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有名企業に勤めているのに家なき子になった話~第1話~


「まさかこうなるとは…」

大急ぎで荷物を詰めながら、

私はここ数ヶ月の間に起こったことを
走馬灯のように考えていました。


正直私は、その朝自分の身に起こった出来事が

まだ信じられないでいました。

それでも、これ以上もうここには居られない。

きっと2度とこの家に戻ってくることはないだろう。

だから、大切なものほど

忘れないようにしっかりと持ち出さなければ...

そう思いながら、とにかく必死で
荷物をダンボールに詰め込んでいきました。

タイムリミットは4時間ほど。

ヤマト運輸が集荷に来てくれるまでの間に、

家中にある自分の荷物を
かき集めなければなりませんでした。


急なことだったので、
集荷を頼んだものの、
ダンボールすら十分には手元になく、
まずは近くのコンビニやスーパーをめぐり
荷物を詰めるためのダンボール探しからはじめました。

自分の持ち物すべてを運び出す…と
本当は言いたいところでしたが、

大きすぎてダンボールに入らないもの、

私にはもう必要ないと思うもの、

そういったものはとりあえず諦めることにしました。


ヤマト運輸で送った荷物は、全て実家行きです。

両親に申し訳ないなと思いながらも、

急なことだったのですべて着払い。

数時間の間でなんとか詰め終わって

実家に送り返した荷物は全部で10箱ほど。

本当はこのまま実家に帰ってしまいたい
気持ちもありましたが、

仕事もありましたし、

その後の数週間、すでに決まっている予定も
たくさんありました。


行き先は決まっていません。
今日夜寝るところさえ決まっていない
この状況。


でも、家さえ出れば寝る場所は
漫画喫茶だってスーパー銭湯だってなんとかなる。

私はとりあえずここ一週間の間に必要な
荷物をスーツケースに詰め、
1ヶ月だけ住んだ新居をあとにしました。


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