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交通事故の被害にあった場合に弁護士の僕ならどうするか-26(ライプニッツ係数)

【 自己紹介 】

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このブログでは、弁護士である僕が、もし仮に自分が紛争・トラブルの「当事者」となった場合に、「自分だったこうするだろうな」ということをお伝えしてしています。

僕自身、これまでの人生で大きな紛争・トラブルの当事者となったことがなく、今この瞬間、紛争・トラブルに直面されている方の苦しみや不安を代弁できるような立場にはないのかもしれません。

ただ、自分が紛争の当事者となった際の対処法を弁護士目線でお伝えできれば、それが、ご覧になった皆様のお役に立てるかもしれないと考えています。

あくまで、「僕だったらこうするだろうな」ということですから、ご覧になっている方々に必ずしも当てはまらないとは思いますが、僕のやり方をヒントに、自分なりに応用していただけたら、とても嬉しいです。

ご覧になっている皆様のお顔も名前も残念ながら知ることができませんが、アクセスしてくださり、ありがとうございます。本当に励みになっています。

【 今日のトピック:交通事故 】

引き続き交通事故について書いていきます。

さて、ここ数日、後遺症逸失利益について書いてきました。

昨日は、今すぐもらう24万円と36年後にもらう24万円は違う、という話で終わりました。

あくまで訴状に書く内容を話しているだけなので、裁判官にどこまで認めてもらえるかは別問題なんですが、少なくとも僕なら、一般的に67歳まで収入減が続くとされているので、症状固定となった31歳から67歳までの収入減を算出し、これを「後遺症逸失利益」として、請求します。

僕の場合、後遺症等級14級を主張するので、収入減のパーセント(労働能力喪失率)は5%、ということになります。

「後遺症」とは、「一生改善しない病状」なので、5%の収入減は、死ぬまでのずっと続くはずです。

で、「死ぬまでずっと続く」とはいっても、「死ぬまでずっと働く」わけではありません。

平均的にいえば、日本人は67歳まで働くので、67歳までの収入減を計算することになっています。

だから、31歳から67歳までの36年間、5%の収入減が続くわけです。

僕の事故直前の年収は480万円で、その5%は24万円です。

24万円の収入減が36年間続くので、24万円の36倍が、「後遺症逸失利益」ということになりそうです。

しかし、そうじゃありませんよ、ということで昨日は話が終わりました。

今日のキーワードは、タイトルにもありますが、「ライプニッツ係数」です。

さて、昨日も話しましたが、この日本では、現在、「何もしなくてもお金は年利3%で増えていく」と考えられています。

確かに、お金は定期預金に預けるだけで増えてはいきますが、年利3%なんてペースで増えることはありません。

ですから、「年利3%なんてうそだ!」と思う人が大半でしょうが、残念ながら、僕ら一般庶民が投票して選出された国会議員たちが、民法を改正して、そう決めました。

(年利3%になる前は年利5%でした。しかも、今の年利3%は、3年毎に変動の可能性があり、以前の年利5%固定よりはずいぶんマシにはなりました。)

そうすると、36年後に24万円の収入減があるとして、これを理由に、今この瞬間に「36年後の収入減24万円」をお金でもらう場合、「36年後にもらえる24万円」の価値を算出しなきゃいけません。

「36年後にもらえる24万円の価値」なんて算出できるのか、と思う人もいるでしょう。

そもそも、36年後とはいえ、24万円は24万円だから、24万円で払え!という人がほとんどかもしれません。

僕もそうです。生まれれたからずっと不景気で、失われた30年を生きてきた僕としては、お金が増えていくなんて幻想にしか思えません。インフレなんか全く経験したことありません。今ほんの少しだけ「インフレかも?」と思うことがなくはないですが、デフレしか知らない僕ら世代は、とにかく「デフレの申し子」らしく、日々の買い物に対して、非常に厳しい目で値段を見ています。

そういう「厳しい目」が積み重なると、デフレにつながってしまうのもわかってはいるんですが、遺伝子レベルでインプットされていると言っても過言ではない「デフレの申し子」精神をとめることはできません。

さて、話を戻します。

年利3%でお金が増えていく、というのが今の法律の考え方です。

そうすると、「36年後に24万円をもらう」のであれば、今この瞬間にもらうべき金額はずいぶん少なくて済みそうです。

「年利3%で36年間放置して、最終的に24万円になる」

このために必要な元手って、いくらなんでしょうか。

これは、数学的に割り出すことができて、それが「ライプニッツ係数」です。

「年利3%で36年間放置して、最終的に24万円」になる金額を算出するためには、24万円に、36年のライプニッツ係数(0.34503243)をかければいいです。

24万円×0.34503243=8万4077円なので、つまり、8万4077円の元手があれば、36年後には、その元手は24万円まで増えているのです。

こう考えます。

だから、今24万円をもらわなくても、8万4077円だけもらえば、36年後にはその8万4077円が24万円まで増えているから、それでいいよね、ということになるんです。

これが、「中間利息控除」とか「ライプニッツ係数」とか呼ばれている、後遺症逸失利益の算定方法です。

36年後の収入減は、あくまで、36年後に収入が減るということですから、今現在、その額面のまま受け取るわけにはいかないんです。

それだと、多すぎるんです。

お金は、ただ放置するだけで年利3%で増えていくわけですから、そうであれば、36年後に24万円となっているような金額だけ受け取ることができればそれでいい。

そして、「36年後に24万円となっているような金額」とは、年利3%で計算すると、8万4077円なんです。

さて、ここまでくれば、後遺症逸失利益の計算は簡単です。

僕は、36年後だけでなく、35年後も、34年後も、20年後も、10年後も、ずっと5%の収入減となるわけです。

だとすれば、1年後の収入減、2年後の収入減、・・・・36年後の収入減まで、ライプニッツ係数を使って算出し、算出された各年度の収入減(合計36個)を全部足し合わせればいいだけです。

こういう計算方法でもいいんですが、もっと便利な方法があって、36年後までのライプニッツ係数を合計した数字も、当然用意されていてます。

僕も数学者ではないので、算出方法まで詳しく理解しているわけではありませんが、どうやら、1年後から36年後までのライプニッツ係数を足し合わせると、合計で「21.832」になるようです。

だから、結局、480万円×5%×21.832=523万9680円、これが、「後遺症逸失利益」になります。

「×36年」ではなく、「×21.832」とするわけです。

さて、やっと後遺症逸失利益が算出できました。よかったです。

あくまで訴状に書くことではありますが、僕は、後遺症逸失利益として、523万9680円の支払いを請求することになります。

さて、明日は「通院慰謝料」について書こうと思います。

見返してみたら、まだ「通院慰謝料」について話していませんでしたので、ちょっと順番が前後してしまいましたが、明日は、「通院慰謝料」について書こうと思います。

それではまた明日!・・・↓

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