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「非認知能力が発揮できる環境」という視点から活動を考える

『私たちは子どもに何ができるのかHELPING CHILDREN SUCCEED』を読んで、非認知能力が発揮できる環境という視点からKacotamの活動を少し考えてみました。

 様々な逆境にある子どもにとって、粘り強さや自制心、楽観的に考えるなどの非認知能力は重要であるとされている。非認知能力は、読解や計算のように教えられてできるようになるものではなく、「環境」によって非認知能力が発揮できるかどうかが決まる。その環境には、子どものモチベーションを高める要素でもある「有能感」「自律性」「関係性」が必要とされている。

「有能感」

 子どもが「有能感」を持つのは、できないと思っていたことができるようになった経験の積み重ねが重要と考えている。例えば、学習支援で関わるなかで、今まで分からなかった問題が解けるようになったり、子どもの「やりたい」をカタチにするプロジェクト(以下カタチ化)で、やりたいと思ったことが具現化したり、お仕事カコタムで普段聞けないことが聞くことができたりする過程で、「自分も解けた」「自分にもこれができたんだ。今度はあれをやってみたい」「自分もなれるかも」と少しずつ有能感というものが顔を出し始めると考えている。

「自律性」

 「自律性」が発揮できるのは、自己決定ができ、管理されている・強制されていると感じない環境が重要となる。Kacotamでは、当日学習する内容は子ども自身で決める。また、一時保護所の学習支援の場合は1週間分の時間割を子ども自身で考えるようにしている。お仕事カコタムでは、子ども自身がなりたい職業や興味のある職業から、どのような人に会いたいのか、インタビュー時には、どのような質問をするのかなど子ども自身で考えている。カタチ化では具現化に向けてどうしたら良いのか、可能な限り子ども自身で考える。例えば、「刀づくりをしたい」というときは、色・形・大きさ・材料などを自身が思い描いていることをイラストや図に落とし込んでもらう。「この材料を調達できないけど、どうする?」という壁があっても、子どもたちの顔は、「うーん」と言いながら、とてもいきいきとした表情とわくわく感にあふれながら、考えている姿がある。

「関係性」

 子どもが「関係性」を感じるときは、自分自身の存在価値が認められて、尊重されていると感じるときとされている。Kacotamでは、「我々は子どもにとって安全基地である」と定め、最も大事にしている。安全基地とは、「立場にとらわれず、自分が大事にされる空間」としている。定めている成果や目的にとらわれ過ぎず、今目の前にいる子どもに対して何ができるかを考えて関わっている。また、教える-教わるの関係ではなく、メンバーは学びを促す存在でもある。子どもとの関わりで大事にすることのなかには、「教えるよりも一緒に考える」「子どもの意思を尊重する」「分からないときは分からないと言う」というものもある。教える-教わるという上下の関係ではなく、もう少し対等なななめの関係にあり、「この問題、難しいね」と一緒に言いながら、一緒に問題を解いたり、参考書や辞書で調べたり、他のメンバーも巻き込んでみんなで考えたりしている。

Kacotamの活動は、子どもをどう変えていくのか、どういう方向に向かわせるのかなどではなく、どう「環境」を整えていくのかということに力を入れている。非認知能力が発揮できるかどうかも環境が大きくかかわることから、興味深かったので、当てはめて考えてみた。


NPOの運営や子どもとの関わりなどを中心に記事を投稿します。サポートしていただいたお金は、認定NPO法人Kacotamに寄付をして、子どもの学びの場づくりに活用します。