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不倫の慰謝料を請求されたら-13(いろいろ考えて交渉する)

【 自己紹介 】

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このブログでは、弁護士である僕が、もし仮に自分が紛争・トラブルの「当事者」となった場合に、「自分だったこうするだろうな」ということをお伝えしてしています。

僕自身、これまでの人生で大きな紛争・トラブルの当事者となったことがなく、今この瞬間、紛争・トラブルに直面されている方の苦しみや不安を代弁できるような立場にはないのかもしれません。

ただ、自分が紛争の当事者となった際の対処法を弁護士目線でお伝えできれば、それが、ご覧になった皆様のお役に立てるかもしれないと考えています。

あくまで、「僕だったらこうするだろうな」ということですから、ご覧になっている方々に必ずしも当てはまらないとは思いますが、僕のやり方をヒントに、自分なりに応用していただけたら、とても嬉しいです。

ご覧になっている皆様のお顔も名前も残念ながら知ることができませんが、アクセスしてくださり、ありがとうございます。本当に励みになっています。

【 今日のトピック:不倫の慰謝料を請求されたら 】

今日も引き続き、不倫の慰謝料を請求されたケースについてお話していきます。

昨日は、夫の弁護士から届いた手紙に反論したところで終わっていました。

そもそもの話ですが、交渉というのは、反論・再反論を繰り返しながら進みます。ここがよくわかっていない人も多いです。

反論・再反論を繰り返しながら、お互いに譲歩して、どこかに落とし所を見つけることが「交渉」です。

ただ、弁護士が関与する交渉は、お互いに譲歩するだけではありません。というのも、弁護士の行う交渉は最終的にまとめる必要がないからです。

「まとめるために交渉しているのに、まとめる必要がないってどういうことだ!」という疑問(怒り?)を持つ人もいらっしゃるかもしれませんが、少なくとも僕は、「まとめる必要がない」と思っています。

というのも、弁護士は、最終的に裁判で紛争を終わらせる方法を知っているからです。

確かに、交渉(=話し合い)で紛争が終わったほうがいいことが多いです。交渉で終わったということは、お互いが結論に納得していて、その内容で紛争を終わらせることを当事者同士が望んでいるからです。

そういう形で紛争が終わったほうがいいに決まっています。

ただ、話し合いがつかないと紛争はいつまでも終わらないという仕組みだと、解決できない紛争が世界中で山積みになってしまいます。

(こういった、話し合い以外で解決できない紛争も実はあって、それは国家間の紛争です。国家間の紛争は、両国を拘束する仕組みがあるわけではないので、例えば領土問題などは、話し合って合意しなければ延々と解決しないままとなります。このような紛争解決機能不全を受けて、世界政府構想なんかが出てくるわけですが、僕は完全に反対です。こんな「世界政府」なんて欺瞞でしかなく、結局、影響力の強い国が、自分の国益のためだけにその「世界政府」を利用するだけで、そこに正義があるはずありません。「世界政府」なんて理想を掲げるのは、ただのおバカさんで、現実が見えていません。世界政府を構想していた有名な「おバカさん」の1人はマッカーサーでしょう。マッカーサーの構想していた世界政府は、朝鮮戦争の勃発によっていとも簡単に崩壊しました。)

さて、話がそれましたが、国家間の紛争とは異なり、個人間や会社間の紛争は、「判決」や「審判」で必ず終了します。

そして、弁護士は、こうった、「判決」なり「審判」なりで紛争を終わらせる手法に精通しています。「精通している」というか、この知識を使いこなすことがお金をもらっている人たちが「弁護士」です。

僕ら弁護士の価値(=お金をもらえる理由)の根っこに、この知識があります。

であれば、その知識を十二分に活用すればいいわけで、「交渉(話し合い)」にこだわる必要はありません。

少なくとも僕はこう考えています。だからこそ、「交渉をまとめる必要はない」と思っています。

もちろん、まとまりそうな交渉はまとめたほうがいいです(笑)。

まとまりそうにない交渉、例えば、相手が感情的だったり、金額の対立が大きかったりする場合は、ムリに話し合いをまとめる必要はありません。


裁判で決着をつければいいだけです。

ただ、だからといって、自分の主張を押し通せばいい、というわけではないんです。

のらりくらりと、話が行ったり来たりしていますが、ここが難しいです。

「自分の主張を押し通して、最後は裁判で決着つければいい」というのは、わかりやすくていいんですが、ただ、これが本当に自分の利益になるのかというと、ちょっと違ったりもするんです。

裁判では、自分の主張が通るとは限りません。負けるリスクが必ずあります。

負けるリスクだけでなく、裁判になると、紛争解決が遅れるというリスクもあります。

裁判が起こされると、その裁判を弁護士に依頼する必要が出てきて、弁護士費用の負担が出たり、あと、打合せに時間や手間をとられたりと、いろんな負担が生じます。

こういったリスクや負担を考慮し、これらを回避できるならいくらかお金を払ってもいいな、という考えのもと金額を提示していくこともよくあります。

こういうことを踏まえて交渉しなきゃいけないので、実は結構大変なんです(笑)。

いろんなことを考えながら、金額を提示していく必要があります。

今回の例では、とりあえず、僕は「不倫していません」「お支払いできません」と回答しました。

しかし、夫は弁護士に依頼してまで慰謝料を請求してきているわけですから、こんな回答で諦めるはずがありません。

ほどなく、夫の弁護士から書面で回答がきて、

・妻が不貞を認めていること

・妻が休日出勤とウソをついた日に妻と僕が会っているのを夫が目撃したこと

・妻と僕とのLINE履歴

という3つを根拠に、不貞を主張する、とのことでした。

妻が僕との不貞を白状しているのであれば、不貞したことは裁判でも立証されてしまいそうですが、正直なところ、妻の話だけで立証できるかどうかは微妙です。

例えば、夫と妻が離婚しない場合、僕から支払われた慰謝料は、夫と妻の双方にとって利益となるわけです。

だとすれば、妻としても、不貞を白状するメリットがありますから、妻の話をそのまま裁判所が認めるかというと、かなりアヤシイです。

そこで、僕だったら、

「慰謝料の根拠についてご説明いただきましたが、やはり慰謝料300万円をお支払いすることはできません」

「しかし、私としましても、早期の解決を望んでいます」

「慰謝料という名目ではなく、解決金として30万円をお支払いすることはできます」

「解決金30万円の支払いについて、応じられるかどうかご回答ください」

「あわせて、▲▲さんと妻の〇〇さんが離婚するかどうかもご回答ください」

なんて返答をすると思います。

解決金の提示はしながらも、夫と妻が離婚するかどうかも探りながら、交渉するかどうか考えていきます。

最終的に裁判で決着をつければいいのは確かにそうなんですが、ただ、裁判で負ける見込みであれば、「決着をつければいい」と強気でいるわけにもいきません。

「裁判で決着をつければいい!」と強気でいられるかどうか、なるべく情報を集めつつも、早期解決のために話を進める。

なかなか難しいですが、今日はこのへんにしておきます。

それではまた明日!・・・↓

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