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愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ

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このブログでは、2019年7月にうつ病を発症し、それをきっかけに同年12月からブログを始めて、それ以降、600日以上毎日ブログ更新してきた、しがないサラリーマン弁護士である僕が、日々考えていることを綴っています。

法律に関する記事は既にたくさん書いていますので、興味のある方は、こちらにテーマ別で整理していますので、興味のあるテーマを選んでご覧ください。

【 今日のトピック:歴史に学ぶ 】

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」

これは、ドイツ統一を成し遂げた、プロイセン王国の首相ビスマルクの言葉らしいです。

僕も、歴史については素人ですが、「ドイツ統一」なんてめちゃくちゃ大変だったと思います。

ドイツには、王国が乱立していて、各王国の領主が「王」を自称し、軍隊を持っていたわけです。

日本でも、江戸時代の幕藩体制の頃はそうで、鳥羽・伏見の戦いによって薩長同盟の勝利が確定した後、戊辰戦争で対抗勢力を一掃する必要がありました。

日本の統一と、ドイツの統一って、結構時期が重なっているようです。

当時は帝国主義全盛で、ヨーロッパでは、イギリスという超大国と、それに加えてフランスとロシアという大国が覇権を争っていました。それに対抗するために、お隣さん同士で争っている場合ではないと考えるのは、僕も非常に理解できます。

お隣さん同士の、世界レベルから見たらどうでもいい(というか、ないに等しい)イザコザにこだわっていたら、あっという間に大国に食い物にされるのが、この時代です。

食い物にされてズタズタに引き裂かれたのが、当時の「清」という国です。

アヘン戦争という、イギリスと真っ向勝負した貴重な経験を「清」という国はお持ちなわけですが、その結果、清の海岸線はズタズタに引き裂かれ(「引き裂かれ」というのは、「ことごとく外国に奪われた」という意味です)、特に香港は、このときにイギリス領とされ(その名の通り、イギリス王国の一部になりました)、1997年になって返還されました。

常に、大国が大国同士を牽制し、合従連衡が錯綜していて、その国際関係で対等な地位を築けないのなら、どんどんどんどん国が削られていく。

そういった厳しい時代にありました。

まあ、ビスマルクの生きた時代背景は今日のトピックとあんまり関係ないんですが、今日は、タイトルのとおり、「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」について書いていこうと思います。

これは、僕が心に刻みつけている言葉なんですが、今の時代は、経験に基づいて考えていたら、失敗します。

そういう世の中です。

例えば、まだ続いている新型コロナウイルス騒ぎも、経験に基づいて考えていたら失敗します。

だって、これまで、人と人との接触を回避しなければならないことなんてありませんでしたから。経験に学ぼうにも、そもそも誰も経験したことがないわけですから、学びようがありません。

誰も経験したことがないにもかかわらず、正しい選択をしながら前に進まなきゃいけない。

そうすると、経験が活きるはずもない。

新型コロナウイルスも、歴史に学ぶいい機会だったと僕は思います。

おそらく、人間が進化の過程で獲得した本能のレベルでは、経験を重視するようにプログラムされていると思います。

というのも、進化の過程では文字もありませんでしたから、知識を後世に受け継ぐ手法が口伝えしかありませんでした。

そうすると、人間の記憶が勝負で、蓄積できる記憶も、基本的には年をとっていたほうが多いです。

で、何よりも大切なのは、進化の過程では、環境や時代の変化がほとんどなかったことです。

進化の過程で、年単位で環境や時代が変化することはまずありませんでした。

去年と今年で、どれくらい環境が違うかも、去年の今日の情報が文字として確認しようもありません。

それに加えて、狩猟採集生活では、とにかく、環境との共存が重視され、環境が変わらないことが大切でした。

だから、当時の人間が意識していたかどうかはわかりませんが、神様の視点で見れば、人間は意図的に変化を避けていたと思います。

環境が変化することは、それはつまり、食料の場所が変化することを意味します。

それは非常に困ってしまいます。季節ごとに食料の場所が移り変わるのは別に構わないんですが、その変化がイレギュラーだと、途端に食料確保が困難となってしまうのが旧石器時代です。

