交通事故の被害にあった場合に弁護士の僕ならどうするか-33(後遺症残存期間)
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このブログでは、弁護士である僕が、もし仮に自分が紛争・トラブルの「当事者」となった場合に、「自分だったこうするだろうな」ということをお伝えしてしています。
僕自身、これまでの人生で大きな紛争・トラブルの当事者となったことがなく、今この瞬間、紛争・トラブルに直面されている方の苦しみや不安を代弁できるような立場にはないのかもしれません。
ただ、自分が紛争の当事者となった際の対処法を弁護士目線でお伝えできれば、それが、ご覧になった皆様のお役に立てるかもしれないと考えています。
あくまで、「僕だったらこうするだろうな」ということですから、ご覧になっている方々に必ずしも当てはまらないとは思いますが、僕のやり方をヒントに、自分なりに応用していただけたら、とても嬉しいです。
ご覧になっている皆様のお顔も名前も残念ながら知ることができませんが、アクセスしてくださり、ありがとうございます。本当に励みになっています。
【 今日のトピック:交通事故 】
引き続き交通事故について書いていきます。
今日でラストです。
さて、昨日は、自賠責調査事務所には後遺症が等級認定されなかった場合に、訴訟で、その判断を覆すための方法についてお話しました。
結局、「鑑定をやる」、ということでした。
「鑑定をやる」といっても、自分だけじゃ鑑定できないので、鑑定を委託する先を探さなきゃいけません。
インターネットで検索すれば、医学鑑定や工学鑑定を行う機関がいろいろとヒットします、そうやって鑑定の委託先を探すのも1つです。
また、今回、僕は、自分で加入している自動車保険の保険会社から、弁護士費用特約によって費用をまかなってもらっていますが、損保ジャパンに、工学鑑定や医学鑑定の委託先を探してもらうこともできるかもしれません。
保険会社は、交通事故の案件で、工学鑑定を行ったり、医師に意見書を書いてもらったりすることも多く、こういった場合に使う医師や技師を自社でリストにしています。
だから、保険会社を通じて紹介してもらうこともできるかもしれません。
ただ、紹介してもらえるかどうかは、保険会社次第なので、それだけに期待するのはやめましょう。
さて、今日のメインテーマである「後遺症残存期間」について書いていきます。
「後遺症」とは、「一生残る症状」です。これ以上治療を尽くしても改善が見込めず、だからこそ、「後遺症」と呼ばれます。
治療を尽くして改善が見込めるのであれば、それはまだ「症状固定」を迎えておらず、後遺症が何なのか確定していません。
だから、「後遺症」=「改善が見込めない」という図式が成り立ちます。
そして、「改善が見込めない」は、「一生改善が見込めない」を意味します。
治療を継続して、改善するのであれば、改善するまで治療を続ければいいだけの話です。
改善の余地がある限り、治療を続ければいいんです。改善の余地がないからこそ、「後遺症」となるのであり、そうすると、「後遺症」は「一生治らない」のでなければ筋が通りません。
そうすると、「後遺症残存期間」なんて考えなくていいはずです。↑に書いたことを踏まえると、「残存期間」は「死ぬまでずっと」に決まっています。「死ぬまで治らない」からこそ「後遺症」と認められたわけですから、「後遺症残存期間」なんてわざわざ考えるまでもありません。
僕もそう思います。
でも、実際のところ、そうなっていないんです。
例えば、僕は、今回の設定で、31歳で症状固定を迎えました。
この後遺症が、例えば、右手親指を欠損した、という後遺症であれば、「一生治らない」のは間違いありません。
なぜなら、いちど失った右手親指が再び生えてくることはないからです。僕は死ぬまで、右手親指を失った状態で生き続けなければならず、後遺症の「残存期間」なんて考える必要はありません。
日本人は、平均で67歳まで働き続けることになっているので、右手親指を失った僕は、67歳までの収入減(後遺症逸失利益)を貰わなきゃいけないに決まっています。
こういった後遺症は「一生治らない」と言いやすいのですが、じゃあ、今回の僕の後遺症も、同じように「一生治らない」と言っていいのでしょうか。
まあ、「言っていい」のがスジです。
仮に、後遺症の等級が認定されたのであれば、それはつまり、「一生治らない」と認めたことになるわけですから、後遺症残存期間なんて考えなくていいはずです。
でも、今回の僕が負った、いわゆる「むち打ち症」の場合、「後遺症残存期間」が、5年とか10年に短縮されてしまうことが結構多いです。
理由を言えば、「一生治らない」というのは言い過ぎなんじゃないの?ということです。
むち打ち症は、痛みの自覚症状はありますが、痛みを根拠付ける医学的な所見がありません。
念を押しときますが、自覚症状だけのむち打ち症が後遺症として認定されないわけではありません。
むち打ち症が医学的に認めていないわけではなく、事故の衝撃で首や腰が揺れ、その結果、慢性的な痛みが残存することは、医学的にも認められているので、自覚症状のみだからといって、後遺症として認められないとは限りません。
しかしながら、むち打ちによる痛みが、一生治らないと言い切ることは難しいのです。
むち打ち症による痛みは、治療によって改善は見込めないものの、期間の経過によって回復することも多いからです。
だから、「一生治らない」のではなく、5年とか10年で期間を区切り、その期間だけ後遺症が残存することを前提に、損害額を算定します。
特に僕は、症状固定当時31歳ですから、まだ若年で、期間経過による回復がかなり見込めます。
そのため、仮に後遺症が認められたとしても、後遺症残存期間は5年で区切られてしまうことは覚悟しなきゃいけません。
(なお、むち打ち症による後遺症は、14級と12級があり得るのですが、14級だと5年で区切られ、12級だと10年で区切られるのが一般的です)
ちなみに、「若年で期間経過による回復が見込めること」は、そもそもの後遺症の等級を認定する際にも考慮されます。
やっぱり、僕は若年であることがかなりマイナスで、「回復が見込めない」という判断を裁判官もなかなか下しにくいです。
その結果、そもそもの後遺症の等級認定がされにくいですし、仮に等級が認定されたとしても、ほぼ間違いなく残存期間が5年(または5年未満)で区切られるでしょう。
5年で区切られた場合、後遺症逸失利益のライプニッツ係数が、大きく減ってしまいます。
後遺症逸失利益については、「一生治らない」前提で、31歳から67歳までの36年間のライプニッツ係数「21.832」をかけ算していましたが、これが5年に短縮されると、「4.580」まで減ってしまいます。
そうすると、後遺症逸失利益は、訴状には、「480万円×5%×21.832=523万9680円」と書いていたいましたが、「480万円×5%×4.580=109万9200円」までの減額を覚悟しなきゃいけない、ということになります。
かなりの減額ですが、これすら貰えないよりはマシなので、とにかく、昨日書いたような方法を使って、なんとか後遺症を勝ち取りたいです(笑)。
さて、明日からはテーマを変えて、過払い金請求についてお話していこうと思います。
それではまた明日!・・・↓
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