オタク未満、新参者

オタク、という言葉が世の中に登場して久しい。

ネガティブなイメージをお持ちの方もいるだろうし、実際そんな時代もあったけれど、1つのことに熱量を集中するそのパワーにひれ伏すというのが昨今のトレンドであるかのように思う。

最近、タイのドラマにハマってタイ界隈の発信力半端ない方々を数人Twitterでフォローしたけれど、妄想力・発信力・読解力の凄さに日々感嘆しきりだ。

彼らは「布教」と称して、お気に入りの方が出演したドラマをどうにかたくさんの方に見てもらいたいとバンバン発信しているし(時には緻密な布教シートまで作成)、誇大な妄想力を発揮して「推し」の魅力を増幅させることに成功している。

その周囲を徘徊していると、非常に感心するのが「推しに課金したい」という強烈な欲望である。

私自身、これまで国内を主に好きなアイドルや俳優などその時々で存在していたけれど、あくまでも彼らが提供してくるいわゆる「グッズ」は自分が必要か否かで購入を決定してきた。

あくまでも普通の洋服や文房具などと、購入動機は変わらない。

コンサートグッズは生活には必要ないけれど、自分が参加するライブをより楽しく過ごそうという欲望で必要最小限の物だけを買う(ただしこれも最近は持て余し気味)

なので、好きなアーティストがブランドなどをプロデュースしてファン向けに発売したとしても、ロゴオンリーのTシャツやバッグなどを見せられても今ひとつ購買意欲は湧かない。あくまでも「これを着たいかどうか」で選ぶ。

ところが、どうやら巷はそうでないらしい。

タイの俳優さんの場合は、ボランティアや寄付と絡めている場合も多く、ファンの方に「グッズ購入で〜寄付に協力できます」というプラスアルファがある故に「大好きな人に課金できる上に(グッズを買う)、いいこともできる!大好きな人に貢献できる!」とwinwinの精神構造ができている場合も多く、買いやすい条件が揃う。

グッズが売れれば売れるほど寄付額が上がり、それが結果的に本人を喜ばせることになる、という「課金精神」が躍り狂う。

詳細を確認すると、特に海外からの送付の場合はその金額が半端ない。日本の通販では「送料無料」が購入ボタンの動機付けに一役買っているようなところがあるが、推しの精神にはそんなものは関係ないご様子。

その熱量にひれ伏すと同時に、国内の、好きなアーティストのグッズを見ながら「これ買っても着ないだろうなぁ」とカートを前に茫然とたたずむ私なのだった。

ファン指数が跳ね上がるにはまだ何かが足りない、らしい。

そして踊り狂えるそのパワーが羨ましい。

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