#381 「手形」って知っていますか:僕もよく知りません。

どうも,こんにちは。

古田博大(ふるたひろまさ)です。

このブログを初めてご覧になる方は,はじめまして。

いつもご覧くださっている皆様,いつもアクセスありがとうございます。

僕は,1990年生まれで現在30歳。2017年1月から弁護士として働き始め,ちょうど2年半が経過した2019年7月10日にうつ病を発症し,それから今日までずっと休職しています。

うつ病発症からしばらくは,眠ったり食べたりすることもままならず,生きることそのものが苦しい時期が続きましたが,長い時間をかけて少しずつ回復することができました。今は,週2日の休みをはさんで毎日出勤練習(慣らし勤務)を繰り返しながら,復職への準備を進めています。

今年(2020年)の12月1日から,少しずつ業務にも携わるようになりました。具体的には,理論的な調査や簡単な法律相談を担当するようになりました。今のところ,仕事を理由に大きく調子を崩してはいません。

うつ病をきっかけに「自分も何か行動したい!」と思い,2019年12月から,この毎日ブログを始めました。とはいえ,このブログでは,うつ病に関することだけでなく,日々考えたことを自由気ままに書いています。

書きたいことがたくさんあって,文章が長くなってしまうことも多いですが,ブログの負担が大きくなりすぎてうつ病に悪い影響を与えないよう,書き始めてから1時間程度でアップロードすることにしています(#ほぼ毎日時間オーバーしていることはナイショです

「書きたいがたくさんある」と「1時間でアップする」は両立が難しく,そのため,文章がつながっていなかったり,文章自体がわかりにくかったりと,弊害も多々あるんですが,どうしても「毎日ブログ」を続けたいので,毎日綱渡り状態ですが,アクセスしてくださる皆様のおかげで,今日までなんとか続けることができています(;^_^A

僕のうつ病の経過については↓でまとめています。

それでは,今日も書いてきます!

さて,昨日まで借金の話をしていましたが,今日は「手形」の話でもしてみましょうか。

今となっては,「手形」になじみがある方は少数派です。

「今となっては」なんてエラそうに書いてしまいましたが,平成2年生まれの僕こそ,まさに,「手形になじみのない世代」です。

昔は,手形はとても一般的だったようで,その証拠に,司法試験でも,かならず1問は手形法関連の問題が毎年出題されていました。

この傾向が,2006年の司法試験まで続き,2007年の司法試験から手形の問題は出題されなくなりました。

僕が司法試験を受験したのは2015年ですから,僕の世代ではもう,まじめに手形の勉強をする受験生はほとんどいなかったと思います。

(とはいえ,僕が受験した2012年の東大ロースクールの入試で,手形の問題が出たので,その頃までは,ギリギリ手形の知識が必要だったのかもしれません。ちなみに,今でもなお,手形法は司法試験の受験範囲なので,一応,手形法の勉強は今でも必要です)

僕よりも10年先輩の弁護士にとっては,手形法の勉強は必須だったでしょうが,僕ら世代では手形法の勉強は不要で,むしろ,手形法の勉強なんかしていると,貴重な勉強時間が奪われてしまいうので,手形法の勉強にはデメリットがあるだけでした。

おそらく,手形法が司法試験で出題されるのが当たり前だった2006年頃までは,日本を代表する大企業でも,手形を用いていたようです。

例えば,トヨタ自動車のような大企業では,その下にたくさんの子会社を抱えていて,その子会社からいろんな製品を納品してもらいます。

まあ,子会社じゃなくても,トヨタ自動車は,「自動車屋」というよりは,「自動車部品組み立て屋」なので,自動車を組み立てるのに必要となる様々な部品を,いろんな会社から自社の工場に大集合させ,その部品たちを組み立てて販売するのが仕事です。

