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成人年齢が引き下げられるメリット

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このブログでは、2019年7月にうつ病を発症し、それをきっかけに同年12月からブログを始めて、それ以降、700日以上毎日ブログ更新してきた、しがないサラリーマン弁護士である僕が、日々考えていることを綴っています。

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【 今日のトピック:成人年齢引き下げ 】

今年(2022年)の4月1日から、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられます。

反対している人もいらっしゃると思いますが、もう決まっているので覆すことはできません。

今年の4月1日以降は、18歳に到達しているのであれば、親の同意なくあらゆる契約を結ぶことができ、後から親が契約を白紙に戻すことはできなくなります。

児童相談所で働き始めて、成人・未成年について考えるのは、これで何度目なのだろうか?と思うくらい、かなり頻繁に、成人・未成年の問題にぶつかっています。

だいたいは、未成年だからこそ親の同意が必要で、にもかかわらず、親が非協力的だったり、親と連絡がとれないせいで同意が取り付けられなかったりするパターンです。

だから、児童相談所で働いている立場からすると、成人年齢が18歳に引き下げられることによって、親権者の意向を気にする期間が短くなり、やりやすくなるので賛成です。

あくまで、僕個人の意見ですが。

基本的なところを手短に説明しておくと、そもそも、厳密に言えば、未成年が親の同意なく契約を結べないわけではありません。

未成年であっても、契約を結ぶことができて、しかも、結ばれた契約は有効です。

例えば、賃貸物件を借りるため、賃貸借契約を大家さんとの間で未成年が結んだ場合、その契約は有効に成立します。

「有効に成立する」ということは、つまり、契約を結んだ未成年者は、その物件に住めますし、大家さんも、未成年者に対して家賃を請求することができるのです。

「じゃあ、親の同意なんかいらないじゃん」という風にも思えますが、親(正確には「親権者または未成年後見人」)の同意なく未成年が結んだ契約は、後から親が取り消すことができます。

「取り消す」というのは、「白紙に戻す」ということです。

最初から契約を結ばなかったことにする、というのが「契約を取り消す」です。

そんなことされたら、大家さんとしては困ってしまいますよね?

せっかく家賃がもらえると思ったのに、契約が取り消されたら家賃がもらえなくなりますし、またイチから借り手を見つけなきゃいけません。

だったら、いくら、「契約が有効に成立する」のだとしても、最初から契約しなきゃいいですよね。

もちろん、契約したことを後から知った親が、必ず契約を取り消すとは限りません。

「取り消す」のではなく、「追認」といって、「後付けで同意する」というのもあります。

でも、親が追認してくれるかどうかは、追認するまでわかりません。だから、追認してくれるまでずっと、「取り消されるかもしれない」というリスクがつきまといます。

だったら、最初から、「同意がないなら契約しない」と決めておくのが合理的なんです。

だから、結局、「親の同意がないと契約できない」という事態が生じてしまいます。

ここまで説明したような事情によって、「親の同意がないと契約ができない(賃貸物件が借りられない)」という事態が起きてしまうんです。

で、児童相談所が関わるような子どもたちは、親の同意を得ることが非常に難しいことがあります。

もちろん、児相が携わった子どもたち全員がそうではありません。

しかし、「親と全然連絡がとれないのに、その親が親権者だから、同意が必要になる」というケースは、本当にめちゃくちゃ多いです。

自分のせいではなく、親と連絡がとれないせいで、賃貸物件を借りることができない、ということが本当に多い。

児童相談所が関われるのは、原則として18歳になるまでなのですが、施設に入所している場合は、高校を卒業するまで施設入所を続けることが多いです。

ただ、20歳まで施設入所を継続させることは稀で、親元に返せないのであれば、賃貸物件を借りて自立させることになります。

しかしながら、未成年であるせいで、賃貸物件を借りようにも、親権者の同意がないと借りさせてくれず、その結果、自立ができない(20歳まで自立が遅れてしまう)、なんてことも起きるのです。

でも、成人年齢が18歳であれば、こんなことは気にしなくて済みます。

高校卒業時には既に成人なので、親の同意がなくても、賃貸物件は借りられます。

もちろん、借りる際には、審査をパスする必要はありますが、賃貸物件を借りるのなら、当然、就職が決まっているでしょうから、その就職内定を明らかにする書面などを提出すれば、たいていは審査をパスするでしょう。

こういう感じで、20歳まで親権に服するせいで、子どもに不利益が及んでいる例があるんです。

昨日のブログでも書きましたが、「親権停止」という手続きもあるので、子どもに害を与えている親権者の親権を停止させればいいのかもしれませんが、しかし、親権停止の手続きを逐一しなきゃいけないのは面倒ですし、親権停止は裁判なので、結論が出るまで時間もかかります。

成人年齢が18歳に引き下げられることで、親権者の都合で自立が遅れるという不都合はなくなります。

それは、本当にすばらしいことで、児相で働いていると、成人年齢引き下げによって救われる子どもが間違いなく存在すると実感します。

親権が、本来、子どもを守るためのシステムであることは否定しませんが、適切に親権が行使されない結果、子どもに不利益が生じることもあって、そういった不利益(束縛)から、今までより2年早く解放されることになるのは、それそれですばらしいと僕は思います。

それではまた明日!・・・↓

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