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対話型鑑賞 アクティブラーニング

最近、アート思考なんて言葉が言われだしましたが、
アート思考っていったいなに??

じつは明確な説明はまだないみたい。
ある人に言わせると、音楽家や美術関連の作家など、
芸術的クリエイティブな仕事をしている人が、
誰かの助言などに頼ることなく自らの考えで、
何かを生み出す発想のこと。だったり、
単純に直観だったり、

自分だけのものの見方、
自分だけの考え方ができるなんて言ったりもする。

美術館に何を観に来ている?

私は、美術館での勤務がきっかけで、このアート思考に近い
鑑賞の方法を学ぶきっかけがあった。
その鑑賞の仕方を促す、ファシリテーターを養成するプログラムにも参加した。

そして、私がそのファシリテーターをするときに、
大人向けには、少し頭での勉強も加えているのだけど、
下の写真からスタートする。
そして、こう投げかける
「皆さんは美術館にある2つのものを観に来ています。
なんとなんでしょう?」

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答えは、作品と作品解説のパネル(キャプションといいます)。
さらに1つの作品でこの2つをどのくらい観ているのか?
作品が長い??
キャプションが長い??

この質問を美術館に働いている人にするとキャプションが長いが圧倒的
一般の方にすると作品が長いが7割くらい。

正解は・・・・・



作品が約10秒
キャプションが約30秒

キャプションが長いのです。
大体、作品をパッと観て、キャプションを「ふむふむ」と読む
そしてもう一度作品を観て、「ほーっ」と納得して次へ

美術館ではよく展示を見るのにどのくらいの時間がかかりますか?と
問い合わせの電話がかかってくるのですが、
大体100点くらいの展覧会が多いので、

100点×40秒 = 4000秒(約66分)

そう大体1時間(45分は文字を読んでいることになりますね!)。

展覧会に行くときは1時間くらいは余裕を持っていくと良い感じです。

ですが、この見方は、アート思考にはどうしてもならない。
キャプションの説明文を読んで納得したつもりになることが多いし、
こういう風にみてね。ここを観てねと言っているようなものなので、
ほかのものが観えなくなります。

錯覚

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この作品は何に観えますか?

大体2つに分かれます。
①老婆
 帽子をかぶった赤い口紅をつけた、あごの出ているおばあさん
②若い女性
 帽子をかぶった首に赤い首飾りをしている若い女性

これは全く同じものを観ていますが、自身の感覚や経験によって
見え方が変わってきます。
人によって価値観が違うことの現れです。

アート思考は感覚が大事といわれることがありますが、
私は、その感覚は本人の経験に基づいていると思っています。
どんな人生を送ってきたかによって感覚も違うと思っています。

モナリザ

次の絵をよく眺めてみてください。
この絵は知ってるよと思うかもしれまんが・・・

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観ましたか??

さて、この作品に関して知っていることを教えてくだい。


作品名:モナリザ
作家:レオナルド・ダ・ヴィンチ
所蔵美術館:ルーブル美術館
しばらくお金持ちの浴室に飾ってあった
ダ・ヴィンチ本人の自画像という説もある
実は同じモチーフの絵が複数枚ある
                 などなど

いろいろあると思いますが、実はこの上の情報は、
この作品にまつわる周辺情報
絵の中身の話はありません。

では、ここで問題。
モナリザは手を組んでいます。右手が上ですか?左手が上ですか?

一旦、絵には戻らずに考えてみてください。











答えは? 上にスクロールしなおしてOKです

右手でした


あたりました?
普段から知っていると思っている作品は絵の細部を実は観ていません。
物事の本質は周辺情報がありすぎると見落としてしまうということの例です。

アート思考はまさに、周辺の情報や周りの声にとらわれず、
自分が自分の経験や直観に基づいて、
感じたこと、思ったことを信じ、自分の考えの一部とする方法だと思います。


対話型鑑賞

こんな感じで、頭の体操をしたあと、
実際にはもっとありますが・・・・
10人前後のグループで、ある作品をまず、1分間ジーっと観て、
そのあと感じたことを話し合いながら、
もっと作品の深いところを探ってみるということをしています。

私が美術の世界でやっているこの鑑賞法は、
対話型鑑賞(Visual Thinking Strategies)といいます。

作品の中に登場する人物などから、前後の状況を想像したり、
関係性を探ってみたりするのが基本ですが、
作品を描いた作家を思いを作品から探ってみたり、
その作品を収集した人の思いを探ってみたり、
作品からどんな人が描いたのか?を探ってみたり、
いろんなバリエーションでやっています。

美術は良く分からないという人は、おそらく、
自分には知識がないから、と思っている人が多いのでは?と思います。
この対話型鑑賞は、美術の時代や場所のこと
素材のことも何にも知らなくてもできるので、
気軽にできますし。決して美術作品でなくもできます。

図1

こんなんでも。
どうやるのか?それは、直接お問い合わせをw

アクティブラーニング

今年から新しくなった、学習指導要領の一番のキーワードと言っても過言ではないこの言葉。
今までの学校教育は、先生が例えば公式を教え、その型にはめて、
問題を解いていく。そして覚える。
台形の面積の計算式が (上辺+下辺)×高さ÷2
これがなぜか?なんてちゃんと教えてくれない。

この教え方が悪いわけではないけれど、
アクティブラーニングは、子供たちが自ら能動的に疑問に向かって考え、
答えを導き出すという考え方。
先生は、教えるのではなく、子供たちがその答えにたどり着くように
手助けをしてあげる「ファシリテーター」「伴走者」になる。

この考え方を学んで、
子育ても、部下育成もすべて、
この方法で伴走しないといけないんだなー
ペースメーカーになってあげないといけないんだなー
と思うようになった。

そして、この鑑賞法は各々に答えが出ればよいので、
1つの答えを出さずに終わる。
慣れないとなんだかこれでいいのか心配になるけど、
そう、各々が良ければよいのです。

一人ひとり同じ人はいないのだから、
思うことも、やりたいことも、みんな違うんです。


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