で,当たり前ですが,いろんな会社から部品を大集合させるのもタダじゃありません。部品を納品してくれた会社に,その部品の代金を支払わなければなりません。

今であれば,納品した会社が,月末締めでトヨタ自動車に請求書を出し,その請求書に従って,トヨタ自動車の経理部の担当係が,トヨタ自動車の預金口座から振り込みで支払うのが当たり前でしょう。

昔も,こういった支払いがなされていたとは思います。

でも,こういった振込による支払いと同じように,手形による支払いもたくさん行われていたようです。

平成2年生まれなので,実体験としては知りませんが,代金を振り込んだり,現金を渡したりすることの代わりに,手形を渡していたらしいのです。

でも,「手形」って,見た目はタダの紙切れです。

例えば,今このブログをご覧になっているあなたが,町工場の社長であるとしましょう。従業員の職人さんたちが一生懸命作り上げた製品を,取引先に納品し,その代金を支払ってもらおうとしたら,現金や振込の代わりに「手形」という紙をもらったとしたら,どんな気持ちになるでしょうか。

「いやいや,現金くれよ」とか「手形はいいから振り込んでくれよ」とは思いませんか?

僕ならきっとそう思うはずで,それはたぶん,手形が既に「過去の物」になっている証です。

でも昔は,現金や振り込みで支払う代わりに,手形を渡すことが通用した時代がありました。

まあ,「通用する」のは,今もそうなんですけどね(笑)。

支払う相手が「手形でもいいよ」と言ってくれたら,もちろん,手形で支払っていいです。

ちょっと結論先取りになりますが,今も,手形はたくさん流通しています。手形を渡すことで支払いの代わりにすることは,結構行われているみたいです。

仕事をしてたら知りました。

ですから,司法試験の手形法の問題で合格点をとれるレベルの知識は,今となっては不要でしょうけど,だからといって,手形について何も知らずに拒絶反応を示しているようじゃダメで,現金や振込による支払いに代えて手形を渡すことが,今でも普通に行われているということは,知っておくべきみたいです(笑)。

で,「手形」の話です。

今でも手形はたくさん流通していると話しましたが,昔は,今と比較にならないほど,流通していました。

おそらく,手形って,めちゃくちゃ便利だったんですよね。昔は。

この手形の便利さを想像してもらうため,バブルまっさかりの1990年頃にタイムスリップしてみましょう。

1990年なんて,インターネットなんて全然普及していませんし,「パーソナルコンピューター」なんて言葉もあったかどうかわかりません。

「パーソナルなコンピューター」,つまり,「個人で使うコンピューター」なんて,一部のコンピューターオタクたちは知っていたかもしれませんが,普通の人たちにとっては,「パーソナルコンピューター」なんてなじみのない時代でした。

(アップルのマッキントッシュが日本にやってきたのは70年代ですが,パーソナルコンピューターが爆発的に普及したWindows95発売までは,あと5年が必要です。ちなみに,アップルが日本に進出してきた歴史については,『林檎の樹の下で』の上下巻を参照のこと。ちなみにこの本,めちゃくちゃおもしろいです。僕の読書感想文もブログにしてます↓)

当然,コンピューターなんて,会社に何台もありませんし,そもそも保有していない会社が多数派だったでしょう。

インターネットもコンピューターも,スマホもない時代を想像してみてください。

そんな時代の「振込」って,どんなものだったでしょう?

当然,自社のオフィスのパソコンから振込手続なんてできません。振込を行うには,必ず,銀行の窓口まで振込を申請しに行かなければなりませんでした。

銀行の窓口に行っても,それだけで振込ができるわけではなく,銀行印と通帳が必要です。

社長が銀行の窓口まで行って振込を申請するんだったらいいですが,社長はたいてい忙しく,いちいち銀行の窓口まで行っているヒマはありません。そうすると,社長以外の誰か(普通は経理担当従業員)に会社の通帳と銀行印を預けなければならず,悪用の危険性が否定できません。

