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「今日の担当はだれ?」を大事にする理由

Kacotamの学び支援の1つ「スタサポ(ひとり親家庭や生活保護世帯の子どもを対象にした学習支援)」は、子どもから「今日の担当は誰?」と聞かれる。それは担当を固定にせず、基本的に毎回担当を変えているからだ。

毎回担当を変える理由には2つある。1つは、色々なメンバーと関わる中で、自分の興味・関心を深めたり、新たな興味・関心や「〇〇やりたい」を見つけたりするきっかけをつくるため。

(自分のことなので飛ばしたい方は次の次の次の段落へ)中学1年生から大学3年生までずっと自分は将来何をしたら良いのか、何をしたいのか、分からなかった。もやもやしていた。高校進学は好きな子が〇〇高校に行くというのを聞き、自分もそこに行こうと決めた。大学進学では、環境を変えたら何か見つかるのではないか、そんな思いから東京に行きたいと思うようになって、東京にある大学に決めた。(でも渋谷のキャンパスに行くと思っていたら、4年間ずっと相模原のキャンパスだった。。)大した理由があったわけではない。頭の中では「将来やりたいことから逆算して、大学はこの大学のこの学部に進学して、そのために〇〇高校に進学をする。だから、今これだけ勉強を頑張るんだ」と考えたかったけど、そもそも将来やりたいことは自分にはなかった。高校の先生にそれを言ったら、「目の前のことを頑張りなさい。そしたらそのうち何か見えてくる」と言っていた。だから、勉強と部活をとにかく頑張った。でも何にも見つからなかった。

大学3年生のときに、たまたま見た大学新聞に4年生の学生が起業した記事が載っていた。自分の心の何に引っかかったのか分からなかったけど、すごくその記事が気になった。今でもその記事を覚えている。起業をしたいと思っていたわけではないけど、起業に関わる色々な本を読んでいた。その一つに『チェンジメーカー』という本に出合い、「社会起業家」というものに関心を持つようになり、深めたい関心事の1つとなった。

大学院1年生のときに、北海道の社会起業家を市民に知ってもらおうというイベントを他の北大生と一緒に企画し、北海道のNPOの方々に話を聞きに行った。NPOの方々の話を聞くなかで、関心事の1つでしかなかったことが「やりたい」に変わった。大学院2年生のときに家庭教師のアルバイトを通して関わった家庭との出会いがさらにやりたいことを変化させ、具体化された。

長くなってしまったが、今までの自分の経験から、色々な人との出会い、色々な人の想いや考えに触れることで、興味・関心が増えたり、「やりたい」に変わったり、具体化されたりした。だからKacotamでは、担当を固定にしないことで、多くのメンバーとの関わりをつくり、想いや考えを触れる環境をつくっている。

もう一つは弱いつながりをつくるため。社会ネットワーク理論の中の1つにグラノヴェッターの「弱い紐帯(weak ties)」という考え方がある。家族や学校の先生のような強い紐帯ではなく、普段生活環境が異なり、会う頻度も少ないような弱い紐帯で結ばれている人も重要だとしている。生活環境が異なるからこそ、新しい情報や考え方、価値観が得られたり、普段合わないからこそ話せるということもある。Kacotamと子どもとの関係はその弱い紐帯にあたる。その弱い紐帯の良さを十分に発揮することができるようにすることで、新しい情報や考え方が得られたりするだけではなく、困りごとに合わせて、相談するメンバーを選択できるようにできればと考えている。進路についてはAさん、恋愛についてはBさん…。というように選択できた方がその子どもにとってニーズを満たす可能性が高くなると考えている。

Kacotamという組織自体も同じことが言える。職員やメンバーという比較的強い紐帯だけではなく、寄付していただいている個人・団体、会場を提供していただいている各協力団体、アドバイザー、それ以外にも様々なかたちでKacotamを応援していただいている方と弱い紐帯で結ばれている。それが、子どもと関わる上でも活かされている。昨日、それが活かされ、月寒あんぱん500個いただいた。これから各拠点のお菓子タイムにみんなと食べようと思う。(自分は小麦粉がダメなので横から美味しそうだなあとつぶやきながら見ている)


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