不倫したら離婚しにくくなる
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このブログでは、2019年7月にうつ病を発症し、それをきっかけに同年12月からブログを始めて、それ以降、700日以上毎日ブログ更新してきた、しがないサラリーマン弁護士である僕が、日々考えていることを綴っています。
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【 今日のトピック:有責配偶者 】
不倫が原因で離婚することは、結構多いです。
ベッキーの不倫を筆頭に、身障者トイレでの渡部不倫など、世間では、不倫に対するバッシングがひどいですが(というか、これは、不倫そのものに対するバッシングというよりは、成功者に対するキャンセルカルチャー(成功者を引きずり下ろすキャンペーン)と捉えるべきだと思います)、これだけ不倫に対して世間が敏感になっていても、やっぱり、不倫が原因で離婚する夫婦が跡を絶ちません。
不倫が起きる原因は多々あると思いますが、どれにも共通しているのは、配偶者以外とセックス可能な人体の構造です。
結婚した後に、配偶者以外とのセックスを抑止しているのは、法律やモラルのみです。人間の構造的には、結婚したとしても、結婚相手以外とセックスできちゃいます。
そうすると、そもそも、一夫一婦制が、人間の構造とは相反する制度かもしれません。
まあ、そこまで言わなくても、一夫一婦制を担保するのは法律やモラルのみなのは間違いなくて、一夫一婦制を採用しているからといって、人間の構造的に不倫を完全に抑止することはできないわけです。
結婚相手以外ともセックスできてしまうという人間の構造と、一夫一婦制との矛盾によって、今後も、配偶者以外とのセックスは「不倫」と呼ばれ続け、「不倫」の被害を受けてしまう人もいなくならないでしょう。
不倫についていろいろと書きましたが、これは前置きで、メインの話は、タイトルのとおりです。
不倫してしまうと離婚しにくくなってしまう、ということです。
僕の経験上、夫が不倫した場合、妻との夫婦関係はキープしたい(=離婚したくない)と思っている確率がそれなりに高いですが、妻が不倫した場合は、夫とよりを戻すつもりはない(=離婚したい)と思っている確率が高いです。
男の浮気は遊びだけれども、女の浮気は本気、ていうやつですね。
まあ、不倫した夫が離婚したいと思っている確率も結構高いので、夫の不倫が遊びか本気かは、半々くらいの割合でしょうか。
しかし、妻の不倫が遊びというのは結構珍しく、だいたいは本気です。
(だから、「夫の浮気は遊びだけれども、女の浮気は本気」というのは、「女の浮気は本気」の部分は当たっているなあと思います。夫の浮気が遊びかどうかは、その夫次第な感じです)
妻の不倫が本気なのは仕方ないことなのかもしれません。夫婦関係が冷え切っているから、別の男性を求めてしまうのでしょう。
しかし、その不倫相手と結婚するためには、関係が冷え切った今の夫と離婚しなければいけません。
仮に、不倫相手の子を妊娠した場合、離婚しなければ、生まれた子どもは今の夫と子どもとして戸籍に登録されてしまいます。
子どもが生まれた後に、夫が嫡出否認してくれればいいですが、不倫相手の子どもだと夫に打ち明けた後、夫が激昂して、「ぜったいに嫡出否認しないからな」と言ってくる場合もあります。
そうなると、生物学的には夫の子どもではないのに、法的には、夫の実子であることが確定してしまいます。
嫡出否認以外の方法で、父子関係を否定する方法もなくはないのですが、そのためには、夫と別居しているなど、懐胎した時期に夫の子を身籠る可能性がゼロであったことを証明しなければいけません。
夫と同居していると、基本的にこの証明は無理ゲーです。夫と同居していたけれども、関係は冷え切っていて、夫とはセックスしていませんでした!と主張したとしても、それでは、裁判所は認めてくれません。
DNA鑑定で父子関係を否定することもできません。そもそも、日本の民法では、子が1歳になったら、嫡出否認ができなくなると決めているんですが、そうだとすれば、民法上、生物学的な父子関係と、法的な父子関係が異なってしまうことは想定の範囲内です。
生物学的な父子関係と法的な父子関係が違ってもいいからこそ、嫡出否認の期間を、子が1歳になるまでに限定しているのです。
はあ、残念です・・・。
話がそれましたが、話を戻すと、本気で不倫した妻としては、不倫相手と結婚し、なおかつ、妊娠した子を不倫相手の子として戸籍に登録させるためにも、夫と離婚したいはずです。
夫と結婚している最中に生まれちゃうと、子どもが夫の子として戸籍に登録されてしまい、その登録を覆すのも骨が折れるからです。
じゃあ、できるだけ早く夫と離婚しなきゃいけないわけですが、不倫していると、自分から離婚を請求することがめちゃくちゃ難しくなってしまいます。
不倫の被害にあった夫から、不倫した妻に対して離婚を請求することはできるのですが、これが、不倫した張本人である妻から離婚を請求するとなると、めちゃくちゃ難しいんです。
そもそも、日本では、
・協議離婚
・調停離婚
・裁判離婚
という3種類の離婚方法が用意されているのですが、協議離婚と調停離婚は、お互いが離婚に合意しているので、離婚できます。
しかし、相手が離婚したくないと言っている場合でも、どうしても離婚したいことってありますよね?