もちろん,社長は,後から通帳を見直して不正を発見することはできるでしょうけど,いちいちそんなことしてられません。

こういった,通帳・銀行印悪用の危険性がありますが,それはたぶんあんまり重要な点ではなくて,いちばん大事なのは,先ほど書いたように,銀行の窓口まで行かないと振込ができず,これがめちゃくちゃに面倒くさいことです。

振り込みを待っている時間,従業員の誰かが銀行に拘束されてしまいます。この拘束されている時間も,当然勤務時間で,給料が発生します。

ただただ銀行で振込を待っている時間の対価を支払わうなんて,とても無駄ですよね。

インターネットバンキングを使って,秒で振り込みが終了する今となっては想像することすら難しいですが,1990年頃は,振込を行うだけで,めちゃくちゃ時間を拘束され,そのムダな時間についても,給料が発生してしまっていたのです。

どうですか?

1990年の「振込」について,少しは想像できたでしょうか(笑)。

このように,「振込」の不便さがあったほかに,「現金による支払い」の弊害もありました。まあ,現金支払いの弊害は,1990年だけではく,今でも通用します。

1つは,「現金は数える必要がある」ということです。

振り込みなら,振込用紙に金額を書いたり,インターネットバンキングで数字を打ち込んだりするだけなので,「数え間違い」は生じませんが,現金として払う場合は,数え間違いが発生します。

100万円くらいまでなら数えるのも簡単ですが,1000万円くらいになると,数えるのもめちゃくちゃ大変です。

おそらく昔は,現金を素早く数えるのもビジネスマンのたしなみの1つだったのでしょうけど(ちなみに,僕も紙幣の数え方を少しマスターしました),いくら素早く数えたとしても,1000万円を数えるにはかなりの時間がかかりますし,数えたはいいものの,こちらと相手で数が合わず,もう一度数え直すなんてこともあったでしょう。この場合は,再び1から数え直しです。

