子育てに疲れたら-16(親子再統合)
【 自己紹介 】
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このブログでは、弁護士である僕が、もし仮に自分が紛争・トラブルの「当事者」となった場合に、「自分だったこうするだろうな」ということをお伝えしてしています。
僕自身、これまでの人生で大きな紛争・トラブルの当事者となったことがなく、今この瞬間、紛争・トラブルに直面されている方の苦しみや不安を代弁できるような立場にはないのかもしれません。
ただ、自分が紛争の当事者となった際の対処法を弁護士目線でお伝えできれば、それが、ご覧になった皆様のお役に立てるかもしれないと考えています。
あくまで、「僕だったらこうするだろうな」ということですから、ご覧になっている方々に必ずしも当てはまらないとは思いますが、僕のやり方をヒントに、自分なりに応用していただけたら、とても嬉しいです。
ご覧になっている皆様のお顔も名前も残念ながら知ることができませんが、アクセスしてくださり、ありがとうございます。本当に励みになっています。
【 今日のトピック:子育て支援 】
今日も引き続き、子育て支援について書いていこうと思います。
さて、昨日は、「子は親元で育つべき」という考え方について書いてみました。
児相も、基本的には「子は親元で育つべき」という考え方に基づいて動いていて、昨日お話したとおり、僕も、一般的に言えば、子どもは親元で育つべきと考えています。
僕らの遺伝子が本能的に記憶している旧石器時代では、必ずしも子は特定の親元で育ってはいなかったような気がしますが(そもそも父親を特定できていたのかもアヤシイですし)、しかし、誰かしら特定の大人と愛着関係は形成していたような気がします。
コミュニティで暮らしていれば、特定の大人との愛着関係を形成するのはそんなに難しくはなかったと思いますが(コミュニティの中に大人はたくさんいますから、その中の誰かを選ぶのは簡単です)、現代社会ではコミュニティに所属しなくても生き残ることができるのでコミュニティは解体され、親以外の大人と愛着関係を形成するのはかなり難しくなっています。
そうすると、自分の実親と愛着関係を築くことが子どもにとって大切になってきます。
さてさて、こういう風に考えることができるのですが、そうすると、児相としても、一旦子どもを預かったとて、後日家庭に戻すことを考えるわけです。
現代社会では、「子どもは親元で育つべき」なので、児相が子どもを預かったままではダメなんです。
どうやったら子どもが再び家庭で暮らせるかを考える。これが基本です。
そうすると、児相が無理矢理子どもを奪ってしまうのはマズイのです。だって、親が納得していないのに、児相が子どもを連れて行ったら、そんな児相の職員と、子どもの家庭復帰について話し合うなんてできませんよね?
子どもを家庭に返すのは簡単じゃありません。
児相が子どもを預からざるを得なくなるほどの問題がその家庭にあって、その問題が解消されていることを確認しないと、子どもを返せません。
例えば、子どもが虐待を受けていて、その虐待から保護する目的で児相が子どもを連れて行った場合、家庭復帰がゴールと設定するとしても、虐待が起きた原因が解消しないと返すことはできません。
虐待にも程度があって、例えば、実父が娘を日常的に強姦していて、それを母親も見過ごしており、娘が心理的に大きなキズを負っているなんて家庭に戻すことは非常に難しいでしょう。
この家庭では、父も母も娘を守れないからです。「父が娘を強姦」なんて、絵空事に思えるかもしれませんが、残念ながら、皆さんが思っているよりも、性的な児童虐待は頻発しています。僕も本当に驚きました。
母が父の強姦に気づかず、そのせいで守れなかったのならまだ可能性はありますが、とはいえ、同じ自宅内で、父が娘を強姦するという異常事態にも気づけないというのは、その母親の養育能力に大きな疑問を抱かざるを得ません。
仮に父を追い出して、被害が繰り返されない状態を作れたとしても、この母親が本当に娘を守れるのかきちんと確認がとれないと、なかなか家庭復帰は難しいのです。
これに対し、言うことを聞かない息子(10歳)に対し、大声で指示するならまだしも、日常的にビンタして言うことを聞かせていたようなケースでは、ビンタしていた親が改心すれば、家庭復帰が見えてきます。
もちろん、子どもの状態に大きく左右されます。子どもは知らずしらずのうちに、心理的に大きなダメージを受けていることがあって、当初の想定以上に、家庭復帰が難しいこともあります。知らずしらずのうちに心理的ダメージを受けているのは、僕の経験上もよくわかります。
現代社会ではコミュニティが解体されているので、子どもは実親以外の大人に頼ることができません。
それはつまり、実親に逆らったら食料が確保できない=死、ということなので、子どもは、本能的に実親に対して従順です。
本当は、実親なんていなくても現代社会では生き残ることができます。親のいない子どもに対する金銭な支援は充実しています。親がいなからといって、食料を確保できないなんて事態は現代社会ではありえません。
しかし、子どもにこんな知識があるはずもなく(学校でも教えませんし)、無知で無垢な子どもは、親からの叱責に耐え続けてしまいます。
ちょっと脱線しましたが、虐待の程度にもグラデーションがあって、そのグラデーションの中で、家庭復帰を目指せないケースは、かなり少ないです。
そうすると、子どもを児相が連れて行くにしても、家庭復帰を前提にするのが普通です。
というか、児相が介入する初歩の時点では、その家庭についての情報に乏しいことが多く、家庭復帰が難しいかどうか判断できないのが普通です。
そうすると、基本的に家庭復帰を目指さなきゃいけないのであれば、よっぽどのことがない限り、親の承諾なく子どもを連れてくることはありません。
そんなことしたら、児相と親との信頼関係が築けないからです。
親の承諾もなく子どもを奪っていった児相と、その親が、家庭復帰について話し合いを進めていくのは、不可能ではありませんが、非常に骨が折れます。
だって、当初から見解が異なっているからです。
家庭復帰への道筋では、児相と親が話さなきゃいけないことは、本当にたくさんあります。
・その家庭の何が問題で、
・その問題が解消されたのか
ということについて親と児相で話し合いを進める必要があるわけですが、児相が子どもを連れて行ったことに親が納得していないということは、児相が考えている家庭の問題の内容・程度について、親と見解が違うのです。
見解が違うのですから、「何が問題なのか」について話し合うのは、非常に難しいです。
問題意識が違うなら、当然、問題の解消についても見解は違うでしょう。
そうすると、親の承諾なく子どもを連れて行ってしまうと、いざ保護したはいいものの、その子どもにとって必要な家庭復帰が難しくなってしまいます。
だから、児相は、親の承諾を得るんです。
「親が承諾」して児相が子どもを連れて行くということについて、あまり想像ができないかもしれませんが、親も子も、お互いに距離をとったほうがいいと考えることは結構多いです。
夫婦と同じですよね。お互いの承諾のもと、「一旦距離をとる」ということがあると思いますが、それは親子関係でも同じで、お互いに承諾して距離をとるために児相を使うわけです。
「子は親元で育つべき」と基本的に児相は考えているからこそ、「親子再統合(家庭復帰)」を児相は目指していて、「親子再統合」のためには、児相と親との間で信頼関係を築く必要があり、そうすると、親の承諾なく子を連れて行くことはよっぽどの場面だけ、ということになります。
児相が、親との関係性を子どもの安全より優先することあり得ませんが、「子どもは親元で育つべき」という思想も結構重視しているので、子どもを連れて行く場合は、親の承諾をなるべく得るようにしています。
今日はこの辺にします。
それではまた明日!・・・↓
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