

「我々はスウェーデン人には戻れない。ロシア人にもなれない。そうだフィンランド人でいこう」 かつて、隣国からの支配と自国の独立の狭間にいたフィンランド。この言葉は当時のフィンランド人に民族意識を与え、結束、そして建国への後押しとなったといいます。 100年ちょっとの北の国。この地に生きる人びとは、自分たちの特色を、自分たちが誇れる景色を、すなわちフィンランドの「色」をずっと探し続けてきました。 “フィンランドデザインからは、自然を身近に感じていたいという人々の純粋な欲求と

Design&Art|デザインを覗く 〈12.人間と自然〉

「自然」という言葉には、ふたつの意味があります。 ひとつは、「人工」の対義語としての自然。これは空や海、木々や海など人間の手が加えられていない対象を示しており、日常生活でよく使われている言葉です。 もうひとつは、「状態」を指し示す言葉としての自然。こちらは自然物・人工物に関係なく、自然(体)な状態にある様々な対象に対して使われています。 わかりやすく分類すると、これらは英語の「Nature / ネイチャー」と「Natural / ナチュラル」の違い、つまり名詞と形容詞の

Design&Art|デザインを覗く 〈08.自然と空想〉

夕日は微笑み、雲は自由に空を散歩する ——。 私たちの生きるこの惑星には空があり、光があり、風があり、そして生命たちは絶えずうつろいでいます。時に、光は微笑むような表情をつくり、風は呼吸をするように行き交い、そして雲は散歩をするように空を流れています。 このように、自然物を含めた万物に生命が宿っていると考えることを「アニミズム(animism)」と言います。これは、人類学者のエドワード・B.タイラーが提唱したもので、元を辿ると霊魂を意味するラテン語のanimaに由来します

Design&Art|デザインを覗く 〈05.水との対話〉

日本でも世代を超えて長く愛されている、フィンランドのデザイン。アアルト大学でデザインを学び、現在は日本とフィンランドを繋ぐデザイン活動を行っている、lumikka(ルミッカ)のおふたりが、フィンランドデザインをつくる様々な要素を探り、その魅力を紐解きます。 “ When You See Your Reflection in Water, Do You Recognize the Water in You?” 「水の中にあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる?」 とても

Design&Art|デザインを覗く 〈02.大地の音色〉

空を見上げること、大地を歩くこと。 私たちは、外の世界を自分の目で見つめ、自分の足で大地を歩くことを通じて自然と出会い、そして新たな視点を発見します。極めて当たり前のことのようですが、都市に住んでいると久しく土の上を歩いていないことにふと気付くことがあります。アスファルトの大地は固く、土の香りは街の雑踏にまみれて霞んでいきます。 フィンランドでは、街のすぐそばに森があり海があり湖があり、またそこへ通ずる自然のままの小道がたくさんあります。それらは、ただ単に人々の散歩道とし

Design&Art|デザインを覗く 〈01.線とリズム〉

これまで6回にわたってデザインの視点をお伝えしてきた「デザインの眺め」シリーズは、今回から「デザインを覗く」とシリーズ名を変えての再スタートです。「デザインの眺め」では空の上から眺めるような、鳥の視点でフィンランドデザインを幅広くご紹介してきましたが、新たにスタートする「デザインを覗く」では、地表に目を凝らして、フィンランドのデザインエッセンスをのぞいてみたいと思います。 フィンランドの自然にひそむ、デザインの種をさがす旅に出かけてみませんか。きっと、フィンランドデザインの