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弁護士の僕ならこうやって遺産相続を進めます-14(遺留分と不動産の評価額)

【 自己紹介 】

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このブログでは、弁護士である僕が、もし仮に自分が紛争・トラブルの「当事者」となった場合に、「自分だったこうするだろうな」ということをお伝えしてしています。

僕自身、これまでの人生で大きな紛争・トラブルの当事者となったことがなく、今この瞬間、紛争・トラブルに直面されている方の苦しみや不安を代弁できるような立場にはないのかもしれません。

ただ、自分が紛争の当事者となった際の対処法を弁護士目線でお伝えできれば、それが、ご覧になった皆様のお役に立てるかもしれないと考えています。

あくまで、「僕だったらこうするだろうな」ということですから、ご覧になっている方々に必ずしも当てはまらないとは思いますが、僕のやり方をヒントに、自分なりに応用していただけたら、とても嬉しいです。

ご覧になっている皆様のお顔も名前も残念ながら知ることができませんが、アクセスしてくださり、ありがとうございます。本当に励みになっています。

【 今日のトピック:遺産相続 】

今日で14日目ですが、引き続き、遺産相続についてお話していきます。

昨日は、「父が遺言を残していたケース」のうち、

①遺言のおかげで僕自身がたくさん遺産を貰うことができ、他の相続人は遺留分すら足りない

という場面について書きました。

父が、「遺産はすべて古田博大(=僕)に相続させる」という遺言を残していたという設定で昨日は書いていきましたが、こういった遺言が残されていた場合、父が遺言を残した理由が明らかであれば、その理由を他の相続人に説明して、「遺留分を渡さないほうがいいのでは?」と提案する、ということも昨日は書きました。

単に、「渡したくない」と他の相続人に伝えても、それで納得してもらうのはムリでしょう(笑)。

その主張は法的にも間違っていますし。

確かに、遺留分は、「遺留分ほしい!」と伝えて初めて現実化する権利なんですが、とはいえ、「遺留分ほしい!」と伝えれば、それだけで権利として発生するので、「遺留分ほしいと言われるまでは遺留分を支払わなくていい」というのは少し乱暴だと思います。

そんな風に考えていたら、その考えが見透かされて、「遺留分ほしい!」と言われちゃいますよ、きっと。

だから、僕の基本的なスタンスとしては、「遺留分ほしい!」と伝えられるまで遺留分の支払いを待つのではなく、「遺留分ほしい!」と伝えられる前に、僕から、遺留分の支払いについて提案します。

父が遺言を残した理由について知らないのであれば、僕は、最初から、「遺留分支払うよ」と言うと思います。

父が遺言を残した理由を知っていて、かつ、その理由が、僕以外の相続人も納得できるものであれば、「遺留分を支払わないほうがいいかも。それが父の考えだから」という風に提案します。

ただ、その理由を説明したところで、「納得できない!」と言われてしまえばそれまでです。遺言を残した理由によって、遺留分の有無は左右されないからです。

その場合は、もちろん、遺留分を払います。というか、どれだけもっともな理由があったとしても、最終的に、遺留分を払わなきゃいけないことは最初から覚悟しています。

遺留分の支払いを拒んでも、最終的には、裁判を起こされて判決が出て支払いを命じられてしまうので、そういった面倒に巻き込まれるくらいなら、最初から払います。

「遺留分払わなくてもいい?」という僕の発言は、あくまで「提案」「お願い」に過ぎず、そのレベルを超えるものではありません。

さて、こういう感じで、僕は「遺留分を払う」ことに積極的なわけですが、とはいえ、「遺留分を払う」と一言で言っても、簡単じゃありません。なぜなら、遺留分の「金額」について、僕と相手で食い違いがある可能性があるからです。

今回の設定では、父の遺産は、↓の3つでした。

・自宅土地建物

・農地10筆

・預金500万円

父の自宅土地建物と、農地10筆には値段がつかないので、価値は「0円」なのですが(という設定です)、とはいえ、遺留分を支払う相手(僕以外の相続人)が、僕と同じように考えているとは限りません。

「自宅土地建物はきちんと値段がつくはずだ!」

「農地も売ろうと思えば売れるはずだ!」

と主張してくる可能性があります。そうすると、僕が遺言によって取得した遺産の金額に食い違いが出てしまうので、僕が支払うべき遺留分の額も、折り合いがつきません。

このブログでは、不動産の金額について折り合いがつかないケースについて、過去にいろいろと書いてきましたが、遺留分の場面でも、不動産の価格が争われることがあります。

この場合、不動産業者に査定書を作成してもらって、その査定書の金額を基準にするのが普通でしょう。

ただ、お互いで別々の不動産業者に査定書を作成してもらい、その金額に差が出ると、折り合いがつきません。

そういった場合は、最終的には、訴訟を提起して鑑定を実施するしかないのですが、そこまでしなくても、不動産を売却して、その売却代金を評価額とする手法があります。

相手が査定書に納得せず、不動産の金額に折り合いがつかなければ、僕だったら、この手法を使うと思います。なぜなら、不動産の評価額に折り合いがつかないと、訴訟を提起して鑑定するまで、遺留分の金額が確定できないのですが、そこまでするよりも、売却代金を評価額として遺留分の金額を算定したほうが早いからです。

ただ、そのためには、相手の同意が必要です。不動産自体は、僕の名義になっているので、僕の実印だけでいつでも売れる状態になっていますが、とはいえ、売却したからといって、その売却代金が必ず不動産の評価額になるとは限らず、相手が、「売却代金を不動産の評価額にすることに同意します」と言ってくれて初めて、売却代金が評価額となります。

もちろん、相手が同意してくれない可能性はありますが、しかし、その場合は、鑑定を実施せざるを得ず、その費用は、双方で折半させられます。

鑑定費用は、不動産1つあたり40万円ほど必要になるのもザラです。そこまでの費用をかけて鑑定を実施するくらいなら、不動産の査定書の金額か、売却代金の額で折り合いをつけたほうが利口だと僕は思いますが、しかし、相手が僕と同じように考えているとは限りません。

不動産の金額については、本当に争いになることも多いですが、僕だったら、とりあえずは、固定資産評価額を基準にします(固定資産評価額は、固定資産税の納付書に書かれています)、それで納得してもらえないなら、不動産業者に査定書を作成してもらうと思います。

その査定書にすら納得してもらえないなら、不動産の売却代金を評価額とする、という手法を検討します。

それにすら納得してもらえないら、最終手段として、鑑定を実施します。

不動産の金額について争うと、本当に面倒なんですが、最終的に必ず結論は出るので、そこまで心配しなくていいとも僕は思っています。

今日はこれくらいにします。

それではまた明日!・・・↓

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