それと,現金は,お金が「物体」として存在してしまっているので,多額になると,持ち運びに不便です。しかも,「物体」ですから,盗難の危険性もあります。

こういった「現金」の弊害は,昔だけでなく,今も厳然として存在します。

こういった現金支払いの弊害と,先ほど書いた「振込のめんどくささ」を克服するのが,「手形」だったのです。

手形であれば,手形の用紙に,金額を書き込んで渡せば,それで支払いに代えることができます。

手形を受け取った人は,銀行に手形を持っていけば,手形と引き換えに,手形に書かれた金額を,銀行が自分の口座に振り込んでくれます。

銀行が振り込んだお金がどこからやってきたかというと,手形を渡した人の(当座)預金口座です。

で,手形のミソは,こういった,「支払いを簡単に済ませられる」だけじゃありません。

「支払いを簡単に済ませられる」だけであれば,手形ではなくて,「小切手」でいいです。

「手形」と「小切手」の違いは,すぐに換金できるかどうかです。

「小切手」は,銀行にもっていけばすぐに換金できます。

でも,「手形」はそうじゃないんです。「満期」があって,その日以降しか換金できません。

そうすると,手形は,「支払いを簡単に済ませられる」の他に,「支払いを待ってもらう」という効果もあることになります。

手形を渡しても,それを換金できるのは満期日以降なので,お金を今すぐ用意する必要はなく,満期日までにお金を用意して口座に入れておけば,それでいいんです。

これが,「手形」です。

振込がクソめんどくさかった時代に,お金を簡単に支払えるようにしたのと同時に,満期日まで支払いを待ってもらうこともできた。

だから,「手形」はめちゃくちゃ流通していたんです。

会社によっては,常に預金残高を確保しているわけではありません。

月末締めで入金があり,それをそっくりそのまま支払いに充てようとするのであれば,月末以外は口座がすっからかんです。

そんな会社が,小切手を振り出してしまうと,すぐに換金しようにも残高が足りないので困ってしまいます。

小切手ではなく,手形を振り出せば,「満期日」を自分で設定して,自分の都合の良い日に支払いを集中させることができます。

だから,手形って,めちゃくちゃに便利だったのです。昔は。

でも今は,わざわざ手形を振り出す必要はなくなりました。

インターネットバンキングで,さくっと振り込んでしまえばいいからです。

振込手数料が気になる人もいるでしょうが,現金を持っていく危険性や,現金を用意する手間を考えれば,振込手数料を払ったほうが何倍もマシです。

危険性や手間を,数百円で回避できるとすれば,そちらが良いでしょう。

手形を振り出した場合は,「不渡り」のリスクが生じます。

「不渡り」というのは,「満期日に残高が足りなかった」という状態を指します。

「不渡り」という響きが,この日本ではめちゃくちゃ悪いので,そもそも,手形を振り出さなければ,「不渡り」という悪名がついてしまうリスクを完全に排除することができます。

それと,手形を振り出した場合は,「手形」という「物体」がこの世に出現してしまいますから,偽造や紛失のリスクは,どれだけ注意してもぬぐえません。

そうすると,振込が簡単に済ませられるようになった現在では,お金を支払うほうにとっても,支払いを受けるほうにとっても,手形はあまりメリットがなくなっています。

僕も,手形を見たのは1度だけです。ビジネスの業界では,あえて手形に頼る必要はなくなっているみたいです。

でも,今でも手形はないわけではないので,ある日突然手形が出てきても,それほどビビらないようにしておきましょう。

今日の内容は,見る人が見たら,めちゃくちゃ幼稚なんですが,たぶん,僕ら世代の弁護士は,これくらいの知識を持っておけば,一応,弁護士として普通レベルなんだと思います。

【今日のうつ病】(うつ病経過まとめ:こちら


まだまだ僕のうつ病は治っていないので,毎日うつ病の経過を記録しています。

今日までに経過した期間↓

・うつ病発症(2019年7月10日~):526日(1年5か月と7日)

・実家療養後の1人暮らし(2019年9月27日~):447日(1年2か月と20日)

・午前中の散歩(2019年11月7日~):406日(1年と1か月と10日)

・毎日ブログ(2019年12月3日~):380日(1年と14日)

・出勤練習(2020年3月30日~):262日(8か月と17日)

今日で,出勤練習を始めて8か月と17日です。新型コロナウイルスの影響で,4月13日~5月11日までの約1か月間,一時中断されていましたが,それを差し引いても,約7か月間出勤練習を積み重ねてきました。

そして,今年(2020年)の12月1日から少しずつ業務に携わるようになりました。

具体的には,理論上の問題を調査したり,簡単な法律相談を担当したりするようになりました。

裁判所への出頭はまだですが,これから少しずつ,やっていけたらいいなと思います。

今日は出勤し,午前9時~午後6時(定時)まで滞在予定です。

今日の「SleepCycle」を見ると(睡眠記録アプリ「SleepCycle」についてはこちら),午後11時29分~朝7時54分までの睡眠が記録されています。昨晩は一昨日とは違って,寝つきは良かったです。朝までゆっくり眠れました。睡眠時間は8時間以上で,SleepCycle独自の睡眠品質も89%/100%と良好です。

(なお,僕のうつ病は,主な症状が不眠(①寝つきが悪い②中途覚醒③朝早く目が覚めてしまい二度寝もできない)で,この不眠症状の有無が,その日の調子の良し悪しや,回復の進み具合を左右します。そのため,毎日の睡眠時間や睡眠の質について,睡眠記録アプリ「SleepCycle」に記録されているデータをもとに逐一書き出すことにしています。)

「調子良い→調子悪い」という無限ループのうち,「調子悪いゾーン」を乗り越え,「調子良いゾーン」がやってきたようで,よかったです。

これからもしばらく「調子良いゾーン」が続いたら嬉しいです!

今日もブログ書けてよかった!

それではまた明日!・・・↓

昨日のブログ↓

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※うつ病への負担を考慮し、「書き始めてから1時間くらいでアップする」という制限時間を設けています。

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