子ども(未成年)が逮捕された場合に弁護士の僕ならどうするか-7(妻からの報告)
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このブログでは、弁護士である僕が、もし仮に自分が紛争・トラブルの「当事者」となった場合に、「自分だったこうするだろうな」ということをお伝えしてしています。
僕自身、これまでの人生で大きな紛争・トラブルの当事者となったことがなく、今この瞬間、紛争・トラブルに直面されている方の苦しみや不安を代弁できるような立場にはないのかもしれません。
ただ、自分が紛争の当事者となった際の対処法を弁護士目線でお伝えできれば、それが、ご覧になった皆様のお役に立てるかもしれないと考えています。
あくまで、「僕だったらこうするだろうな」ということですから、ご覧になっている方々に必ずしも当てはまらないとは思いますが、僕のやり方をヒントに、自分なりに応用していただけたら、とても嬉しいです。
ご覧になっている皆様のお顔も名前も残念ながら知ることができませんが、アクセスしてくださり、ありがとうございます。本当に励みになっています。
【 今日のトピック:少年事件 】
今日も、昨日に引き続き少年事件について書いていきます。
さて、昨日のブログでは、娘2人から、(娘たちにとっては兄弟にあたる)息子の逮捕について聞かれましたが、妻と方針について考えを共有できるまでは、なんでもかんでもは言わないということを書きました。
今日は、妻から息子との面会について報告を受けるシーンからです。
「結局、どういった理由で覚せい剤を使ったの?」
「一言で言えば、友達の誘いを断れなかったからみたいよ」
「そもそも、この日は、どういう流れで、その覚せい剤を持っている人の家に行ったの?」
「朝は普通に学校に行ったようだけど、放課後は、仲の良い友達3人とコンビニ行ったり、公園に行ったりしていたようだけど、その友達の1人のお兄ちゃんが合流してきて、そのお兄ちゃんと一緒に、その友達の家に行ったようよ。その友達の家に行ったら、そのお兄ちゃんの友達が後でやってきて、その、後でやってきた友達が覚せい剤を持っていたのよ。」
「覚せい剤を持っていたのはいいけど、どうして、使ったのさ?」
「どうやら、その友達は、覚せい剤仲間を連れてくるよう、言われていたみたい」
「友達って、覚せい剤を持っていた人と友達だった子の弟?」
「そう。どうやら、その子は、覚せい剤を持ってきた人と面識があるみたいで、その人から直接覚せい剤仲間を増やすように指示されていたみたい。その子のお兄ちゃんも、覚せい剤は既に使っていて、その人と一緒になって弟に指示していたらしいわ。」
「〇〇(=息子)は、覚せい剤を使うとわかって家に行ったの?」
「そうじゃないって言ってたわ。家でテレビゲームしたり、一緒にソシャゲするつもりで行ったみたい。そうしたら、その子のお兄ちゃんとその友達も後からやってきて・・・」
「後からやってきたお兄ちゃんとその友達と、〇〇は面識はあったの?」
「初対面だったみたいよ」
「初対面の人から覚せい剤に誘われて、どうして断れなかったのさ?」
「残り4人が全員覚せい剤に積極的だったみたい。お兄ちゃんとその友達は既に覚せい剤を使っていたようで、〇〇の友達2人は、覚せい剤を使ったことはなかったみたいなんだけど、その2人がノリノリだったそうよ」
「僕も使ってみたい!みたいな感じ?」
「そうらしい。こういったワルイものに憧れる年ごろだしね」
「〇〇はどうだったの?」
「さすがにマズいと思ったらしいんだけど、他4人が覚せい剤を使っていたから、自分だけ覚せい剤を使わないわけにはいかなかったと言ってたわ」
「うーん、本当に『マズい』と思ったのか?なんか、自分だけ少しでも悪くないように見せようとしている気がするんだけど」
「私もそう思って、聞き返したの。本当に『マズい』と思ったのかって」
「そしたら?」
「『マズい』と思ったとは言ってたけど」
「本当に『マズい』と思っていたんなら、覚せい剤を使わずに、その場から立ち去ることもできたはずだよな。そうしなかったということは、他の4人と同じように『ノリノリ』と思われても仕方ないと思うんだけど」
「確かにそうだけど。『マズい』と思ったと〇〇は言っていたのよ。」
「でもさ。」
「そんなにあなたは〇〇を疑うの?『マズい』と思ったけど逃げ出せない気持ちをあなたはわからないの?〇〇は昔から優しい子だったでしょう?優しい反面、嫌われるのがイヤで、人に話を合わせて、小心者で。そんな〇〇が、年上2人と友達2人に囲まれて、『マズい』と思ったけど、それを表に出せずに、その場の流れで覚せい剤を使ってしまったのを想像できない?」
「まあ、そうだね」
「私も、母親として本当に悔しい。最後の最後、やっちゃいけないことが何かということはわかってくれていたと思っていたんだけど、覚せい剤を使うような友達との関係性というか「空気」というか「その場の流れ」なんかを優先して、覚せい剤を使ってしまうような子どもになっていたなんて。本当に悔しいし、申し訳ない。母親失格よ。私なんかが母親じゃなければ、あの子も幸せだっただろうに。」
「そんなこと言わないで。一生懸命育ててくれたじゃないか」
「その結果、〇〇は今、警察署で逮捕されているのよ。私の育て方に問題がなかったなんて通用しない。本当に、警察署では涙が止まらなかった。ごめんね、本当にごめん。」
「そんな顔しないでくれ。僕も涙が止まらないよ。ああ、僕も接し方が悪かったなぁ。あんなに心を閉ざされてしまって。」
「あなたに対する態度も、今日は反省していたよ。私から説明しておいたから。仕事で予定がパンパンだったのに、それを全部キャンセルして駆けつけたこと。なんとか役に立ちたいと思って警察署に行ったのに、全然何もできなくて、ひどく落ち込んでいたこと。そんなことを伝えたら、『ごめん』って謝っていたわよ」
「謝るのはこっちのほうだ」
「私が行った時は、本当に反省していたよ。最初は態度が少し悪かったけど、自分で自分を傷つけたことが、私たち夫婦にとってどれだけ悲しかったのかとか、最後の最後、やっちゃいけないことが理解できていないことを知って、私たちがどれだけ悔しかったのかとか、そういったことを伝えたら、やっと自分のやってしまったことを理解し始めたみたい」
「なるほど」
「〇〇が、私たち夫婦にとってかけがえのない息子で、それは逮捕された後も変わらなくて、だからこそ、ぜったいに覚せい剤を使って自分で自分を傷つけてほしくないし、早く外で会いたいと思っているよ、って伝えてきたわよ。」
「なんとか、早く出してあげたいね」
「そうね。とても反省しているみたいだから。」
「やれることは全部やろう」
「そうしましょう。」
さて、こういった感じで、息子はとても反省していたようで、やれること全部やろうと決めました。
そんな僕たち夫婦が「やれること」って何なのでしょうか。この辺から、明日は話を始めます。
それではまた明日!・・・↓
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