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少年審判の種類:少年院送致

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このブログでは、2019年7月にうつ病を発症し、それをきっかけに同年12月からブログを始めて、それ以降、700日以上毎日ブログ更新してきた、しがないサラリーマン弁護士である僕が、日々考えていることを綴っています。

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法律に関する記事は既にたくさん書いていますので、興味のある方は、こちらにテーマ別で整理していますので、興味のあるテーマを選んでご覧ください。

【 今日のトピック:少年審判 】

さて、今日も少年審判について書いていきます。

・審判不開始
・不処分
・保護観察
・児童養護施設又は児童自立支援施設送致

まで書きました。だんだんと処分が重たくなっていきます。

次は、「少年院送致」です。

「少年院」というワードは、聞いたことある人が多かもしれません。

「少年院」って、なんなんでしょうね。

刑務所の少年版という感じにイメージしている人が多いのかもしれません。

でも、少年院は刑務所じゃありません。

正確に言えば、少年院には、刑務所としての役割も持たされていて、少年院で過ごした期間を、「懲役刑の期間」として計上することもできますが、しかし、刑務所とは違って、少年院で作業をすることはありません。

そうです。ここが、刑務所とのいちばんの違いです。

刑務所は、「懲役刑」を受けさせる場所なんですが、じゃあ、「懲役刑」とは何かというと、刑法の12条2項に「懲役は、刑事施設に拘置して所定の作業を行わせる。」と書かれています。

これが、「懲役刑」です。

「拘置」というのが、いわば「閉じ込め」です。

つまり、「許可なく出られない塀に囲まれた施設の中で、鍵のかかった部屋に閉じ込められ、うんことおしっこも部屋のトイレでしなきゃいけない」ということが「拘置」です。

人を「拘置」させて、「所定の作業」を行わせる。

まさに、「刑罰」にふさわしい仕打ちです。

でも、少年院は、こういった「懲役」ができないんです。

実は、この日本には「少年院法」という法律もあるんですが、少年院法の3条には、

「少年院は、次に掲げる者を収容し、これらの者に対し矯正教育その他の必要な処遇を行う施設とする。」

と書かれています。

だから、少年院は、あくまで、「矯正教育」を行う場なのです。

確かに、少年院には、懲役刑を受けさせる機能もありますが、ただ、少年院で懲役刑を受けている期間も、少年院でさせられるのは「所定の作業」ではなく、「矯正教育」です。

というのも、少年法(「少年院法」ではなく、「少年法」です。)の56条3項には、16歳未満で懲役刑を言い渡された少年を少年院に収容することを認めていますが、しかし、少年院に収容した場合は、「所定の作業」ではなく、「矯正教育」を受けさせることにしています。

だから、法律は、「少年院」と「刑務所」を明確に区別しています。

・刑務所は、「拘置」して「所定の作業」を行わせる、という「懲役刑」を受けさせる場所
・少年院は、「矯正教育」を受けさせる場所

です。

じゃあ、「矯正教育」って何なの?という話が出てきます。

刑務所でさせられる「所定の作業」は、テレビでも紹介されていたりして、結構イメージしやすいと思います。

大学受験の問題を印刷したり、洋服を作ったり、あとは、細かい作業が得意な受刑者が多いらしいので、結構な芸術作品を作っていたりもします。

これに対して、少年院の「矯正教育」って、イメージしづらいです。

「矯正教育」については、少年院法の23条以下に、いろいろと書かれていますが、23条をまず引用すると、

第二十三条 矯正教育は、在院者の犯罪的傾向を矯正し、並びに在院者に対し、健全な心身を培わせ、社会生活に適応するのに必要な知識及び能力を習得させることを目的とする。

2 矯正教育を行うに当たっては、在院者の特性に応じ、次節に規定する指導を適切に組み合わせ、体系的かつ組織的にこれを行うものとする。

という感じで、なんかよくわかりません。

ただ、昨日書いた「児童自立支援施設」よりも、さらに強度の「矯正」となっています。

というのも、児童自立支援施設では、「不正行為」とか「不正行為のおそれ」という書きぶりでしたが、少年院では、「犯罪的傾向」とまで書かれてしまっています。

つまり、「矯正教育」は、「犯罪的傾向」を矯正するものなのです。

で、「犯罪的傾向」も、いろいろなんですよ。

・薬物依存者
・性犯罪者
・万引きがやめられない

というふうでいろいろですし、あとは、少年院を出た後にどう暮らすかも様々です。

・そのまま一人暮らしで自立する
・親元に戻る
・その他(グループホーム、親戚の家)

こんな感じで、「犯罪的傾向」を「矯正」するための「矯正教育」も、すべてオーダーメイドで計画しなきゃいけなくて、その計画+実践こそ、少年院の果たすべき役割です。

少年院は、刑務所じゃない。

それが少しでも伝われば僕は嬉しいです。

それではまた明日!・・・↓

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