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子どもの意思を尊重するということ

意思を尊重するって難しい

 子どもの意思を尊重すること、子どもと関わるうえでよく出てくる言葉だと思う。これは突き詰めれば突き詰めるほど難しいし、よくわからなくなってしまうことでもある。

 Kacotamでも「子どもの意思を尊重する」ということを子どもとの関わりで大事にしている。メンバーが活動していくなかで、「意思を尊重するって何だろう?」の壁にぶつかる。

 拠点型学習支援の場合、学習に取り組める環境づくりという枠があり、他の子どもやメンバーがいて、それぞれに感情があって、関係性というのもあって、しかも常に変化している。子どもの意思も当然周りの環境の影響を受けて変化していくし、メンバーも担当している子どもだけではなく、周りの子どもや他のメンバーへの配慮・意識がある。だから難しいものになっていく。
 例えば、拠点型学習支援の場でかくれんぼしたいと言われたときと、訪問型学習支援で同じことを言われたときでは、我々の考えや行動は変わるだろう。恐らく前者では上記の壁にぶつかるけど、後者はぶつかることはないだろうと思う。

意思決定支援に通じる?

 子どもの意思を尊重するというのは、意思決定支援と通じるものがある気がしている。阿部泰之著『意思決定⇔支援 人生最終段階の話し合い』から引用すると、意思決定支援が目指すところは下記のように言っている。

一緒に意思決定のプロセスをたどることで醸成される信頼関係が目指すところであり、アウトカムです。残念ながら、私たちは真の「正解」にたどりつくことができません。私たちが目指すべきは「これで正解だ」という確信を共有することです

 一緒に意思決定のプロセスをたどるために会話を必要とする。その会話は、こちらで「こういう結果になると良い」と子どものあるべき姿を定め、こちらで考えた答えをもってするものでもない。また、ただ子どもが選択すればよいというものでもない。

納得感

 子どもにとって、納得感のあるものになること。そのためには、常日頃からその子の価値観に触れられるだけの信頼関係を構築し、子どもの表面的な言動だけではなく、そこに隠された価値観を知っていく。一見、他の子どもにとって迷惑がかかる行為であったり、周りを困らせたりすることであっても、そこにはその子なりの価値を置く考えや思いが隠されている。それは意外と誰もがなるほどと納得するものであることが多い。

 その価値観を尊重しながら、他に考えられる方法や選択肢、情報を提供し、会話をしながら、納得のいくものを一緒に模索していく。何を選択したかというよりも、そのプロセスを踏むことが、結果的にあとから考えて、正解だったに近づいていく。

 子どもの意思を尊重するということもそういうことなんじゃないかと思う。




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高橋勇造
NPOの運営や子どもとの関わりなどを中心に記事を投稿します。サポートしていただいたお金は、認定NPO法人Kacotamに寄付をして、子どもの学びの場づくりに活用します。