変化を嫌い、今年も去年と同じように季節が流れ、来年も今年と同じであってほしい。

それが、旧石器時代を生きた人類の願いで、そう願い、自らそう仕向けてきた人たちが、食料を確保してきて生き残ってきました。

だから、過去の経験が、今も将来もずっと活かすことができると考えて、過去の経験を重視するのは、人間の本能です。

だから、僕らは、素朴な感情として、年長者を敬います。「素朴な感情」というのは、「本能にインプットされている」ということです。

進化の過程で、年長者の知識が役に立ってきたからこそ、年長者を敬う気持ちは、僕らの心に素朴な感情として埋め込まれています。

でも、今は時代がどんどんどんどん変化していきます。

産業革命以降、人類は、科学のチカラを手に入れました。

科学のチカラは、過去の経験ではなく、何が正しいか(=知識)を示してくれます。その知識は、文字情報となり、インターネットを通じて病で世界中と共有されます。

過去の経験に頼らずとも正しい情報を教えてくれる能力を人類は獲得し、それが、変化の激しい(変化が頻繁に起きるという頻度の点と、その変化自体も大きいという振れ幅の点で「激しい」)時代を生き抜くために不可欠となっています。

人類は、過去の経験を活かそうというのは感情レベルでインプットされていますが、文字情報を勉強することは本能にインプットされていません。

だから、感情ではなく理性的に、勉強しないといけません。

経験から学ぶという本能にインプットされた仕組みは、変化がない時代を前提としていたから、変化の激しい時代では通用しないよね、ということで、僕は、少し口の悪い表現ですが、「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」ということを心に刻んでいます。

で、今日はもう少し続きがあります。

それは、矛盾するようですが、「知識がなんぼのもんじゃい!」ということです。

経験が役に立たないから知識に頼ろうというのはわかりやすくていいんですが、しかし、知識の偏重がグロテスクな結果をもたらしたことも歴史の常です。

例えば、ナチスによるユダヤ人迫害は、「優生学」という理論的な根拠に基づき正当な行為とされていました。

理論的な根拠があるだけでなく、国民の多数が望んでいたから、「デモクラシー(民主政)」の点でも、当時は間違いなく正当でした。

他にも、フランス革命だって、ルソーという大思想家が書き残した「人間不平等起源論」という本に基づき、貴族及び王族を打倒し、市民による政府を作るという「崇高な」目標を実現しました。

ただ、その結果、ルイ16世及びマリアントワネットがギロチンに送られたわけで、それが「正しかった」と言うのは、今の常識に照らすと完全に「イッちゃって」ます。

変化の激しい時代では、過去の経験よりも知識が大切だよね、というのも大切なんですが、その「知識」というやつも、時代によって変化することをきちんと頭に入れておく必要があります。

B型肝炎も、当時は、予防接種を同じ注射器で打ち回すことに医学的な誤りがなかったからこそ、起きた悲劇です。

知識を勉強する必要はあるけれども、その知識もアップデートしていくこと。

そして、知識の偏重がグロテスクな結果をもたらすことも歴史の常であること。

だからこそ、知識だけでなく、自らの体験や感覚といった、本能的な部分も切り捨てることはできないこと。

こういったのも、歴史は教えてくれます。

その意味でも、「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」だと僕は思っています。

歴史というのは、「過去の出来事」ではないと僕は思っています。「過去」という風に、今と無関係に見てしまうと、歴史を読む精度が低くなってしまいます。

「歴史」というのは、その当時に間違いなく生きた人たちがいて、その人たちが、その当時の環境や時代や常識や文化に従って生きた道筋です。

「この当時に、たくさんの人たちが間違いなく生きていんだよね」という感覚で歴史を読むのが、本当に肝要です。

その当時、人間が生きていたわけですから、今の感覚に照らしておかしいことがあったとしても、その当時の人たちが、僕らと同じように「おかしい」と思っていたはずありません。

人間は自分が大好きですから、自分が悪いことをしているなんて思いたくありません。

「自分は正しいことをしている」「常識的な人間だ」と、誰しもが思っていたんです。

にもかかわらず、グロテスクな結果は起きたわけで、こんなことも歴史は教えてくれます。

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」なんですよね、結局。

今日はこの辺にします。

それではまた明日!・・・↓

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