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貸したお金を弁護士の僕ならどうやって返してもらうか-11(やっぱり最初から貸さないほうがいい)

【 自己紹介 】

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このブログでは、弁護士である僕が、もし仮に自分が紛争・トラブルの「当事者」となった場合に、「自分だったこうするだろうな」ということをお伝えしてしています。

僕自身、これまでの人生で大きな紛争・トラブルの当事者となったことがなく、今この瞬間、紛争・トラブルに直面されている方の苦しみや不安を代弁できるような立場にはないのかもしれません。

ただ、自分が紛争の当事者となった際の対処法を弁護士目線でお伝えできれば、それが、ご覧になった皆様のお役に立てるかもしれないと考えています。

あくまで、「僕だったらこうするだろうな」ということですから、ご覧になっている方々に必ずしも当てはまらないとは思いますが、僕のやり方をヒントに、自分なりに応用していただけたら、とても嬉しいです。

ご覧になっている皆様のお顔も名前も残念ながら知ることができませんが、アクセスしてくださり、ありがとうございます。本当に励みになっています。

【 今日のトピック:貸した金を返してもらう 】

今日も引き続き「貸したお金を返してもらう」についてお話していきます。

さて、昨日の僕は、なんとか、キャバ嬢と返済の約束を取り付けることに成功しました。

500万円をキャバ嬢に貸して(現金で渡して)、100万円返済してもらった残りの400万円を、毎月20万円ずつ返済して、きっちり300万円を返済したら、残りの100万円は返済しなくていい(免除する)

そういった約束を取り付けることができました。

「きちんと返済したら残りは免除する」というやり方って、よくやる手法なんですよね。

ある程度の金額をきちんと払ってくれたら、残金は免除する、というやつです。

他にも、例えば、賃貸物件の立ち退き案件で、きちんと期限までに立ち退いてくれたら滞納家賃を免除する、というのもよくやります。

「肉を切らせて骨を断つ」という形での譲歩ですよね。

骨の部分(ぜったいに譲れない部分)を確保するために、肉の部分を譲歩するわけです。

ぜったいに譲れない300万円を確保するために、残りの100万円はぐっとこらえる。

ぜったいに譲れない立ち退きを確保するために、滞納家賃はぐっとこらえる。

法的に言えば、400万円全額返済してもらうことはできますし、立ち退きだけでなく、滞納家賃も全額支払ってもらうことができます。

しかし、そういった「法的な正論」を振りかざすことが、本当に自分の利益になるのか。それを考えなきゃいけません。残念ながら。

今回の貸付けの設定で、僕が正論を振りかざし、「400万円全部返せ!」と言ってしまうと、準消費貸借は成立しないでしょう。

そうなると、400万円分の現金の受渡しすべてを立証しないと、訴訟では勝てないことになってしまいます。

そうすると、最終的には、立証が足りずに訴訟では負けてしまうでしょう。

この結論は、キャバ嬢による「借金踏み倒し」を認めてしまっているようにも思えますが、そもそも、踏み倒しがどうしてもイヤなら、貸付けに手を出したらダメなんです。

貸付けは、こういった踏み倒しのリスクが必ずあります。そのリスクに思い至らないまま貸してしまい、後でそのリスクが現実となってしまったとしても、知らなかったことは言い訳にできません。

それが「知識社会」です。知らなかったとしても、それは知らない自分が悪く、知らなかったことのリスクは自分で引き受ける。

こういった仕組みを前提に、今の知識社会は回っています。

「正義」どうこうじゃなくて、踏み倒しができちゃう仕組みになっていることすら知らないまま貸付けに手を出してしまった自分が悪い、ということなのです。

ここから、「他人を信用してはいけない!」なんて単純に思ってしまう人がいますが、それは全く間違いです。

他人を信用し、その信用を前提としたコミュニティに属しないと、僕たち人間は誰ひとり生きていけません。

ただ、信用のリスクをきちんと把握しなきゃいけなくて、把握していなかったこと(知らなかったこと)は、自分の責任として引き受けるのが、知識社会の掟です。

しかし、厄介なことに、今の社会は、知識社会かつ「個人主義」を前提としています。

江戸時代までのように、コミュニティなしでは構造的に生存を保てない時代であれば、踏み倒しは、コミュニティからの排除=「死」を意味してしましたから、何がなんでも返済していたでしょう。

でも、今はコミュニティから解放され、人々は自由な「個人」に還元されたことになっているので、コミュニティに縛られて返済を強制されることはありません。

この個人主義は、「人は1人でも生きていける」という大きな誤解を招いてしまいかねないのですが、ただ、「個人主義」だからこそ、人は自分のコミュニティを選べるので、僕も個人主義を全否定するつもりは全くありません。

人は、個人として尊重され、地縁血縁などのコミュニティに縛られない。それはぜったいに否定してはいけません。

さて、まただいぶ脱線してしまいましたが、もう少し続けると、お金を貸すだけの余裕がある人たちこそ、こういった個人主義・知識社会の恩恵を受けて、ある程度お金に余裕を作ったはずです。

にもかかわらず(自分が知識社会・個人主義によって恩恵を受けたにもかかわらず)、踏み倒されるリスクがある「貸付け」によって踏み倒されたことに文句は言えないでしょう。

だから僕は、「貸したらダメ」と言っているです。最初から「貸した」と思ったらいけない。「返ってこない」と思っていれば、悩まずに済むのに、あえて、悩む可能性がある「貸付け」に手を出してしまっている。

この知識がない自分のせいです。知識社会と資本主義が組み合わさっているので、知識格差が貧富の差につながり、それが正義と認められているのが現代社会なので、自分がリスクを知らなかったことを他人のせいにしてはいけないのです。

これ以上悪態をつくことはやめます。すみません。

設定の話に戻りますが、僕は、無事にキャバ嬢と返済の約束を取り付け、それをICレコーダーに録音することに成功しました。

で、LINEでも、約束の内容を文章にまとめて送りました。

・残金は400万円(昨日渡した20万円を含めると420万円)

・来月から20万円ずつ返済する

・毎月20万円の返済の結果、残金が100万円となったら、その100万円は返済しなくていい

こういう感じでまとめたところ、キャバ嬢からも「それでいいよ」という返答がありました。

本当によかったです。これで、LINEの画面をスクリーンショットしてプリントアウトすれば、裁判の証拠として提出できます。

もし、LINEでキャバ嬢に内容が違うと言われても、録音していれば、言い逃れはできません。

さて、明日は、ちょっと「確定的合意」についてお話しようかなと思います。

それではまた明日!・・・↓

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