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知事(市長)から職員へ権限を渡す

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このブログでは、2019年7月にうつ病を発症し、それをきっかけに同年12月からブログを始めて、それ以降、700日以上毎日ブログ更新してきた、しがないサラリーマン弁護士である僕が、日々考えていることを綴っています。

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【 今日のトピック:行政内部の権限委任 】

昨日は、目に見えない自治体の代わりに、目に見える市長が、自治体の代理人として活動していることを書きました。

市長は、もちろん、常に自治体の代理人として活動しているわけではなく、自分で食べるために食材を購入したり、吉野家で昼ごはんの牛丼を食べたりすることもあるでしょう。

その時は、自分の財布から自分のお金を出して支払っています。

自治体のお金を使って、自分の牛丼代を支払ってはいません。自治体から支払われた給料を銀行から引き出して財布に入れて、そのお金をレジに出して支払っています。

ただ、市長は、自治体の代理人として、自治体のお金を使って支払ったり、自治体のお金をもらったりすることができます。

こういった、自治体の代理人となる権利は、原則として、市長にしかありません。

都道府県ならば「知事」、市町村ならば、市長・町長・村長のみが、自治体の代理人になれます。

ただ、じゃあ、自治体の名前で何かする際は、常に市長があっちこっちに動かなきゃいけないかというと、そうじゃありません。

自治体で雇っている職員が、自治体の活動として、あっちこっち動き回っています。

会社と同じですよね。会社の従業員があっちこっち回って、会社を当事者として契約を結んでいます。

昨日、会社の代理人になれるのは代表取締役(俗に「社長」と呼ばれている)だけと書きましたが、会社内で、代理人の権限(俗に「決裁権限」と呼ばれています)を社長以外に持たせていることがありますよね。

会社の内部ルールで、決裁権限が部長や課長に持たされていて、その決裁権限に基づいて、部長や課長が、会社を当事者として契約を結ぶことができます。

(ま、社長が決裁権限を一切他の従業員に持たせていない会社もごまんとありますが・・・)

民間の会社の場合、決裁権限を誰にどのように持たせるのかは、好き勝手やれます。

事前に会社の社内で一般的なルールを決めておいてもいいし、スポット的に権限を誰かに与えてもいい。

例えば、部長が、自分の決裁権限を一時的に格下の課長に渡すとか、そういうこともあり得ます。

部長が、自分の責任で、自分が預かっている社長印を部下の従業員に渡して、「これ押しといて」と指示してもいいです。

でも、役所って、そうはいかないんですよねぇ。

僕は今、児童相談所で働いていて、立場はイチ公務員です。

児童相談所長が上司で、その指示には逆らえません。所長の指揮命令に従って日々の業務を進めるのが、僕の法的な立場です。

で、児童相談所長って、法的にいろんな権限が付与されています。

例えば、児童福祉法33条には、児童相談所長が子どもを一時保護できると書かれています。

しかし、これって、児童相談所長が、自分の自宅で子どもを預かるわけではありません。

一時保護した子どもは、自治体の施設で保護されて、必要な食費や水道光熱費も、自治体のお金から支払われています。

こんなこと言うまでもありませんが、そうすると、「児童相談所長が一時保護する」といっても、それは結局、「自治体が保護する」ということなんです。

でも、自治体の代理人になれるのは、都道府県知事や市町村長だけでしたよね。さっきそう説明しました。

しかし、「児童相談所長は一時保護できる」と法律には書かれています。

なんか矛盾していそうですが、この「法律に書かれている」がキモなんです。

本来、自治体の代理人になれるのは知事又は市町村長だけなんですが、法律の根拠がある場合に限り、その権限を別の職員に渡すことができます。

民間の会社内であれば、法律に書かれていなくても、自由に決済権限をやり取りしていいんですが、行政内部で、本来都道府県知事又は市町村長にしかない決済権限をやり取りする場合は、法律上の根拠が必要なんです。

行政内部で権限をやり取りする場合は、法律上の根拠が必要。

これが、民間と行政の違いです。今日はここを強調しておきたいと思います。

それではまた明日!・・・↓

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