見出し画像

プラスミドまとめ【問題演習あり】


プラスミド(Plasmid)

1. プラスミドの基本概念

プラスミドは細菌(bacteria)や一部の古細菌(archaea)に存在する環状の二本鎖DNA(double-stranded DNA)分子で、細胞の染色体DNA(chromosomal DNA)とは別に存在する。プラスミドの役割は、細菌に追加的な機能を付与することだ。一般に、プラスミドは染色体DNAに含まれていない遺伝子(genes)を持っており、細菌の生存や適応に寄与する。これらの遺伝子はプラスミドが持つ特有の遺伝情報であり、例えば抗生物質耐性(antibiotic resistance)や病原性(virulence)に関与する。

2. プラスミドの構造と種類

プラスミドは通常、環状のDNA分子で構成されており、一般的に数千から数万塩基対(base pairs)のサイズを持つ。プラスミドの基本的な構造要素には以下のものが含まれる:

  • 複製起点(Origin of Replication, ori): プラスミドが自己複製するための起点。ここから複製が始まる。

  • 選択マーカー(Selectable Markers): 特定の遺伝子の存在を確認するためのマーカー。抗生物質耐性遺伝子(antibiotic resistance genes)などが含まれる。

  • クローン挿入部位(Cloning Sites): 外部の遺伝子を組み込むための特定の部位。制限酵素認識部位(restriction enzyme sites)が含まれることが多い。

プラスミドの主な種類には以下がある:

  • 抗生物質耐性プラスミド(Antibiotic Resistance Plasmids): 抗生物質に対する耐性を細菌に付与する。これにより、抗生物質が存在する環境でも生存できる。

  • 病原性プラスミド(Virulence Plasmids): 病原性を発揮するための遺伝子を含む。これにより、細菌が宿主に対して病気を引き起こす能力を持つ。

  • 代謝プラスミド(Metabolic Plasmids): 特定の代謝経路に関与する遺伝子を持つ。例えば、特定の炭素源を利用するための遺伝子が含まれる。

ここから先は

4,836字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?