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成功の決め手は、実は「親」ー『生きのびるための事務』感想

この本(漫画)を読んで、進路に迷う若者が
「しがない僕も、事務=お金管理とスケジュール管理をしっかりやれば、夢がかなうかも!」
と期待してしまうことでしょう。
しかし、残念ながら、ほとんどの若者は、そううまくはいかないと思います。


主人公が成功したのは、事務=お金管理とスケジュール管理のおかげ、というのが主たる理由ではありません。

主たる理由は
1「本人がハイスペック」
2「親が金持ち」

この2つです。


1「本人がハイスペック」

1)なんと言っても、「やりたい」というパッションがたいへんに強く、持続できる人である。
=「いつまでも楽しく好きなことを、続けられる=<才能>がある」と本書にありますが、そのとおり、主人公は才能がある人なのです。

2)早稲田大学理工学部建築学科を卒業できるような優秀な人である。
コンペで最終審査を通過するようなプレゼンを作ることもできる。

3)高校時代には、建築雑誌を20年分全部読み返すことができた。それほどの知性と情熱の持ち主です。


そして、こうした本人のハイスペックは何を背景に作られたのかというと

2 親が金持ち
ってことです。


この主人公の親は、相当金持ちです。

1)主人公を、熊本から早稲田大学理工学部に入学させている。
2)主人公の大学卒業後も、毎月米を送り続けている。
3)主人公の弟をも、東京・青山にある大学に通わせている。
4)主人公の高校入学祝いに、ギブソンのレスポールを買い与えている。
熊本在住で、レスポールを15歳の息子に買い与える親なんて、よっぽど豪奢な人物でしょう。

つまり、それほど裕福な家庭だったから、主人公は教養ある知性の高い若者に育ったのです。
そして、大学卒業後、食いっぱぐれる心配もなく、存分に好きなことができたのです。



以上の2点については暗黙の前提、所与のものとして言及せず、あたかも「事務」というテクニック(決断力、行動力)のみによって成功したように表現し、「だからあなたもきっとできる」と読者に思わせるのは、なんかずるいんじゃないかなあ。


・・・と、一介の地方公務員は思うわけです。
ひがみと言わば言え。笑。



日本は、他の先進国と同様、格差社会なんです。
格差がたいへん見えにくい社会なんです。
そのことを忘れてはいけないと思います。


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