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#408 離婚するための条件-2

【 自己紹介 】

※いつも読んでくださっている方は【今日のトピック】まで読み飛ばしてください。

弁護士古田博大の個人ブログ(毎日ブログ)へようこそ。

このブログでは,2017年1月に弁護士に登録し,現在弁護士5年目を迎えている私古田が,弁護士業界で生き残っていくために必要不可欠な経験と実績を,より密度高く蓄積するため,日々の業務で学んだこと・勉強したこと・考えたこと・感じたこと,を毎日文章化して振り返って(復習して)います。

僕の経験と実績を最も届けなければいけないお相手は,このブログを読んで,僕のお客さんとなってくださるかもしれない方々,つまり,法律のプロではない皆さんだと思っています。そのため,日々の業務・経験がこのブログのトピックになっているとはいえ,法律のプロではない方々にわかりやすく伝わるよう,心がけています。

後戻りの必要なく,スラスラと読み進められるようにも心がけていますので,肩の力を抜いて,気軽な気持ちでご覧くださるとと大変嬉しいです。

【 今日のトピック:離婚するための条件 】

さて,今日も,昨日に引き続き,「離婚するための条件」という,ちょっと難しいことについてお話します。

昨日は,夫婦本人同士で話し合って離婚届を提出する方法,そして,離婚調停を申し立てて裁判所で話し合い,最後に「調停調書」という書面を裁判所に作成してもらう方法,それぞれの方法における「離婚するための条件」について説明しました。

ただ,どちらも,結局は「話し合い」ですから,相手が離婚を承諾してくれないと離婚することはできない,ということでした。

だから,調停を提起しても離婚できない場合はもちろんあって,その場合は,離婚の「訴訟」を提起することになります。

離婚の訴訟を提起し,最終的に判決を裁判所に出してもらえれば,その判決を市役所に提出して離婚できることは,昨日説明しました。

その判決には,「離婚する」こと,そして,「親権者を妻(または夫)とする」ことが書かれていなきゃいけない,ということも昨日のブログで説明済みです。

じゃあ,「離婚する」そして「親権者を妻(または夫)とする」と書かれた判決は,どうやったら出してくれるのでしょうか。

「離婚する」

「親権者を妻(または夫)とする」

2つに分けて考えてみましょう。

順番が前後しますが,「親権者を妻(または夫)とする」という部分は,「離婚する」が書かれていれば,裁判所は必ず書いてくれるので,あまり気にする必要はありません。

実は,そうなんです。

裁判所が,「離婚する」だけ書いて,親権者については何も書いていない判決を出すことはあり得ません。そんな判決では,「離婚する」の部分も実現できないからです。

そんな無意味な判決を裁判所が出すことは,まずあり得ません。

まあ,親権者を妻と夫のどちらに決めるか,という点については,夫婦間でかなり激しく争われることもありますが,最終的には,必ずどちらかに決まります。

「必ず」決まるんです。

だから,「親権者は夫婦のどっちになるだろうか?」を気にすることは大いにありますが,「判決書にきちんと親権者について書かれているだろうか?」は気にしなくていいのです。

「親権者は夫婦のどっちになるだろうか?」という疑問については,2つだけ説明しておきます。

1つは,「母親優先の原則」です。その名の通り,原則として,母親が優先的に親権者として指定される,ということを意味します。これは別に,「父親なんて必要ない!」という意味ではありません。あくまで一般論として,父親と母親を比較した場合,母親を親権者として指定し,子育てさせたほうが子どもの利益になる,ということです。

父親の存在を否定しているんじゃなくって,母親と父親を比較したら,一般論としては,母親の必要性のほうが大きいよね,ということです。

母親「優先」の原則であって,「父親不要」の原則ではないことを,充分に理解してくださるとありがたいです。

もう1点は,不倫と親権は基本的に関係ない,ということです。

僕も,「不倫するような妻を親権者を指定するのはおかしい!」という主張に何度も直面しました。そのお気持ちはよく理解できるんですが,ただ,「親権者をどちらにするか」という問題は,あくまで,「子どもを適切に養育できるか」という観点から考えます。不倫と子どもの養育能力は基本的に無関係なので,不倫を理由に親権者として不適切だと主張することはかなり難しいです。

不倫相手の家に入り浸って子育てを放置している,という事情があれば,その事情を根拠に妻が親権者として不適切と主張することはあり得ますが,ただ,その場合,不倫自体が「不適切」の根拠となっているわけではなく,「子育てを放置している」ことが「不適切」の根拠となっています。

