恋よ、今こそマジメに哲学されよ
〜恋愛が導く”呪い”とは何か〜
1.はじめに
それは「恋について話をしましょう」と声をかけられたことから始まった。
任せて、と腕まくりをしてワクワクした心の中とは裏腹に、話はさほど盛り上がらない。
学生時代はあんなに尽きなかった話題なのに、参加メンバーの年齢が上がり、既婚者が増えてくると、それは自分たちのことではなくなっていた。
あの頃は誰と誰がくっついて、誰が誰のことを好きで、同級生の噂話に始まり、自分たちの好きな人のことまで、飽きることなく語っていた。
けれどテッパンだった話題は、知らないうちに自分には関係のないものになっていた。
恋愛に興味を失ったわけでは決して、ない。
恋愛ドラマや恋愛小説、変わらず胸を揺さぶられる。他人の恋愛ごとにあれこれ注文をつけ、嫉妬したり羨んだりする。
ただ、あの頃心の面積の大部分を占めていた恋愛は、すっかり息を潜めてしまった。いつの間にか距離が離れ、他人事になっていた。
もちろん結婚したという事実も関係しているだろう。年齢もあるだろう。
けれど、今になって改めて思う。「恋」とはいったい何だったのか。もうそれは自分の手にはないのだろうか。
無様で独りよがりで、時にはあられもない欲望を掻き立ててくるのに、突如現れ、暴走し、膨張する制御不能な精神の一部。幸不幸が表裏一体の、脆くて拙(つたな)い感情。
どうして人は、人を好きになり、恋をするのだろう。
ここでは「恋」の起源から、「恋」という現象に関する疑問や勘違いまで、あらゆる視点から考え、恋の何たるかを丁寧に紐解いてみた。
恋をしているあなたも、恋から離れているあなたも、これから私と一緒に「恋」というものを真面目にいろんな角度から眺めてみませんか。
それでは始まります。
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