その場合に、離婚の裁判を起こすのですが、この裁判では、離婚を請求する当事者が離婚原因を立証しなければいけません。
離婚原因とは、ざっくり言えば、「夫婦関係が完全に崩壊して修復不可能な状態」です。しかし、妻が不倫した結果として、夫婦関係が崩壊した場合に、不倫した妻が自ら、「夫婦関係は崩壊してるんで」と主張して、離婚を請求し、それを裁判所が認めるわけにはいきませんよね。
自分で夫婦関係を壊しておきながら、その壊れた状態を利用して、自分の離婚請求に利用するなんて、そんなの勝手すぎます。だから、裁判所は、自ら夫婦関係を壊した妻(または夫)からの離婚請求を認めません。
つまり、離婚させてくれないのです。
繰り返しになりますが、不倫被害を受けた夫(または妻)が、離婚したいと言っていれば、離婚できます。
しかし、不倫被害を受けた夫(または妻)が、不倫被害を受けたにもかかわらず離婚したくないと言っているのであれば、そちらの主張が通っちゃう=離婚請求が棄却される、ことになります。
不倫した妻としては、自分が不倫した経緯や理由をいろいろと言いたいと思います。
夫が家事に協力しないなど、夫婦関係が冷え切ってしまった結果をいろいろと言いたいはずです。
しかし、同居していて、妻が洗濯や掃除をしていたり、食事を用意していたりしているのであれば、感情面では関係が冷え切っているとしても、生活の面では、夫婦の関係が維持されています。
そうすると、妻の不倫が夫婦関係に影響を与えたことは否定できません。
不倫しなきゃいけなくなった理由をいろいろと主張したい妻の気持ちもわからなくはないのですが、既に別居していたりして夫婦関係が完全に崩壊しているならまだしも、そうでなければ、やっぱり、自分の不倫によって夫婦関係を崩壊に導いた(夫婦関係の崩壊に少なからず寄与した)ことは間違いがなく、したがって、そんな妻から離婚請求は、認めるべきではないのです。
繰り返しになりますが、夫が離婚していいと言っているのなら、離婚できます。
しかし、これは結局、離婚できるかどうかの決定権を夫に握られている状態なので、離婚の交渉において非常に不利です。
離婚の条件も、夫が有利に進められちゃいます。交渉してもいいのですが、最終的に、「この条件がイヤなら離婚しないよ」と夫に言われてしまいます。
そんな夫と無理やり離婚するには、最低5年は別居しなきゃいけません。有責配偶者からの離婚請求が未来永劫認められないわけではなく、別居期間がかなり長期化すれば、裁判所も離婚を認めてくれるのですが、その期間は最低5年と言われたりもしてます。
待てないなら、夫に言われるがままの条件で離婚することになります。
「破綻後の不倫」といって、夫婦関係が完全に崩壊した後の不倫であれば、有責配偶者に該当しないのですが、その判断を安易に下すのはよくありません。
早めに弁護士に相談されてみてください。
それではまた明日!・・・↓
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