「不倫相手の入り浸っている」という事情は,子育てを放置するようになった経緯にすぎず,不倫自体が「親権者をどちらにするか」を考えるうえで考慮されているわけではありません。

さて,では,いよいよ「離婚する」について説明します。

昨日から説明しているとおり,「離婚する」と判決に書かれていることが,離婚の訴訟を提起した場合に,離婚するための条件でした。

そして,先ほど説明したように,「離婚する」と判決に書かれていれば,「親権者を妻(または夫)とする」も必ず書かれているので,結局は,「離婚する」と判決に書いてあることが「離婚するための条件」なのです。

「離婚する」と判決に書いてあれば,離婚できるのです。

じゃあ,どうやったら「離婚する」と判決に書いてもらえるのか。

そもそも,「離婚する」と判決に書いてあることが何を意味するかというと,「離婚請求権が存在する」ということです。

「離婚請求権」とは,有無を言わさず相手と離婚することができる,という権利です。

「離婚する」と判決に書かれていることは,そういった「離婚請求権」がありますよ,と裁判所が認めてくれたことを意味します。

ただ,「離婚請求権」なんて目に見えません。

「権利」ですからね(笑)。権利って,目に見えないんですよ。

おばけと一緒です。

夫婦本人たちをどれだけ見ても,「離婚請求権」なんて全然見えてきません。

じゃあ,「離婚請求権」という「おばけ」が存在するかどうか,どうやって裁判官は決めればいいのでしょうか。

これは,民法に書いてあるんですね。

「~~~という事実が存在する場合は,離婚請求権(=おばけ)が発生するよ!」と法律に書いてあります。

つまり,「離婚請求権」という「おばけ」が発生する「事実」が,民法には書いてあるわけです。

だから,裁判官は,民法に書かれた「事実」が存在するかどうか,それを確認すればいいんです。

「事実」は見えます。「事実」は,「現実に起きたこと」なので,見えるんです。

ここまでのことをまとめると,

・「離婚する」という判決の記載は「離婚請求権の存在」を意味する。

・だから,「離婚する」と書かれた判決を出してほしいのなら「離婚請求権が存在する」と裁判所に認めてもらわなくてはいけない。

・とはいえ,「離婚請求権」は目に見えない。おばけと一緒。

・しかし,民法には「離婚請求権」を発生させる「事実」が書いてある。

・この,民法に書かれた「事実」が存在すると裁判官が認めれば,離婚請求権という「おばけ」の存在も確認できる。

・「離婚請求権」という「おばけ」の存在を確認した裁判官は,「離婚する」と判決に書く。

さてさて,いろいろと書いていたら,今日も時間切れとなってしまいました。

ここまでを踏まえると,こんな風に疑問が浮かんできますよね。

・じゃあ,民法に書かれた「事実」って何だよ!

・どんな「事実」があれば,「離婚請求権」という「おばけ」が発生するんだよ!

(・「離婚請求権」を「おばけ」にたとえるセンスはどうなんだ?)

この辺の疑問には,明日回答します。

昨日のブログで最初にお話した「結局,最終的には離婚されてしまう」ということも忘れていませんよ(笑)。

この問題のキーワードは「破綻」です。

ちょっと先出しになりますが,民法には,「離婚請求権」という「おばけ」を発生させる事実が,いくつか書かれていて,その中の1つが「婚姻関係の破綻」です。

つまり,「婚姻関係の破綻」という「事実」が存在する場合は,「離婚請求権」という「おばけ」が発生しているよ,と民法に書かれているんです。

「婚姻関係の破綻」とは,夫婦の関係が完全に崩壊して修復不可能な状態を意味します。

あくまで理論的には,「婚姻関係の破綻」という事実が存在しない限り,つまり,夫婦の関係が修復可能である限り,「離婚請求権」という「おばけ」は発生しません。

それは間違いありません。

ただ,離婚を固く決意した夫婦の一方が別居を開始して,その別居が何年も続いていて,別居状態が今後も永久に続くと思われる場合に,それでもなお,婚姻関係が修復可能と評価できるでしょうか。

そうすると,結局は,「夫婦関係が修復不可能」と判断されてしまい,最終的には「離婚請求権」という「おばけ」の発生が認められてしまう,ということになりそうな気がしませんか?

続きはまた明日書きます。

それではまた明日!・・・↓

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