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弁護士の僕ならこうやって遺産相続を進めます-16(遺留分請求のやり方)

【 自己紹介 】

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このブログでは、弁護士である僕が、もし仮に自分が紛争・トラブルの「当事者」となった場合に、「自分だったこうするだろうな」ということをお伝えしてしています。

僕自身、これまでの人生で大きな紛争・トラブルの当事者となったことがなく、今この瞬間、紛争・トラブルに直面されている方の苦しみや不安を代弁できるような立場にはないのかもしれません。

ただ、自分が紛争の当事者となった際の対処法を弁護士目線でお伝えできれば、それが、ご覧になった皆様のお役に立てるかもしれないと考えています。

あくまで、「僕だったらこうするだろうな」ということですから、ご覧になっている方々に必ずしも当てはまらないとは思いますが、僕のやり方をヒントに、自分なりに応用していただけたら、とても嬉しいです。

ご覧になっている皆様のお顔も名前も残念ながら知ることができませんが、アクセスしてくださり、ありがとうございます。本当に励みになっています。

【 今日のトピック:遺産相続 】

今日で16日目ですが、引き続き、遺産相続についてお話していきます。

昨日は、「父が遺言を残していたケース」のうち、

②遺言のせいで僕以外の相続人がたくさん遺産を貰ってしまい、僕は遺留分すら足りない。

という場合についてお話しました。

この場合、法的には、僕は遺留分を請求することができるわけですが、僕だったら、父が遺言を残した理由次第で、遺留分を請求するかどうか決める、ということを書きました。

「遺言を残した」という事実だけでも、父が僕が財産を取得することよりも優先したいことがあったのはわかるのですが、それだけではやっぱり納得できないので、もっと詳細な理由がほしいです。僕なら。

「世話になった」くらいではダメで、「令和元年3月からずっと、毎日ご飯の支度や家の掃除、他にも、家業を継いでくれて、その事業拡大に貢献してくれて、にもかかわらず、欲望にまみれることなく、少しの収入で一生懸命働いてくれて、本当に感謝しています。」くらいは書いてくれないと、遺留分は諦めきれません。

こういった理由をきちんと説明して、「他の相続人には、私の意思をなるべく尊重して、遺留分はなるべくなら請求しないでほしい」と遺言書に書いてあったりすれば、納得する可能性が出てきます。

僕のような息子をお持ちの方は、ぜひ、詳細に理由を書いて、遺留分を諦めさせてください(笑)。

さて、じゃあ、父が遺言を残した理由について、納得できる説明を書き残しておらず、僕が遺留分を諦めきれずに、遺留分を請求する場合、僕だったらどうするでしょうか。

まずは、遺産の総額を把握する必要がありますが、これは、最初に調べています↓

まあ、遺産の総額を把握するよりも先に、遺言を発見してしまうこともよくあると思いますが↓

・遺言を発見する

・遺産の総額を把握する

この2つが揃って、遺留分を請求したい場合は、「遺留分侵害額請求」をしなければいけません。

今回の設定では、父の遺産は「すべて妻に相続させる」という遺言が残しされたとしましょう。「妻」とは僕の母ですが、僕が遺留分を請求するためには、「遺留分侵害額請求」という、なんともまあ、仰々しい請求をしなきゃいけないんです。

こんな仰々しい請求を、最初からやろうとは思いません。

いきなり「遺留分侵害額請求書」なんて書面をを母に送りつけてしまうと、母との人間関係は完全に終了するでしょうからね(笑)

まあ、父が亡くなった時点で既に母との人間関係が崩壊していたら、そういうやり方もあり得るのでしょうが、そうでなければ、いきなり書面を送りつけることはす避けるべきと僕は思います。

僕だったら、最初は、母に対して、父がそういった遺言を残した理由について聞きます。

どういう形で僕が父の遺言を発見するかわかりませんが(父の遺品から僕自身が発見するかもしれませんし、預かっている相続人から見せてもらうかもしれませんし、公証役場または法務局に照会して見つけるかもしれません)、「すべての遺産を妻に相続させる」という遺言が残されているのであれば、その遺言を残した理由について知っている可能性が最も高いのは、妻=僕の母でしょう。

だから、母に遺言を残した理由について聞きます。

そこで、納得できる理由が説明してもらえたら、遺留分を請求しません。

しかし、そもそも母が遺言を残した理由を知らなかったり、納得できる理由を説明できなかったりしたら、遺留分を請求します。

請求の仕方としては、「その理由だと、どうしても納得できないから、父が母に全部の財産を譲りたかったことはわかるけど、遺留分を請求させてもらうよ」と伝えます。

母が「父の気持ちを踏みにじって遺留分を請求するなんてけしからん!」という風に思うかもしれませんが、それは仕方ありません。法的には、僕のほうが正しいので。

「遺留分を請求するのはけしからん」という価値観を抱くのは勝手ですが、それは法的に通用しないので、遺留分を請求されたら請求に応じるのが筋だと僕は思います。

とはいえ、「遺留分は当然払ってもらいますからね!」と最初から語気強めで言うと、自ら紛争を発生させてしまっていて、賢明ではありません。

弁護士という仕事で他人の紛争を飯の種にしている僕が言うのもアレなんですが、紛争はなるべく回避するべきです。

世の中には、言い方に気をつけていれば回避できたはずの紛争というのがたくさんあります。本当に。

だから、「言い方」にはめちゃくちゃ気をつけるべきで、だからこそ、最初から語気強めで遺留分を請求するのはご法度です。

そう考えると、遺言を残した理由について母から説明を受けたら、いったん持ち帰って、遺留分を請求するかどうか検討したほうがいいかもしれません。

なぜなら、理由を説明した母の立場になって考えると、理由を説明した途端に「その説明には納得できないから遺留分を請求するよ」と言われたら、あんまり気分がよくないからです。

そう言われたら、母としても、「納得できないのはどうして?」と聞き返してくるでしょう。

しかし、聞き返されても、僕は、たった今理由を聞いたばかりなので、納得できない理由をきちんと説明できません。

そうすると、母の気分を害してしまい、なおかつ、気分を害した母からの質問にもうまく返答できないという、あまり僕にとってよろしくない事態が発生してしまいます。

まあ、こうなっても、それだけで穏便な交渉ができなくなるわけではないと思いますが、ただ、この「よろしくない事態」は、いったん持ち帰ることで回避可能です。

「いったん持ち帰る」は、「理由が納得できない」という返答とは違って、母の気分を害する可能性は低いです。

なおかつ、いったん持ち帰って考えることで、「理由に納得できない」ことを説明する準備を整えることもできます。

まあ、いったん持ち帰って、後日母に「納得できない」と説明した場合も、母の気分を害する可能性はあります。

しかし、母の気分を害して、聞き返された場合も、いったん持ち帰って検討していれば、それに対する返答を、事前にきちんと用意しておく

ことができます。

こうやって、「いったん持ち帰る」をやりながら、交渉するのが大切だと思います。

いったん持ち帰って、「よくよく考えたけど、遺留分を諦めることはできないから、遺留分を請求させてもらうよ」と言えば、母が納得してくれる可能性も高まりますし、それでも、母が「遺留分は渡さないよ」と言ってきたら、次のステップ(裁判)に進む覚悟もできます。

こういう感じで、少しずつ進めたほうがいいと僕は思います。

「遺言によって全部自分のものになった」と思っている人から、「遺留分」を支払ってもらうのって、結構難しいと僕は思っているので、慎重に進めたほうが吉だと僕は思います。

今日はこれくらいにします。

それではまた明日!・・・↓

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