欲求にしたがって目標をたてる

「つながる英単語ノート」という連載を始めて10ヶ月になります。「新JACET8000」の英単語8000語の網羅を目指すといってだらだらと更新してきて、ようやく700語、全体の約9%になりました。

ぼくにとってこれは、やりたいことのごく一部の、ほんの始まりにすぎないはずでした。

そもそも英語ばかり扱っていたいわけではないですし、英語をやるなら、英語をちゃんと使いこなせるようになるための手助けをしたいという思いがあります。

そのためにはたくさんの正しい文にふれて、自分で文を作れるようになることこそが大事だと思っています。語源というのは取っかかりにすぎず、良い取っかかりになるのであれば、語呂合わせであろうと、非科学的な“語源”であろうと、なんでもいいはずなのです。

となると、できるだけ学術的に正しい語源をまとめてみたいというのは、きっと大方においてぼくの自己満足にすぎないのでしょう。

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語源のまとめと並行して、書籍から用例を集める試みを進めていて、こちらは現在300文程度になります。

その一部を「用例と語源で学ぶ英単語」というシリーズで取り上げています。こちらは、語源の話もしつつ、もう少し実用的な語法の解説なども加えており、おかげさまで「つながる英単語ノート」よりも多くの読者の方にお読みいただいております。

これはこれで、最低でも1万文を目指して集めていきたいと思っていますし、ゆくゆくは多言語で、それらを公開する機会もあるでしょう。

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けれども、このペースで続けていくと、8000語の語源をまとめ終わるまでに10年近くかかってしまいます。そのことを考えるたびに、焦りのようなどんよりした気持ちになります。そんなに待てない、と思うのです。

ぼく自身が、この基本英単語の体系が完成するのを、早く見たいのです。

ランク1の the からランク8000の extremist までが、§1.1「世界」から§22.45「幽霊」まで(+いくつかの新しい分類)に収まる姿を、早く見たいのです。

これが完成すれば、例えば pollen(「花粉」)という英単語を覚えようとするときに、既に知っている powder(「粉」)と語源上関連があることを知り、同じ po- で始まることを記憶の手助けにすることができます。

また、語源上関連のある tooth と dental や、語源上は関連のない mouth と oral なども、それぞれ一緒に確認することができます。

さらに、隣り合った節を見ると、近い意味を持つ単語をまとめて見ることもできます。§1.81「火」、§1.82「炎」、§1.83「煙」、§1.84「灰」などとめくっていくのも楽しいでしょう。

(そしてこれが出来上がった後の話ですが、すべての単語に豊富な用例と解説がつき、もしも可能ならラテン語や古英語などにも対訳つきの用例がつけば、実用と非実用を兼ね揃えたちょっとした辞書のようなものになるかもしれません。)

自分がこれを作り上げたい、というより、これが出来上がった世界を見てみたい、というのは、少し曲がった思いかもしれませんが、ぼくはこの欲求を大事にしようと思いました。

そこで目標を立てます。

2022年末までに、新JACET8000の英単語すべての語源をまとめあげたいと思います。

単純計算で、週に100語、月に450語、つまりこれまでの6倍のペースでなんとか間に合うことになります。ちょっと無茶かもしれませんが、スピード感がないとやってらんないので、とりあえず挑戦してみることにします。

それに伴い、「用例と語源で学ぶ英単語」の連載は、一旦ストップして、「つながる英単語ノート」に専念させていただくことにします。

用例のない今の形だと、どうしても無味乾燥であまり役にも立たないものになりますが、良い用例を集めるのは本当に大変なことなので、一旦それはあきらめることにしました。

また、なぜその語形成でその意味になるのか、なぜ今の発音、今の綴りになったのか、という疑問に答えようとすることも、原則としてやめにすることにします。むしろそういう説明ができるようになるための準備を今しているところなのだともいえます。一通り揃った後で、接頭辞や接尾辞や音変化ごとのまとめや、単語一つ一つの解説も(今よりは)書けるようになるでしょう。(あと、語源関連のコンテンツがすでに世にあふれているのにどうしてぼくがこんなことをしなければならないかも、語れるようになるかもしれません。)

そういうわけなので、当面は、読者の皆さまにとってもつまらない投稿が続くことになるとは思いますが、いつか、もう少しわくわくするものの一部分になるはずなので、大目に見ていただければさいわいでございます。

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ぼくの今後の活動について補足しておきます。

以前から行っている詩の翻訳は、(ぼくの精神バランスを保つためにも)これからも不定期で続けていくつもりです。ぼくの詩の翻訳を楽しみにしてくださった方には、今後の大量投稿は目ざわりになってしまうかもしれません。その際は、代わりに各マガジンをフォローしていただけるととてもうれしいです。

また日本文学の英訳を日本語に再翻訳するサークルも続けてまいります。近現代詩を中心に、毎月1つの作品を訳しています。新メンバーも常時募集しており、無料招待枠もまだ残っていますので、関心のある方はご連絡ください。

ひよこのるるの活動をさまざまな形で支援してくださっている方々に、この場を借りて改めてお礼申し上げます。

すべては素人道楽にすぎませんが、どうせやるからにはなにかしら意義のあるものにしたいという思いもあります(その思いが空回りしてしまうこともありますが……)。

決して万人受けするコンテンツではないと思いますが、少しでも面白い、あるいは面白いものになりそうと感じてくださった方は、どうぞこれからもよろしくお願いします。

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